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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
BitTorrentに角川が出資。2008年には角川がP2P動画配信に参入

 BitTorrrentは22日、同社が開催した「Bit Torrent Conference 2007」の場で、Jストリームとの配信事業における協業や、角川グループホールディングスによる出資などを発表した。角川の出資額は約10億円で、角川は2008年にもP2Pによる動画配信ビジネスに参入する。

 BitTorrentは、P2P技術を利用したファイル交換プロトコルおよび同プロトコルを開発した企業の名称。米BitTorrentによれば、BitTorrent対応クライアントソフトは全世界ですでに1億5,000万ダウンロードされ、3,000万以上のアクティブユーザーが存在。トラフィックにおいても全インターネットトラフィックの約40%を占めているとしている。

 同様にP2Pを採用したファイル交換システム「Winny」と比べて匿名性が確保されないため、ユーザーがどのファイルを共有しているかを確認することで違法ファイル対策が可能だという。また、大容量ファイルを断片化して複数のユーザーがお互いにファイルを補完するという仕組みにより、人気のあるファイルほど高速にダウンロードできるとしている。

 9月25日には日本法人として「BitTorrent株式会社」が設立され、日本での活動を本格化。10月22日には「Bit Torrent Conference 2007」と題したセミナーを開催し、日本法人の脇山弘敏代表取締役社長が登壇。JストリームとのCDN事業での協業や、角川グループホールディングスの出資などを発表した。


著作権管理が可能なP2P配信。国内メーカーや事業者とも提携を進める

BitTorrent
日本法人の脇山弘敏代表取締役社長
 脇山氏は、従来までのコンテンツ配信システムについて「クライアント・サーバー型は著作権管理に有益だが配信コストが負担になり、ユーザーが増えるほどトラフィックの負荷がかかる」と指摘。また、P2Pによるファイル交換システムも「無制御で匿名ユーザーが増大し、著作権管理の面で問題がある」とした上で、「BitTorrentはP2Pでありながら著作権管理が可能なハイブリッドソリューション」と自信を示した。

 BitTorrentでは「Tracker」と呼ばれるサーバーが用意され、P2Pのピアごとファイルの流通状態を追跡。他のピアにファイルの存在を知らせて指示を行なうといった制御を行なうため、ファイルの改ざんもすぐに把握でき、セキュリティコントロールの面で有利とした。

 米国ではすでに20世紀フォックスやワーナー・ブラザース、パラマウント、MTVといったコンテンツパートナー55社がBitTorrentとライセンス契約。脇山氏は「米国の映画業界はDRMや配信方法などに厳しいが、BitTorrentは全米映画協会が認めたP2Pベースのコンテンツ配信」と語った。

 ビジネスモデルとしては、米国で「低価格かつ高速のコンテンツ配信サービス」「対応クライアントや組み込みソフトウェア」「コンテンツを配信するWebポータル」の3つを軸にサービスを展開。日本ではこのうちコンテンツ配信とクライアント・ソフトウェアを提供し、ポータルサービスに関しては現状行なわないとした。

 国内でもバッファロー、コレガ、アイ・オー・データ機器、プラネックスコミュニケーションズ、INFOCITY、COVENTIVE、HIMACSといったPC周辺機器メーカーやB2B配信企業などがBitTorrentと提携。また、国内の動画配信システム大手であるJストリームも、同社のCDNとBitTorrentを組み合わせたCDN事業で協業を発表した。

 総務省が支援する「P2Pネットワーク実験協議会」にも参加し、東京国際映画祭のサテライトイベントである「東京ネットムービーフェスティバル」の作品をBitTorrentで配信。BitTorrentの信頼性や安全性、効率性などの検証を行なっていく。


BitTorrentの構成。中央にTrackerを置くことでファイルの追跡を可能に ビジネスモデル

米国ではハリウッドの映画会社などがパートナーとしてコンテンツを提供 国内もメーカーや事業者と提携

JストリームはCDN事業で協業 角川グループはBitTorrentの出資

「ファンあって」のエンタメ業界でコンテンツ流通に尽力

角川デジックスの福田正代表取締役社長
 講演では角川グループホールディングスが、デジタルコンテンツ事業の共同展開を目的としてBitTorrentへ出資することも発表。約10億円の出資をBitTorrrentに行なうとし、角川デジックスの福田正代表取締役社長が出資への経緯や今後の展開について語った。

 福田氏は、「(著作権違反のコンテンツも存在する)BitTorrentやYouTubeなどに角川がよく協力するね、と言われるが、実際には違法著作物の撃退やホルダーの収益確保についてはともに議論を続けている」とコメント。「BitTorrentは海賊版撲滅について非常に前向きで、一緒に海賊版を無くしていこうと話している」と語った。

 海賊版について福田氏は「作成する人がいる一方で、コンテンツホルダーがユーザーニーズを満足できず、欲しい人までコンテンツを届けていないという現状もある」と指摘。「適正な価格で購入できるなら違法なサービスは使わない、という意見のユーザーも多い」と続け、「エンタメ業界はファンあってのもの。コンテンツプロバイダーはファンをきちんともてなしながらコンテンツを供給していく必要がある」との考えを示した。

 米国では2月にこれは日本のコンテンツホルダーとして初めて、米国法人の角川ピクチャーズUSAがBitTorrentとデジタルコンテンツ配信契約を締結。「One Missed Call(着信アリ)」「Ring(リング)」「Sailor Suit and Machine Gun(セーラー服と機関銃)」など約60作品を配信しており、米国内では入手困難な作品もあることから好評だとした。


米国内で入手しにくい作品が手に入るなど好評だという 米国ではBitTorrentで映画作品を配信

2008年にP2P動画配信ビジネスに参入。高品質動画配信も予定

東京ネットムービーフェスティバルでBitTorrentが実証実験
 東京ネットムービーフェスティバルの実証実験では、角川デジックスとBitTorrentが共同でサイトを開設。640×480ピクセル、10Mbpsビットレートの映像を無料で配信しており、10月末にも第2弾として10作品を追加する。DRMにはWindows Media DRMを採用し、一定期間を過ぎると再生できなくなるという制限が設けられている。

 福田氏は「数日程度のデータではあるが、予想以上の好結果が出ている」と実証実験を高く評価。「一次配信サーバーの負担はあるが、参加ユーザーが増えることでユーザーピアのトラフィック負担も上昇し、最大で95%以上をユーザーピアが負担した例もある」との成果を紹介。「一次配信サーバーの負担を大きく軽減でき、柔軟に対応可能なスケーラビリティを持っている」とした。

 実証実験サイトでは今後もビッグタイトルを投入しながら継続的に運営し、ユーザーからのフィードバックを収集。そして2008年には角川グループとしてP2P技術を採用した動画配信ビジネスに参入する方針だという。7月から9月にはプレサイト、10月から11月には正式サイトをオープンし、HD以上の高画質配信、H.264に対応したFlash Player 9.1向け配信、大容量映像のP2Pストリーミング配信などを予定しているとした。

 イベントの会場にはBitTorrentに対応した製品やサービスなども展示。バッファローとアイ・オー・データ機器では既存のNASをBitTorrent対応にした参考製品を出展したほか、プラネックスも発表済みのBitTorrent対応製品を出展していた。製品化に関してはバッファローはDLNA対応モデルをベースにしたBitTorrent対応モデルを予定しているが、アイ・オーは現在のところ未定だという。


数日ながらトラフィック面で好結果 実証実験今後の展開

2008年にP2P動画配信ビジネスに参入 P2P動画配信ビジネスのロードマップ

バッファローは同社のNAS「LinkStation」でBitTorrentを使ったデモを実施 アイ・オーもBitTorrent対応NASを展示。発売などは未定

プラネックスは発売済みのBitTorrent対応製品を展示 コレガはBitTorrentで動作確認中のルータを展示。11月にもBitTorrentでの動作確認製品を発表する

関連情報

URL
  Bittorrent
  http://www.bittorrent.co.jp/
  BitTorrent Conference 2007
  http://www.bittorrent.co.jp/agenda.html

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(甲斐祐樹)
2007/10/22 19:14
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