Broadband Watch logo
最新ニュース
【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
グーグルのOpenSocial説明会「APIの共通化でWebはもっと進化する」

 グーグルは、11月に発表したSNSのAPI規格「OpenSocial」に関する説明会を開催した。説明会にはOpen Socialのエンジニアで米GoogleのDevelopper advocateを務めるクリス・シャルク(Chris Schalk)氏が出席し、OpenSocialの概要について説明した。


共通APIでアーキテクチャを気にせずアプリケーション開発に特化

OpenSocialのエンジニアを務めるクリス・シャルク(Chris Schalk)氏
 Googleの「OpenSocial」とは、Webサイトにソーシャル機能を搭載するための共通API規格。これまで各サービスごと異なる規格で公開されていたAPIを標準化することで、複数のサービスに対応するアプリケーションをより簡単に開発できるようにあるという。

 シャルク氏は、「これまでのSNSはがそれぞれ異なる技術で構築されているため、開発者は複数の異なるテクノロジーを学ぶ必要があった」とコメント。「メールや写真を互いに送り合えるなど、すでにWebはソーシャルであると言う人もいるが、こうしてAPIが共通化されることで開発が進み、Webはもっと進化していくだろう」との考えを示した。

 11月のOpenSocial発表以降、参加を表明する企業は200を超えており、日本からもミクシィが参画を表明しているほか、他にも参加を表明している日本企業があるという。シャルク氏は「Opensocialはオープンかつ同一のインフラのため、アプリケーションの開発者はアーキテクチャを気にせずサービスやアプリケーションの革新性に注力できる」と説明。「OpenSocialはGoogleだけではなく、さまざまなパートナーと協力して作っていくもの。そうしたパートナーからのフィードバックを踏まえて技術をより進化させていただきたい」とした。

 企業向けの展開も視野に入れており、「メッセージの送受信だけではない、まったく新しい企業間のコミュニケーションを生み出せるのではないかと期待している」とコメント。OpenSocialとしては個人、企業共に対象として展開していくが、企業がOpenSocialを活用することで企業の持つ潜在能力を引き出せるとした。

 モバイルにも対応しており、「HTMLやJavaScript、Flash/Flash Liteといったコア技術で構成されているため、モバイルとPCの境界線がない」。AmazonのWebサービスなどでも採用されているREST APIも対応し、「REST APIでやり取りするソーシャルなデータをより信頼できるような機能拡充に向けて開発が進められている」とした。


OpenSocialがWebにもたらすもの 200以上の企業がOpenSocialに賛同

友人間だけでなく企業間のやり取りもOpenSocialが活用できる モバイルにも対応

友人の行動や関係をAPIで取得。ユーザーレベルでもAPI利用が可能

OpenSocialが提供するAPIの内容
 OpenSocialで提供するAPIの具体的な内容としては、SNSの友達関係などをデータとして取得するAPI、他のユーザーの行動を取得できるAPI、データを友人間で共有するためのAPIを用意。ユーザー認証やセキュリティ面も配慮しており、「ハッカーや成りすましを防止する確実にセキュアなトランザクションに向けて注力している」とコメント。WebやデスクトップアプリケーションからのセキュアなAPI認証を行なうためのプロトコル「OAuth」もサポートするとした。

 APIはオープンに提供し「全部のAPIを利用することが強制ではなく、好きなAPIの部分だけを使える」と説明。また、ユーザーレベルでもOpenSocialのAPIは利用可能で、アカウントを取得すればOpenSocialのアプリケーションを作成できるという。

 APIだけでなくSPI(Service Provider Interface)も対応予定であり、「アプリケーション構築だけではなく独自ホスティングしたい時などは、SPIを使うことでオープンソーシャルネットワークのホストになれる」と説明。OpenSocialに関するWebサイトも公開しており、Googleからの情報も定期的に発信していくほか、フィードバックも寄せて欲しいと語った。


日本は「最もSNSが成功している国の1つ」として期待

グーグル プロダクトマネージャーの石原直樹氏

「もっともSNSが成功した国の1つ」として日本からのフィードバックに期待
 OpenSocialの日本に対する姿勢に関しては、グーグル プロダクトマネージャーの石原直樹氏が説明。「日本はSNSが最も成功している国の1つと認識している。世界中的に見ても、日本のユーザーが占める割合はかなり大きい」との状況を説明した上で、「OpenSocialにとっても日本は重要な存在」とコメント。OpenSocialへの日本からのフィードバックに期待しており、「海外での会議は時差や距離の関係でなかなか参加できないが、ビデオカンファレンスなどで積極的に情報を提供していきたい」とした。

 日本から期待するフィードバックとしては「日本特有の事情も含め、全般的な意見を期待しているが」と断った上で、「モバイル化が進んでいる日本のSNSからのフィードバックはとても重要」と例を挙げたほか、「ローカライゼーションは世界中の問題だが、中でも日本はローカライゼーションの問題提起が多く、ローカライゼーションが重要視されている」と語った。

 SNSのAPI公開としては、Facebookが積極的なAPI公開で注目を集めるとともに急速にユーザー数を伸ばしているが、シャルク氏は「Facebookと対決するつもりはなく、一緒にやりたいと考えている」とコメント。また、Facebookが提供している、友人の行動を広告化する「Facebook Ads」については、「非常に面白い」とコメントしたが、「OpenSocialでの広告展開は将来的にはあるかもしれないが、今のところはGoogleはテクノロジーに集中している」とした。

 OpenSocialの収益化に関しては「明確なプランはないが、幸運にもGoogleは実験的にコアテクノロジーに注力できるだけの能力がある」と説明。「収益は後からついてくると考えている。まずはWebに対して技術革新をもたらし、もっと健全な環境を構築していきたい」との考えを示した。


関連情報

URL
  OpenSocial - Google Code(英文)
  http://code.google.com/apis/opensocial/
  関連記事:GoogleとMySpace、オープンなソーシャルアプリ開発のためのAPIを公開[INTERNET Watch]
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/11/02/17391.html


(甲斐祐樹)
2007/12/03 14:57
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.