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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
情通審の意見募集。NTT東西の情報開示と乖離調整反対意見が寄せられる

 総務省の情報通信審議会は11日、「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の第一種指定電気通信設備に関する接続約款」における、2007年度および2008年度の接続料金の改定、および2008年度以降の接続料金の改定について、再募集していた意見募集結果を公表した。


NTT東西による詳細情報の開示や、接続料金上昇抑制策の必要性が意見される

 総務省では、NTT東西が1月に申請した接続約款変更の認可申請の諮問を受けて、1月16日から2月14日にかけて行なった意見募集を実施。情報通信審議会の再申請要請を受け、2月21日から3月5日にかけて再意見の募集が行なわれていた。NTT東西が申請した接続約款変更内容は、加入者光ファイバの接続料金について値下げするほか、2008年度から2010年度までの3年間は原価予測と実績が乖離した場合、翌期以降に乖離額を調整する方針を明らかにしている。

 公表された意見のうち2007年度および2008年度の接続料金の改定について、KDDIがドライカッパ回線に関しては「詳細な情報が開示される必要がある」として、「ドライカッパの規模が需要に見合わないものになっていないかをチェックすることが重要であり、費用の増減が配賦率の変更によるものである場合は、具体的な配賦基準や数値および目的を明らかにするべき」と意見している。この意見についてはイー・アクセスとイー・モバイルも賛同している。

 また、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクモバイルの3社は、イー・アクセスが提出した「ドライカッパの接続料金の上昇傾向が顕著になってきており、費用算定における減価償却期間を長く設定するなど、料金の上昇を抑制する必要がある」という意見に対して賛同を示しており、「ユーザー料金の値上げなどを実施することは極めて困難であり、料金上昇を抑制する方策について検討する必要がある」とコメントしている。

 一方、NTT西日本はドライカッパ接続料金については「申請した接続料の改定については、接続料規則に従い前年度のコストおよび需要に基づき適正に算定している」とした上で、「接続料は設備コストを回収するものとして、実績の費用や需要に基づき算定することが基本。意図的に水準を抑制することは不適当である」と意見している。また、情報開示については「ドライカッパ接続料のコストの内訳は接続会計報告書および接続料算定根拠で詳細に公表しており、十分検証可能である」としている。


乖離額調整制度については、接続事業者らが反対意見を提出

 2008年度以降の接続料金の改定については54件の意見が寄せられた。このうちNTT東日本はBフレッツの需要予測について「2010年度末に約1,100万契約を見込んでいる」とした上で、「2010年度末までにFTTH提供エリアを拡大し、必要となる芯線数に対応した最小限のゲーブル敷設に必要な投資を見込んでいる」と説明。また、光ファイバの耐用年数についても「使用実態などを踏まえた年数を減価償却費の算定に織り込んでいる」とした上で、「申請した接続料は合理的な需要予測と効率的な費用に基づいて算定しており、申請どおり認可していただきたい」と意見している。

 一方、KDDIはNTT東西が申請している乖離額調整制度について「接続料規則上認められていない考え方」とした上で、「仮にNTT東西の予測と実績に乖離が生じた場合は、算定期間中であっても接続料を再算定し再申請することが可能であることから、乖離額を事後的に調整する必要はない。現実コストに不要なコストが含まれるべきでないことは当然であり、接続料金改定と乖離額調整制度の是非は無関係であると考える」と反対意見を提出している。

 また、ソフトバンクBBら3社も乖離額調整制度について「乖離発生の主たる要因はNTT東西にある」「NTT東西の非効率性に起因する乖離額を接続事業者が負担することになる」「接続事業者にとって予見性がない」「乖離額の起因者と負担者が異なる」「将来原価方式の適用要件から不適切」と反対意見を表明。また、接続料の低減化とOSU共用についても「FTTH市場において公正競争環境を確保するために必要」と意見している。

 このほか、イー・アクセスとイー・モバイルも乖離額調整制度について「算定期間の設定、稼動芯線数の内訳、耐用年数等の算定根拠などが不明瞭であり、接続料金の適正性が証明されていない状態。NTT東西が接続料金の算定根拠の合理性を示す情報を開示し、NTT東西と接続事業者の公平性が担保できるルールが検討されるべき」として反対。また、ジュピターテレコムも「客観的かつ合理的に算出される可能性が低く、NTTのリスク軽減やドミナントの助長につながる恐れがある」として反対意見を提出している。


関連情報

URL
  総務省 報道資料(2008年度以降の接続料金の改定)
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080311_2.html
  総務省 報道資料(2007年度および2008年度の接続料金の改定)
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080311_3.html

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(大久保有規彦)
2008/03/11 17:06


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