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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ウィルコム、世界初のVista/Atomを搭載した新端末「WILLCOM D4」

 ウィルコム、シャープ、マイクロソフト、インテルの4社は14日、インテルのモバイルインターネット端末向けのCPU「ATOM」を搭載し、OSにWindows Vistaを採用したシャープ製端末「WILLCOM D4(ウィルコム ディーフォー、WS016SH)」を発表した。発売は2008年6月中旬を予定し、5月下旬に予約受付を開始する。


WSVGA表示が可能な5型ディスプレイを搭載。3つのスタイルで使用可能

WILLCOM D4を手に持つウィルコムの喜久川政樹 代表取締役社長
 WILLCOM D4は、インテルのCPU「ATOM Z520(1.33GHz)」とマイクロソフトのOS「Windows Vista Home Premium SP1」を搭載したシャープ製の端末。W-OAM対応のW-SIMによるPHS音声通話やデータ通信のほか、IEEE 802.11b/gによる無線LAN通信もサポートする。また、音声通話では別売オプションのBluetoothハンドセットも利用できる。なお、D4自体はマイク入力を持たないため、単体での通話時には付属のヘッドセットを利用する。

 電話機能は、W-SIMユーザーとして登録したユーザーアカウントでWindowsにログインしている場合に(休止・スリープ状態除く)、着信や留守番電話サービスの利用が可能。また、発信はプリインストールされる電話ソフトから行なえる。休止・スリープ状態の場合は、着信履歴のみが残る。

 本体サイズは約188~192.3×84×25.9mm(横×縦×厚)と新書版程度のサイズを実現し、重量は約470g。全64キーのスライド式QWERTYキーボードを搭載し、キーボードを閉じた状態での「Viewスタイル」や開いた状態での「Inputスタイル」に加え、ディスプレイ部を起きあがらせてノートPCライクに使用できる「Deskスタイル」と、3Wayの利用方法を提案している。


キーボードを閉じた状態の「Viewスタイル」 開いた状態の「Viewスタイル」 ノートPCライクに使用できる「Deskスタイル」

別売オプションのBluetoothハンドセット。ディスプレイも搭載 microSDスロットも備え、D4から書き出した電話帳も反映できる D4単体で通話する場合には付属のヘッドセットを利用する

D4およびBluetoothハンドセットをクレードルにセットしたところ。画面はヤッパ開発のUI
 ディスプレイ部は、1,024×600ピクセル(WSVGA)表示が可能なタッチパネル型の5型液晶ディスプレイを搭載。ディスプレイの右側には、ポインタ操作やクリック操作、画面スクロールが可能なタッチパッドを、左側には左右クリックが可能なマウスボタンも用意する。タッチパッドとマウスボタンは、触れるとオレンジ色に発光するイルミネーション機能も備える。

 機能面では、Windows Media Center機能やワンセグ機能、名刺リーダーとしても利用できる約198万画素のカメラ機能、Windowsが休止・スリープ状態でもメールを受信できる「Eメール自動受信」機能、リモートロックサービスを用意。また、Internet Explorer 7やOffice Personal 2007 with PowerPoint 2007、Windows Media Player 11、Windows メール、ライトメール、NAVITIME、ウイルスバスター2008(90日版)などに加え、ヤッパが開発したユーザーインターフェイス「AUQATIC」もプリインストールする。

 本体メモリは1GB(ビデオメモリ用に最大254MBを使用)の固定で、メモリの増設には非対応。HDDは約40GBで、外部スロットとして、micro SDカードスロットを搭載する。また、USB 2.0ポートはminiABコネクタとなり、市販のUSB機器を接続するにはUSB変換コネクタが必要になる。なお、バッテリー駆動時間および連続待機時間は現在測定中だが、ウィルコムによれば「数時間レベルになる」見込みという。


電話やライトメールソフトを起動できるVistaガジェットも搭載 電話ソフトを起動したところ こちらはWordファイルを開いたところ

別売クレードルを利用した有線LAN接続にも対応
 合わせて、専用クレードル「CE-CR04」も別売オプションとして発売。背面部にはLANポート(10BASE-T/100BASE-TX)やRGB出力、オーディオ出力、USB 2.0×4、ACアダプタ端子を搭載。また、上面後部にはバッテリーパックを直接充電できるスペースも用意する。なお、具体的な価格はBluetoothハンドセットを含めて、未定となっている。

 本体価格は、新規加入のW-VALUE SELECTの分割購入時で頭金が39,800円、実質負担金が月額2,100円の24回払いで、合計金額は90,200円。料金プランは、月額3,880円の定額制データ通信プラン「新つなぎ放題」の利用が可能で、音声通話サービスとの併用も可能とする。


W-SIMやmicroSDスロットは左側面に 本体底面 ディスプレイ背面にはカメラやモノラルスピーカーを搭載する

本体上面部にはイヤフォン端子などを装備 ワンセグアンテナ(上段)とスタイラスの収納スペース(下段)は右側面に 本体背面。このほか冷却用ファンも搭載する

これまでのモバイルの概念を超える「ウルトラモバイル」端末

WILLCOM D4を「ウルトラモバイル」端末と位置付け

新書サイズと470gを切る重量で、女性のバックでも持ち運びしやすいとアピール
 ウィルコムの喜久川政樹 代表取締役社長は、「モバイルでインターネットができる『AIR-EDGE』を2001年に開始し、Windows Mobileを日本で初めて搭載した『W-ZERO3』を2005年に投入してきた」と語り、「当社はスマートフォン市場を切り開いてきた」とコメント。また、スマートフォン市場のシェアは2007年10月時点で「69.2%」と、依然として首位である点を改めて紹介した。

 喜久川社長は、「スマートフォンとAIR-EDGEを包含し、2009年にサービス開始予定の次世代PHSサービスを見据えた端末として、各社と協力して『WILLCOM D4』を開発した」と発表。PC市場がデスクトップPC、ノートブックPC、UMPCという流れにあるのに対し、「音声/データ通信カード、スマートフォンと経てきたモバイルの概念を超える、『ウルトラモバイル』として提供していきたい」と抱負を語った。

 ターゲット層は、これまでウィルコムが開拓してきた20代から30代のビジネスパーソン、法人マーケットに加え、学生をはじめとしたプライベート層への利用も視野に入れる。新書サイズという本体と、500gを切る本体重量から、女性のハンドバックにも入れやすいと喜久川社長自らがコーチのバックを持ってアピールした。

 WILLCOM D4は、5月27日と28日に東京ミッドタウンで開かれる自社フォーラム「WILLCOM FORUM & EXPO 2008」でタッチ&トライを予定。また、同フォーラムでは、それ以外の新商品も複数紹介する予定という。

 なお、次世代PHSへの対応に関しては「W-SIMインターフェイスの状態で対応できるかは未定」としたが、「次世代PHSのネットワーク上で、D4が何らかの形で動作できるよう検討は進めている」と付け加えた。

 通信速度面ではHSDPAを採用した他社サービスよりも劣るが、喜久川社長は「2008年度以降は数十Mbps以上の次世代PHSサービスを提供し、既存のUMPCに対してもある程度のインターフェイスを用意する考えである」と説明。その上で、「当社には実効速度が落ちにくいマイクロセルシステムという強みがある」と語り、「PHS通信以外にも無線LANや有線LAN対応、公衆無線LANサービスとの連携なども実施しており、その場その場に適したネットワークを用意している」と述べた。

 端末の転売対策としては、必要十分な対策を打つ考えを示し、「PHS端末でも同様の問題があり、そこでのノウハウを蓄積している」とした。ただし、W-SIMカードの有無によるロック機構は備えないという。


シャープの松本雅史 代表取締役副社長。D4は大和郡山製だと明かすとともに「デジタルコンバージェンス時代にふさわしい商品」とした マイクロソフトの佐分利ユージン 執行役常務。「パーソナルやオフィスなどあらゆる場で活用できる端末」と期待 インテルの吉田和正 代表取締役共同社長。「各社と協力して新しいモバイルインターネットカテゴリを創造し、市場の成長を期待する」と抱負を語った

デモ会場では各社の対応製品も展示。写真はインクリメントPが開発するMapFanブランドのカーナビアプリ。GPSアダプタと連携して利用する アイ・オー・データ機器のGPSレシーバ RGB/USBケーブルや非接触式ICカードリーダも展示された

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2008/04/14/index.html
  シャープ 製品情報ページ
  http://www.sharp.co.jp/d4/
  関連記事:インテル、小型端末向けCPU「Atom」の詳細を発表[ケータイWatch]
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/news/2008/04/02/39263.html

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(村松健至)
2008/04/14 14:08


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