マイクロソフトは、米Microsoftが9月26日に発表した検索サービス「Live Search」の機能強化に関する説明会を開催した。説明会では、Live Searchの現状や日本版の検索精度向上の説明も行なわれた。
■ インデックス数が4倍に拡大。米国では4分野に重点をおいてサービス強化
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米国版Live Searchの機能強化点
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Live Searchは、今回の機能強化によってインデックス数を4倍に拡大するとともに、検索結果ページに表示されるWebサイトのランキング付けが改良された。また、米国版サービスでは、米国での検索割合が高い「エンターテインメント」「健康情報」「商品検索」「地域情報・地図検索」の4分野に重点をおいて、サービスの向上が図られた。
エンターテインメント分野では、検索結果ページに検索語に関連した有名人の画像やアルバム、映画情報などを表示。動画検索では、結果ページのサムネイル画像をマウスオーバーすると動画のハイライトを再生できる機能も用意した。また、有名人の人気ランキングを確認できるシステムも備えているという。
健康情報では、HTTPS通信や検索履歴を一定期間で自動削除するなど、利用者のプライバシーに配慮した環境を目指したという。また、米国内にある医療機関との協力によって信頼性のある情報提供を行なっているほか、検索結果のスクラップブックにも対応する。
商品検索では、レビューや価格といった概要を検索結果ページに表示。製品別ページではAmazonなどから自動収集したユーザーレビューも確認できる。地図検索では検索窓を単一へと変更。地域情報では特定店舗の詳細情報や道順、近隣にある店舗表示や写真情報を表示するようになった。
これら重点カテゴリは米国向けのもので、日本地域におけるカテゴリは現在選定を行なっているところだという。同社オンラインサービス事業部 プロダクトマネージメントグループ サーチチームの吉岡さやかプロダクトマネージャーは、「今後の日本版での取り組みは、すべての基礎となる検索クオリティの向上を重視している」とした。
吉岡氏はこのほか、検索の間口を広げる施策として、記事中にあるキーワードの検索結果を同一ページ上で表示・確認できる「Live Search サイドビュー」を紹介。加えて、J-WAVEやインターネットカフェ「自遊空間」のサイトにLive Searchを導入した事例も説明した。
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エンターテインメント分野では有名人のランキング情報も提供
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健康情報では医療機関提供の情報などを表示
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商品検索はレビューも確認できる
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地域情報では出発地と目的地のルート案内も
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日本向け施策として「Live Search サイドビュー」を紹介。すでにMSN産経ニュースで実装済み
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J-WAVEや自遊空間との連携例も
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■ 日本語処理などの検索精度向上施策も説明
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マイクロソフトディベロップメントの中島氏
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検索精度の向上については、マイクロソフトディベロップメント GPD開発統括部の中島浩之プログラムマネージャから説明があった。
中島氏によれば、インデックス数を4倍に拡大したことで、「検索結果が10件以下」になる割合が従来の半数に改善したという。また、インデックス数拡大に伴う処理時間に対応するためのプラットフォームの改善のほか、クローリングアルゴリズムの改善も行なわれた。
検索結果のランキングでは、ドキュメントを重視したニューラルネット技術を活用するとともに、トレーニングデータからの学習を実施。また、これまで対応が追いついていなかったという、言語ごとのモデリングやチューニングも強化された。
日本語処理面では、検索キーワードを単語単位に区切っていく必要があるが、2006年秋頃までは区切る精度が低かったという。中島氏によれば、現在では区切りミスが33%減少し、「単語検索という面では競合他社と同等か、それ以上ではないか」と語った。
こうした検索精度の測定方法は、幅広い年齢層を対象に人手を使って行なわれており、表示順位の反映や継続的な計測作業を実施しているという。この結果、米国では2007年時点でGoogleやYahoo!と概ね一致する精度を得られたほか、日本でも改善が進んでいるとした。
中島氏は、日本で展開する検索サービスの精度について「我々はYahoo! JAPANが1番だと考えている」とコメント。また、2007年10月時点でLive Searchの検索精度がGoogleを若干上回っているとの考えを示した。中島氏は、YouTubeやWikipediaが上位に表示されやすい点などが、マイクロソフトが実施した測定作業において、評価が伸びなかった原因となったと説明した。
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日本語処理について。こうした対応は各国言語でも行なわれているという
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同社が実施する検索精度の測定方法
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同社が実施した国内サービスにおける検索精度状況
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マイクロソフト オンラインサービス事業部 プロダクトマネージメントグループの浅川秀治シニアディレクターは、「今回のように内部データを紹介する例は他社でもあまりない」と発言。「日本人エンジニアが日本語の精度向上に向けて努力している点を、ご理解いただきたく紹介するに至った」とその意図を明かした。
また、Live Searchの検索数シェアは米国で11%、日本で5%程度になる。浅川氏は「シェアは小さいが、サービス開始から数年で結果を出してきているとも言える」と語った。その上で、米国での施策や検索精度の向上などを通じて、「検索結果とともに有益な情報を入れるなど他社との差別化を通じて、ユーザーに対して価値のある検索サービスを提供していきたい」と抱負を述べた。
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マイクロソフトの浅川氏
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米国および日本での検索サービスシェア
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■ URL
Live Search
http://www.live.com/
ニュースリリース(9月27日付)
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3210
関連記事:「Live Search」のインデックスが4倍に、アルゴリズムも大幅に改良[INTERNET Watch]
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/28/17015.html
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(村松健至)
2007/10/17 19:41
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