BIGLOBEを運営するNECビッグローブは27日、これまでの事業実績と今後の事業戦略に関する説明会を開催した。6月に就任した飯塚久夫 代表取締役 執行役員社長が登壇し、これらの説明を行なった。
■ FTTHが100万、BIGLOBEストリームが800万件超に。HSDPAは3万件が目標
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NECビッグローブの飯塚社長
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BIGLOBEでは、ISP事業とプラットフォームサービス事業、ブロードバンドメディア事業の3つを柱に事業展開を進めている。ISP事業では、2007年7月にFTTH会員数が100万件に到達し、2008年3月までに130万超のFTTH会員獲得を目指している。また、NTTが2010年までに2,000万件の光アクセス加入者目標を掲げているが、同社では約1割の200万件をBIGLOBE会員としたい考えだという。
12月13日には、イー・アクセスと連携したHSDPAによるMVNOサービスを開始予定。BIGLOBEでは、2008年度末までに1万件から3万件程度の加入者を獲得したいという。なお、モバイルWiMAXに関してはHSDPAに続く、モバイルサービスと位置付けているとした。
ブロードバンドメディア事業では、動画配信サービス「BIGLOBEストリーム」の視聴登録者数を公表。それによれば、2007年10月末に800万件を突破し、現時点で視聴登録者数は820万件になるという。飯塚社長は「GyaO、Yahoo!動画に次ぐ規模だと考えており、今後は800万超のポテンシャルを活かした広告収入拡大などを図る必要がある」と語った。
同事業ではまた、旅行ポータルサイト「BIGLOBEトラベル」でクチコミへの対応、ぴあや地方タウン誌とのクロスメディア展開によって、ページビューが10カ月で6倍に伸びたという。加えて、評判分析サイト「BIGLOBEみんなの評判β」や、250以上の公式サイトを展開する携帯電話向けサービスも好調だとしており、今後も注力していく考えを示した。
プラットフォームサービス事業では、会員コミュニティソリューションや映像配信ソリューション、モバイルソリューションなどを展開。飯塚社長は「インターネット事業者として培ったノウハウを活かし、ピークトラフィックにも対応できるプラットフォームを用意している」と述べた。
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ISP事業の実績
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ブロードバンドメディア事業の実績。BIGLOBEストリームの登録数は800万を超えたという
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■ 新たな戦略コンセプトで事業拡大を推進。ユーザー参加の2次コンテンツも
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「BIGLOBE Assets as a Service」の概要図
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飯塚社長は続けて、同社を取り巻く現在の環境を説明。その中で、NGNやモバイルWiMAX、IPv6、SaaSなどの「ネットワークや情報サービス環境の変化」に加え、インターネット接続が可能な機器の増加による「個人におけるメディア接点の拡大」、企業システムの「Webサービス化による変化」を挙げた。
こうした変化に対応するため、新たな戦略コンセプト「BIGLOBE Assets as a Service」を策定。パートナー企業と培ったシステム基盤やビジネスノウハウを外部連携の資産として体系化するほか、協業スキーム自体も連携要素として活用していくという。
具体的には、モバイル機器など端末の多様化によるクロスアプライアンス、ユニークなサービス、SaaSの3つを戦略コンセプトの焦点に据え、各事業を横断する形で事業全体を拡大させる考えだという。
クロスアプライアンスサービスの例としては、BIGLOBEトラベルを例に自宅や移動中、旅行先などでシームレスに情報を共有できるサービスをイメージするという。加えて、現在ローカルテスト中のものとして、携帯電話とPCを連携させ、利用シーンに応じてダイジェストや本編映像を視聴できる試みも紹介した。
代表取締役 執行役員専務の佐久間洋氏は、「iPhoneのように、携帯端末でもさまざまな表現が可能になる。また、WiMAXの登場によってインターネットとシームレスな接続が可能になり、これまでのアプライアンスから変化が生じる可能性もある」とコメント。「NECはデバイスメーカーだけではなく、チップメーカーの側面もあり、今後もアプライアンスとの連携を進めていきたい」と述べた。
また、ユニークなサービスとしては現在提供するアバターを利用した視聴者参加型の「みんなでBIGLOBEストリーム」などのように、ユーザー参加によって新たなコンテンツに作り出す2次的コンテンツの展開も進めていくという。加えて、動画投稿やブログ、SNSなどのCGMコンテンツを、マスメディアと連携させ、ポータルサイトの新たな価値を創造させるための取り組みも推進していく。
SaaSに関しては、BIGLOBEのプラットフォームと連携可能なWebAPIを公開し、外部システムのアプリケーションとの連携も据える。飯塚社長はSaaS展開の一例として、10月に発表したアドビ システムズとの電子文書統合管理ASPサービスを紹介した。
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3つの戦略領域で事業全体を拡大させる方針
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クロスアプライアンスサービスのイメージ例。このほか、健康管理サービスなども挙げられた
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ユーザー参加型コンテンツによって2次コンテンツの創造も
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SaaSではWebAPIと外部システムとの連携も視野に入れる
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■ 2010年に売上1,000億円が目標。NGNで「iモードのような成功を期待」
NGNに対しては、BIGLOBEが持つプラットフォームの活用を示したほか、同社のSaaS基盤をもとに他のアプリケーションサービスやコンテンツプロバイダーが参加できる仕組みも整えたいという。
飯塚社長は、「iモードでは、コンテンツプロバイダー各社がiモードのプラットフォーム上で、4,000億円規模の成功を収めている」とコメント。「NGN市場でもユーザーに受け入れられるようなサービスを各社が知恵を出し合って、ビジネスとして成功させることが鍵になるだろう」と語った。
このほか、BIGLOBEキャピタル株式会社を設立し、総額30億円、期間7年間のBIGLOBEファンドを立ち上げ。飯塚社長は「キャピタルゲインが目的ではなく、当社と相乗効果を上げるための出資」としており、場合によっては直接出資を行なう考えも示した。
その上で、2010年の売上目標を1,000億円と設定。「現在、57%のISP事業は売上げ的には横ばいが続くため、アセット活用事業の事業拡大を図りたい」とし、2010年時点でISP事業以外の売上げ比率を6割に高めたい考え。飯塚社長は最後に、「情報だけではなく、人や企業を繋げられる、新たな価値を生み出す場としてBIGLOBEの事業を進めていきたい」と抱負を語った。
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BIGLOBEにおけるNGNへの取り組み
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BIGLOBEのプラットフォームと通信キャリアのNGNサービス基盤連携も進める
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■ URL
NECビッグローブ
http://www.biglobe.co.jp/
BIGLOBE
http://www.biglobe.ne.jp/
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(村松健至)
2007/11/27 15:10
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