任天堂、NTT東日本、NTT西日本の3社は、家庭用ゲーム機「Wii」と、NTT東西の「フレッツ光」との接続推進に向け協業すると発表した。3社共同で「Wii×フレッツ接続サポートセンター」を開設、11月29日午前9時よりサービスを開始する。
「Wii×フレッツ接続サポートセンター」では、NTT東西の「フレッツ光」新規申し込みから無線LAN機器のレンタル・購入の手配、電話や訪問によるサポートを実施。また、接続工事や無線LANアクセスポイント、Wiiで利用する有料ポイント「Wiiポイント」をパックにした「簡単!便利!Wii接続おまかせパック」も提供する。
「簡単!便利!Wii接続おまかせパック」は、フレッツ光の新規回線工事費と無線LANアクセスポイント、Wiiポイント1,000ポイントに加え、Wiiの訪問設定もしくはWiiポイントを1,000ポイントがセットになる。無線LANアクセスポイントは購入扱いのため、月ごとのレンタル料などは発生しない。
料金は、バッファローのゲーム機向け無線LANアクセスポイント「Wi-Fi Gamers」を利用する場合は6,800円で、バッファロー製無線LANルータ「WHR-G」を利用する場合は8,800円。また、NTT東日本では別途指定のアンケートに答える、NTT西日本では「フレッツ・あっと割引」「CLUB NTT-West」への加入が条件となる。
また、NTT東日本の場合、IP電話「ひかり電話」を利用する場合の料金プランも用意。Wii訪問設定やWiiポイントなどの条件は同一で、ひかり電話対応ルータを無線LAN化するための無線LANカードをレンタルする場合は3,150円、ひかり電話対応ルータのレンタルに加えてWi-Fi Gamersを利用する場合は9,950円で、レンタル料金はひかり電話対応ルータが月額472.5円、無線LANカードレンタルが月額315円。
いずれの料金も2007年12月31日申し込み分までに適用。それ以降の料金は変更になる場合があるという。また、「簡単!便利!Wii接続おまかせパック」はフレッツ光の新規加入者向けだが、既存の加入者に対しても無線LANアクセスポイントやルータを割引価格で販売するという対応も行なうとしている。
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協業による2つの取り組み
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「Wii×フレッツ接続サポートセンター」の概要
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土日も受け付ける
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新規加入者向けのパックメニュー
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■ Wiiのネット接続率40%を向上するためには環境整備も必要
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任天堂の波多野信治代表取締役専務営業本部長
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10月28日に3社が共同で開催した記者発表会には、任天堂の波多野信治代表取締役専務営業本部長、NTT東日本の古賀哲夫代表取締役副社長、NTT西日本の井上裕生代表取締役副社長が出席。今回の協業に関する経緯や目的について説明した。
任天堂の波多野氏は、同社が掲げる「ゲーム人口の拡大」というコンセプトに触れ、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」に代表される幅広い世代を対象としたソフトの発売により、10月にはニンテンドーDSの国内販売数が前例のないスピードで2,000万台に達したと説明。Wiiについては「家庭や友人などとのコミュニケーション促進をテーマとし、取り巻く人々を笑顔にすることがマシンコンセプト」と語った。
具体的には、Wii対応ゲームソフト以外にも写真チャンネルや似顔絵チャンネルといった機能を本体にプリセット。インターネット接続によって利用できる「お天気チャンネル」「インターネットチャンネル」といったサービスも展開。オンライン対戦ソフトの充実などを図りつつ、2008年3月にはオリジナルゲームををインターネット経由で配信する「Wiiウェア」の準備を進めているとした。
そうした取り組みの一方で、Wiiのインターネット接続率は「40%程度に留まっている」と波多野氏は指摘。これはインターネット接続設定済みのWiiからインターネット経由で自動的に情報を収集し、実際の販売台数で割った数値だが、波多野氏は「ブロードバンド普及率が50%を超えているのに対し、Wiiの接続率は不十分」と指摘。さらなる接続率向上にはゲームソフトやサービスの充実だけでなく、ネットワーク接続のための環境整備が必要不可欠だとした。
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「Wiiをインターネットに接続する」取り組み
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接続率向上に向けてサポートセンターを共同運営
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■ パソコン以外へのネット展開としてゲーム機に期待
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NTT東日本の古賀哲夫代表取締役副社長、
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NTT東日本の古賀氏は、「従来までのインターネットはパソコンに頼った普及だったが、2010年に2,000万回線の光アクセス加入者数という目標を達成するためにはパソコンを使わないサービスも重要」と説明。これまでのフレッツ光加入の牽引役になったという「ひかり電話」のほかにテレビ向けの映像配信サービス、テレビ電話や自宅監視サービスなどを提供してきたとの経緯を語った。
また、「日本のブロードバンド環境はこれだけ整っているのに、この上でプレイするためのサービスがなかなか日本では出てこないことが非常に残念」とコメント。「米国では回線速度が3~4Mbpsにも関わらずYouTubeやGoogleといったサービスが登場している」とした一方で、「Google Earthなどは本来3~4Mbpsでは満足できないだろう。こういうサービスは光がなければ」と語った。
こうしたパソコン以外へのネット展開という取り組みの中、ゲームという分野は「日本が世界でもっとも得意とする分野」と指摘。「ゲーム機からインターネットや対戦ゲームも楽しめる画期的な時代が始まろうとしており、これが私たちが一番期待している点」と語り、今回の協業でパソコンを使わないユーザーへのフレッツ光加入を進め、2,000万の目標を達成するとした。
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光のさらなる展開のためにはパソコン以外が重要
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ノンPCユーザー以外への展開としてWiiに期待
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■ 協業でフレッツ光の月間30万加入を目標
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左からNTT東日本の古賀哲夫代表取締役副社長、任天堂の波多野信治代表取締役専務営業本部長、NTT西日本の井上裕生代表取締役副社長
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サポートセンターの規模は、開始当初は東西合わせて30名程度だが、「トラフィックの状況に合わせて変更していく」(NTT西日本の井上氏)。また、海外でのサポート展開については「欧米ではリビングのネットワーク接続が進んでいる」(波多野氏)とコメント、現在のところサポートセンターの海外展開は予定していないとした。
協業による具体的なフレッツ光加入者数の目標は、古賀氏が「Wiiは月に30万台売れているというが、フレッツ光は20万程度。この差を埋められれば」と、月30万加入の目標を示した。一方で任天堂の波多野氏は「「Wiiの販売数は季節的な変動も含めさまざまな要因がある」と指摘。「Wiiの全世界での販売目標は10月に発表しており、この30万台という数値だけを取られると誤差が生じる」と補足した。
バーチャルコンソールの収益面に関する質問については、波多野氏が「全世界で780万ダウンロード、売上で約35億」というデータを紹介。「多いか少ないかでは判断に迷うが悪い数字とは思っていない」とした。また、3月に開始するWiiウェアについては「クリエイターのチャレンジの場であり、売上は必ずしも目的ではない」とした上で、「コストに見合う程度の収益が上げられれば」と語った。
Bフレッツ以外のブロードバンドサービスへの対応について任天堂の波多野氏は「他の取り組みは現在のところない」(波多野氏)」とコメント。一方、Wii以外のゲーム機に関してNTT東日本の古賀氏は「基本的に会社の仕組みとして排他的にはできず、そういう意味ではやらないとは言えない」とした上で、「ゲームの世界では一番強いWiiと組むのがベスト」との考えを披露。他社のゲーム機も「話があれば検討したい」とした。
■ URL
ニュースリリース
http://www.ntt-east.co.jp/release/0711/071128a.html
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(甲斐祐樹)
2007/11/28 15:04
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