グーグルは6日、携帯電話向けのプラットフォーム「Android」に関する説明会を開催した。説明会は米国とのビデオ会議形式で行なわれ、Androidを担当する米国本社モバイルプラットフォーム担当ディレクターのAndy Rubin氏が、Androidの説明や今後の展望について語った。
■ Androidはインターネットと携帯電話をつなぐ存在
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Andy Rubin氏
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Rubin氏はAndroidについて、「ミドルウェアやユーザーインターフェイスだけでなく、ブラウザやメール、メッセンジャーといったアプリケーションなどさまざまなものを組み込める革新的なプラットフォーム」と説明。Google マップなどGoogleのアプリケーションとも連携でき、パートナーはGoogleのアプリケーションと自社のアプリケーションを組み合わせたマッシュアップも可能になるとした。
Androidを提供する理由に関しては、「インターネットと携帯電話はそれぞれの中で革新的な流れがあり、その2つをつないでお互いの革新性を互いに利用するためのAndroid」と説明。「世界の情報を組織化して普遍的にアクセスする」というGoogleの理念を掲げ、「携帯電話でもよりよい体験を消費者に提供していきたい」との考えを示した。
携帯電話を利用すれば、「家や職場だけでなく、地下鉄やレストラン、スポーツイベントの最中でもGoogleにアクセスでき、消費者はインターネットへ完全にアクセスできる」(Rubin氏)。ビジネスモデルに関しては「検索サイトでもっとも人気があるのはGoogle」とし、コアビジネスは検索と広告を主眼に置いているとした。
■ KDDIやドコモなどもパートナー参加。家電への展開も視野に
パートナーは半導体メーカー、モバイル端末メーカー、通信事業者、ソフトウェアメーカーなど34社が参画を表明しており、日本からもNTTドコモ、KDDIが通信事業者として名を連ねている。Rubin氏は、「プラットフォームは1社独占では、さまざまな携帯電話への要求に応えられない」とした上で、「我々のAndroidはプラットフォームの上に独自仕様を組み合わせることができる」との優位性を示した。
また、「オープンソースの問題点は、誰がそれをサポートするのかということ」という課題も指摘した上で、Androidでは「商業パートナーがプラットフォームに対してのサポートを行なう」とし、サポート面でも問題がないとした。
オープンソースの提供形態はGPLではなくApache Licenseで行なわれ、「GPLであれば開発した成果を還元する必要があるが、Apacheであればその必要はない」(Rubin氏)。LinuxベースのOSを採用するが、「Linuxで利用するのはカーネル部分のみで、全体の2%程度」のために、GPLではなくApacheで提供できるとした。
Androidは携帯電話向けのプラットフォームではあるが、必ずしも携帯電話専用のプラットフォームではないという。Rubin氏は「携帯電話は30億という巨大なマーケットで大きなビジネスチャンス。2~3年は携帯電話を重点的に見ていく」とした上で、「携帯電話に加えてメディアプレーヤーやナビゲーション、STBなどの家電分野にも広げていきたい」との考えを示した。
■ Windows Mobileには「強力なライバル」と自信
日本の携帯電話事業者は、「Walled Garden(塀で囲まれた庭)」と呼ばれることもあるように、事業者ごと個別のプラットフォームを構築している。Androidによるオープンプラットフォームのメリットが日本の事業者にとってメリットがあるのかという指摘には「我々がオープンプラットフォームを無償で提供することで、携帯電話のコストを10%は削減できる」と説明。ドコモとKDDIについては「私の見解としては、携帯電話の事業者はインターネットの可能性を携帯電話に持ってきたいという願望があるのだろう」とし、「インターネットの革新的な世界を携帯マーケットに浸透することで、よりよい体験ができるようになる」とした。
また、「日本の市場は消費者の能力が高く、文化的にも多くの人が新しいことに試みようとしているのが魅力的」とコメント。「日本の好奇心に対し、我々の新しいプラットフォームはその希望を満足させられるだろう」とした。
開発進捗に関しては、SDKを1週間程度で公開する予定で、「Mac、Windows、Linuxでエミュレーションでき、開発ツールなど一連のツールも用意する」。SDKの公開によりコミュニティやユーザーからのフィードバックを受け、開発に反映していく方針だ。
マイクロソフトもモバイル向けに「Windows Mobile」というOSを提供しているが、Rubin氏は「AndroidはWindows Mobileの強力なライバルになると考えてもらっても構わない」と発言。「これまでのOSはベンダーに対して機能の要望を出してきたが、Androidは機能を自由に選択できる」との強みをアピールした。端末に関しても「ハイエンドモデルとローエンドモデルどちらにも対応でき、ハイエンドを望むヘビーユーザーにも高機能なブラウザを提供できるだろう」とした。
■ URL
ニュースリリース(英文)
http://www.google.com/intl/en/press/pressrel/20071105_mobile_open.html
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(甲斐祐樹)
2007/11/06 14:16
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