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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
アドビ、H.264やHE-AACに対応した「Flash Media Server 3」を発表

 アドビ システムズは4日、Flashコンテンツを配信するためのソフトウェア「Adobe Flash Media Server 3」正式版に関する説明会を開催した。合わせて、「Adobe Flash Player 9 Update 3」正式版の提供を4日に開始すると発表した。


H.264対応に加え、保護機能やパフォーマンス向上。低価格化も実施

H.264とHE-AACコーデックに新たに対応
 「Adobe Flash Media Server 3(FMS3)」は、ビデオコーデックとしてH.264を、オーディオコーデックとしてHE-AACを新たにサポートした同社コンテンツ配信ソフトの最新版。これにより、各フォーマットで作成したコンテンツの直接配信が可能になった。また、1080pのHD画質での配信も可能。いずれも再生には、同時発表のプレーヤー「Adobe Flash Player 9 Update 3」を利用する。

 コンテンツ保護機能では、現行版でサポートする独自プロトコルに暗号化を追加した「RTMP(Real Time Messaging Protocol Enhanced)」を採用。同社では、より安全にコンテンツをストリーミング配信できるとしている。また、SWFファイルを検証する機能も用意し、オリジナル素材から改竄された映像、ハッシュが正規版と1bitでも異なる場合には映像の再生ができないという。

 また、前バージョンと比較して同時接続ストリーム数が200%増加するなどのパフォーマンス向上施策も実施。同時ストリーム数の増加によって、コストパフォーマンスの向上が期待できるほか、従来差があったWindows版とLinux版の双方でパフォーマンス改善が実現できたとしている。

 このほか、携帯電話向けプレーヤー「Adobe Flash Lite 3」とも連携。FMS3が配信するコンテンツのダウンロード再生に加え、ストリーミング再生にも対応。アドビでは特に、ストリーミング再生に対応することで、携帯電話側のメモリ領域を消費せずにスムーズな再生が可能になると説明している。

 なお、NTTドコモの「905iシリーズ」はAdobe Flash Lite 3を実装しているが、ドコモが独自に改良を加えているため、Flash Videoの再生には対応しないという。アドビでは、再生可能端末の登場時期について、国内キャリアから2008年内に登場する見込みだと述べた。


著作権保護施策も実施 Flash Lite 3でFlash Videoのストリーミング再生デモも行なわれた

 FMS3の製品構成は、従来の1モデル複数エディションから、2モデルのシンプルな構成へと刷新。一方向のストリーミングサーバーに特化した「Adobe Flash Media Streaming Sever 3」と、双方向を持たせオリジン/エッジサーバーの構築が可能な「Adobe Flash Media Interactive Sever 3」を用意し、どちらの場合でも最大同時接続数や帯域制限に上限はない。

 製品価格は、「Streaming Sever 3」が13万5,870円、「Interactive Sever 3」が61万4,200円。現行モデル「Flash Media Sever 2(FMS2)」有償版の価格54万6,000円~546万円と比較して、低価格が図られた。また、アップグレードパッケージも用意している。


「Adobe Flash Media Streaming Sever 3」概要 「Adobe Flash Media Interactive Sever 3」は、Streaming Sever 3を機能強化したバージョン

「Flash Player 9」最新版を4日に公開。プレーヤーソフトは来年公開

Flash Player 9 Update 3の機能強化点
 「Adobe Flash Player 9 Update 3(コードネーム:Moviestar)」は、Windows版とMac版、Linux版を同時に公開。今後はSolaris版のリリースも予定するという。

 同バージョンでは、コーデックとしてH.264とHE-AACに対応。また、IPv6による通信にも対応した。パフォーマンス向上も図られ、最大4つのマルチコアプロセッサへのサポート、フルスクリーンモード時のハードウェアアクセラレーション対応、On2 VP6コーデックの改善なども実施された。

 OS別では、Mac OS X Leopardへ対応するほか、Linuxでのフルスクリーンモードをサポート。加えて、アクセシビリティ施策として、マイクロソフトの「Microsoft Active Accessibility」APIにも対応した。


H.264コンテンツの再生例 12月後半には「TOKYO VIDEO MAGAZINE」正式版が公開される

Adobe Media Player

アドビ システムズのイルグ社長
 説明会ではこのほか、現在開発を進めているFlashコンテンツのプレーヤーソフト「Adobe Media Player」も紹介された。同ソフトは「Adobe Air」ベースで開発中の無償ソフトウェアで、RSSやSMILを使った映像配信などが可能になっている。

 配信形式はダウンロード、P2P、ストリーミングをサポート。説明会では詳細は明かされなかったが、Windows Media DRMに相当するコンテンツ保護機能も盛り込む考えだという。

 同ソフトは現在、パブリックベータが提供されている。2007年12月にバージョン2が登場する予定で、同バージョンでH.264への対応が実施される。正式バージョンは2008年2月に英語版がリリース予定で、日本版は2カ月から3カ月後に投入する考えだという。

 アドビ システムズのギャレット イルグ代表取締役社長は、「現在、ビデオコンテンツがインターネットのキラーアプリケーションと目されている」とコメント。Flashの特徴として、ユビキタス性やクロスプラットフォーム性、高解像度対応、著作権保護機能を挙げ、「特に日本市場では著作権保護に対するニーズが高く、当社では保護対策にも力を入れている」とした。

 今回発表したサーバーソフト2製品について、「当社ソリューションに新しい付加価値を提供するもの」と発言。「日本ではブロードバンド環境が進んでおり、当社が起こそうとしている動画に対する革新が、よりスピーディーにインパクトをもって実現できるのではないか」と抱負を語った。


説明会では米国市場のFlash動向も紹介。画面はプライムタイムのテレビ番組をFlash配信している例 Flash Video Streaming Serviceのパートナー企業。日本はJストリーム、アカマイ、IIJの3社

関連情報

URL
  アドビ システムズ
  http://www.adobe.com/jp/
  関連記事:Adobe、Flash PlayerでH.264をサポート[INTERNET Watch]
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/08/21/16653.html
  関連記事:アドビの「Flash Lite 3」、ドコモとノキアで採用[ケータイ Watch]
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/36977.html

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(村松健至)
2007/12/04 18:30
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