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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ワイヤレスブロードバンド企画が事業会社化。新社名などを発表

 ワイヤレスブロードバンド企画は3日、事業会社化に伴う会見を行なった。3月1日に社名を「UQコミュニケーションズ株式会社」に変更したほか、2月28日付で161億5,000万円の増資も完了した。


田中社長「普遍かつ高品質なデータ通信インフラをWiMAXで提供」

新社名「UQコミュニケーションズ」のロゴ
 ワイヤレスブロードバンド企画は、2007年8月29日に企画会社として設立。当初はKDDIの100%子会社だったが、9月にはインテル キャピタルとJR東日本、京セラ、大和証券グループ本社、三菱東京UFJ銀行が資本参加している。その後、2.5GHz帯を利用したモバイルWiMAXサービス提供に向けて総務省に免許申請を行ない、12月21日に開設計画の認定を取得した。

 新社名となる「UQコミュニケーションズ」は、「世界標準規格のモバイルWiMAX技術を活用した、普遍かつ高品質(Universal Quality)なデータ通信インフラを提供する」という思いが込められているという。また、「U」にはUniversalに加えて「Ubiquitous」という意味を持たせ、「Q」は「高品質(Quality)・大容量(Quantities)・高速(Quickness)」の意味を持つとした。

 役員構成は、KDDIから出向している田中孝司氏が代表取締役社長を継続するなど、現行の体制から変更はない。また、2月28日には161億5,000万円の増資が完了したが、出資構成も以前と同様。割合はKDDIが32.26%、インテル キャピタルおよびJR東日本、京セラが各17.65%、大和証券グループ本社が9.8%、三菱東京UFJ銀行が5.0%で、現時点で新たな出資企業を募る計画はないという。なお、増資後の資本金は89億2,500万円、資本準備金は80億7,500万円。

 このほか、現在30名前後の社員数を4月1日までに100名体制へと増強する考え。加えて、4月1日付で品川駅付近にある「品川イーストンタワー」へと事務所を移転する予定だという。


社名にこめた意味 ロゴに対する意味も紹介された

東京23区と横浜市で2009年2月に試験サービス。駅構内や地下への対応も

エリア展開スケジュール

JR東日本との実験風景
 基地局スケジュールやエリア展開スケジュールは、2007年12月に行なった説明から変更はない。まず、2008年6月から基地局工事をスタートし、2008年度 第2四半期までに300局の設置を予定。以降も、第3四半期に300局、第4四半期に400局を設置し、2009年度には3,000局を設置する予定としている。

 エリア展開に関しては、2009年2月に東京23区および横浜市などで試験サービスを開始し、2009年夏に東名阪地区へとエリアを拡大して商用サービスを開始する予定。その上で、2009年度末に政令指定都市を、2010年度末までに全国主要都市をカバーする考えだという。

 同社ではまた、JR東日本と共同で駅構内等における電波伝搬実験を2月19日から3月5日にかけて実施している。田中社長は「オープンな基地局ではカバーできない、駅構内や地下の電波特性を調査しており、さまざまな場所でサービスを提供していきたい」と説明。JR東日本以外の鉄道会社については、「協力いただけるパートナーがおられるのであれば、是非話を進めていきたい」と語った。

 料金に関しては、2007年12月の申請時から変更はなく、月額で平均3,200円程度を見込んでいる。ただし、「携帯電話料金も動きがあり、詳細な値段はサービス開始時に改めて発表したい」とした。なお、サービスブランドに関しては今後マーケティング体制を整えた上で決定するものの、「UQ」という名称を使う可能性も示唆した。

 当初の提供端末は、PC向けのカード型端末やUSB端末を予定。その後にPCなどへの組込型をはじめ、UMPCなどの小型携帯端末への提供を検討していく。

 なお、ローミングに関しては米Sprint Nextelや韓国のKTと、4月以降に交渉を進めていくという。Sprint NextelのWiMAX事業に関しては、「立ち上げの遅れなどの話が出ているが、引き続きWiMAX事業を展開する考えだと聞いている」と述べた。


KDDI以外の通信競合他社にも「オープンに対応したい」

社名を紹介するUQコミュニケーションズの田中社長
 会見では、他事業者に対する取り組みも紹介された。MVNOを希望する企業向けの説明会を3月21日に実施、受付を3月7日から同社Webサイトで開始すると発表した。

 田中社長は「説明会は4月から6月を予定していたが、通信事業を現在手がけていない企業を含め想像以上に引き合いがあったので3月に繰り上げた」とコメント。「MVNO事業者が新たなニーズ、市場を切り開くと信じており、今回の前倒しもこうした考えにもとづいている」と述べた。

 2.5GHz帯の免許取得に関しては、NTTドコモとアッカ・ネットワークス、ソフトバンクとイー・アクセスも免許申請を行なっていた。田中社長は「なかなか信じて貰えないのだが」と前置きした上で、「当社ではオープンでフェアネスを掲げており、KDDIの競合他社であってもオープンに対応したい」と述べた。

 会見ではこのほか、同社が契約を結んだベンダーも公表された。屋外基地局は富士通とサムスン電子で、サムスンは屋内基地局ベンダーとしても選定されている。また、アクセスサービスネットワークゲートウェイ装置は日立製作所、コアサービスネットワーク装置はCTCになる。

 田中社長によれば、各ベンダーに発注した機材などは2008年度分になるという。「価格・品質・納期の観点から、今回は以上のベンダーにお願いした。ただ、WiMAX技術は標準化された技術であり、今後価格競争力があって機能も十分なベンダーがあれば、分け隔てなく付き合っていきたい」と付け加えた。


関連情報

URL
  UQコミュニケーションズ
  http://www.uqcommunications.jp/
  ニュースリリース
  http://www.uqc.jp/news/2008/03/post-1.html

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(村松健至)
2008/03/03 16:25


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