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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
DS2、物理速度400Mbpsの通信を実現する高速PLC技術などを紹介

 Design of Systems on Silicon(DS2)は24日、物理速度で最大400Mbpsの通信が可能な高速PLC技術などに関して説明会を開催した。


400Mbpsチップの量産は2009年頃を予定。実効値は250Mbps前後

DS2のホルヘ・ブラスコ・クラレット社長

400Mbpsタイプの概要
 DS2はスペインに本社を置く企業で、高速PLC規格団体の1つ「UPA(Universal Powerline Association)」に参加し、UPA規格のチップ開発などを行なっている。日本法人「DS2 Japan株式会社」も設立されているが、今回の説明会ではDS2のホルヘ・ブラスコ・クラレット 代表取締役社長 兼 最高責任者が登壇。冒頭、同社の概要や欧米市場における状況などを説明した。

 米国・ラスベガスで開催された「2008 International CES」でも紹介されていたが、物理速度で最大400Mbpsの通信が可能な高速PLC技術は現在開発中のもの。CESの展示と同様に、ボックスに入った試作機を用いてデモが行なわれた。

 「競合他社と比べ、いち早く開発を進めている」と語るブラスコ社長は、同チップセットの出荷時期について「サンプル出荷を2009年半ば、量産出荷を2009年終わりまでに開始したい」と説明。市場に登場する製品についても、「200Mbpsタイプの現行製品と同等サイズになる」と見通しを示した。

 利用する周波数帯については、既存UPAと同じ周波数帯タイプを使うケースと、米国連邦通信委員会(FCC)が検討を進める100MHz帯までの周波数帯を含めたケースが考えられるという。ただし、各国により状況が異なるため、最終的に利用する周波数帯については「今後検討していく」とした。

 実効速度は最大250Mbps前後で、現行の200Mbps製品とも相互接続性をサポート。また、256bitのAES、ビデオQoSに対応するほか、「TR-069」に準拠したリモート接続機能をチップ上で実現できるとしている。携帯電話や他の電化製品などのノイズを原因とした速度低下に関しては、「ノイズの影響を抑えており、従来より改善が図られるだろう」とした。


奥にあるのが試作機 将来的に家電製品への搭載も予測する

100Mbpsの低価格モデルを2008年に出荷開始。200/400Mbpsと互換性を確保

デモでの実効速度。縦軸は青の横線を100Mbps単位に最大300Mbps。計測値は左から400Mbps、200Mbps、100Mbps、IEEE 802.11n、Homeplug AV、HD-PLC
 ブラスコ社長は合わせて、2008年第1四半期にサンプル出荷を開始する物理速度100Mbpsの「MONTGOチップセットソリューション」を紹介。MONTGOは通信速度を抑えた低価格チップセットという位置づけで、インターネットや音声・データのやり取りを主な利用用途に想定している。

 チップセット価格は1個5.55ドルで、ブラスコ社長は「非常に安価なソリューション」と説明。「市場に投入される製品は、200Mbps製品やIEEE 802.11n製品よりも安価で、IEEE 802.11a/b/g製品程度の価格になるのではないか」とした。また、200Mbps/400Mbpsとの互換性も備えるという。

 説明会では、400Mbpsプロトタイプと100Mbpsリファレンスモデル、200Mbpsの市場投入品、IEEE 802.11n無線LANを組み合わせたデモンストレーションを実施。400Mbps機器同士では実測250Mbps前後の速度が確認できた。続けて、1台を200Mbps、100Mbps機器に切り替えても通信ができることを紹介し、ブラスコ社長は「互換性は非常に重要な点である」と強調した。

 また、他の高速PLC規格に対応した機器同士のデモンストレーションを行なったブラスコ社長は、「70Mbps前後に留まっている他規格と比べて、UPAは100Mbpsに近いパフォーマンスが期待できる」と付け加えた。なお、無線LAN製品とのデモでは「通信の安定性はUPAにある」としたものの、「モビリティ用途では無線LAN製品が優位性を持っており、補完的な存在である」と述べた。


100Mbpsタイプの特徴 各製品の位置付け

100Mbpsリファレンスモデルと、各国で発売済みの200Mbpsタイプ製品 左の写真は400Mbpsタイプを大人、100Mbpsを子どもに例えている

高速PLC規格の標準化は「各団体が膝をつき合わせて議論する必要がある」

米国市場におけるPLCシェア。200Mbpsタイプが順調に拡大しているという
 高速PLC団体は現在、UPA以外にも「HD-PLCアライアンス(HD-PLC)」と「HomePlug Powerline Alliance(HomePlug)」が存在している。

 このうち、HD-PLCとHomePlugは「IEEE P1901」に対して共同で仕様提案を行なっている。ブラスコ社長は「3つの規格が存在している段階では、どれが標準であるということはないだろう」とした上で、「IEEEで標準化が完了するのは2010年以降になるのではないか」と自身の考えを示した。

 その上で同氏は、「標準化にあたっては各団体が膝をつき合わせて議論する必要がある」とコメント。「標準化に際してUPAは、妥協することも前向きに考えている」と述べた。ただし、「それまでは市場シェアが重要な点になる」とし、「DS2としては年内に200万チップセット以上、将来は800万以上に出荷実績を積み上げていきたい」とも語った。

 このほか説明会では、東芝の大分工場でチップセット製造を委託している点も紹介された。東芝の担当者によれば、現在は130nmプロセスだが、将来的には90nmプロセスや65nmプロセスへと移行させたいという。

 なお、東芝製チップを搭載した製品が市場に登場するのは、200Mbps/100Mbps製品を含めて2008年3月以降になるとした。


関連情報

URL
  DS2(英文)
  http://www.ds2.es/

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(村松健至)
2008/01/24 19:18
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