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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
イー・アクセス決算、モバイル契約数は41万件。ADSLは減少傾向が続く

 イー・アクセスは14日、2008年3月期(2007年4月~2008年3月)の連結業績に関する説明会を開催した。2008年3月末時点のADSL契約数は184.3万件、イー・モバイル契約数は41万1,500件。


ADSL契約数は8.2万件減少。ホールセール以外の展開も図る

イー・アクセスの安井敏雄 代表取締役社長

2008年3月期の業績
 連結売上高は、前年比20.1%増の675億6,400万円。営業利益は、イー・モバイルが2007年6月から連結子会社から持分法適用関連会社となったことで、576.0%増の70億9,200万円となった。また、経常損失は434.8%拡大の83億6,500万円、純損失は63億5,100万円。

 事業別に見ると、ネットワーク事業の売上高は前年比3.0%減の543億300万円で、営業利益は2.1%減の122億7,100万円。ADSL契約数は前年比8.2万件減の184.3万件、ISP(AOL)契約数は3.0万件減の20.0万件と、減少傾向が続いている。

 安井敏雄 代表取締役社長は、「契約数は減少しているものの、年間平均解約率は1.88%と前年から0.03ポイント改善した」と説明。また、イー・モバイルとのセット販売や提携パートナーの増加によって、「市場シェアも13.7%から14.3%へと増加した」と付け加えた。

 ADSL契約数自体に関しては、「今後、大々的に契約数が伸びることは期待していない」とコメント。「これまでのホールセール型モデルからの変化を目指し、新しいビジネスモデルの展開も考えていく」とし、「純減になるにしても、いろいろと対策を行ない、フラットになるよう努力していきたい」と語った。

 デバイス事業では、イー・モバイルに対して7機種の端末を提供。年間売上高は130億円となり、連結ベースの売上高は155億3,300万円、営業損失は10億5,600万円となった。

 このほか、モバイルデータ通信サービスのMVNO事業に関しては、2008年3月末時点で6社と提携しており、今後もさらなる提携を進めるとしている。また、伝送事業に関してはADSLサービスのバックボーンをイー・モバイルと共有し、売上高は32.7億円と営業利益の黒字化も達成した。

 その上で2009年3月期の連結業績に関しては、売上高と営業利益で増収増益を予想。具体的数値は、売上高が18.4%増の800億円、営業利益が79.1%増の127億円、経常損失が61億円で、純損失が103億円を見込んでいる。また、年間株主配当は2,300円を維持するという。


ADSL・ISP契約数と連結売上の推移 ネットワーク事業戦略

イー・モバイル契約数は41.1万件。来年3月には140万件以上の契約を目指す

イー・モバイルの状況
 イー・モバイルに関しては、2008年3月末の累計契約数は41万1,500件。また、4月末の契約数は50万3,900件と、単月で9万2,400件純増した。人口カバー率は2008年3月末で約80%で、音声サービス開始時点のローミングエリアは約15%。

 安井氏は、「契約数は非常に好調に推移しており、モバイルブロードバンドの需要拡大を身にしみて感じている」とコメント。単体の売上高は145億円、営業損失は382.1億円、経常損失は419.6億円で、純損失は420.2億円。

 2009年3月期の契約者数見通しに関しては、イー・アクセス取締役でイー・モバイル代表取締役社長のエリック・ガン氏が説明。ガン氏は「最低でも100万件の新規契約を見込んでおり、累計契約数は140万件以上を目指したい」と目標を示した。また、ARPU値に関しては「2008年3月期の4,500円前後から、若干の減少を見込んでいる」とした。

 新規端末の計画も進められているが、詳細に関しては未公表。イー・アクセス取締役会長で、イー・モバイル代表取締役会長 兼 CEOの千本倖生氏は「イー・モバイルはデータ通信をメインに、音声をアドオンしたビジネスを展開しており、音声にデータを付加する他社とはビジネスモデルが異なる」と説明した上で、「こうしたビジネスモデルの差にもとづいた端末戦略を、今後登場する端末で理解して貰えると考えている」と述べた。

 2009年3月期の業績見通しに関しては、売上高が850億円、営業損失が360億円、純損失が440億円を予想。なお、イー・アクセスの安井氏にはイー・モバイルのバランスシート状況に関して「現預金が約940億円、未消化のコミットメントラインが約1,400億円ある」とし、資金面に関する不安を否定した。


イー・モバイルの契約数推移。2008年3月は10万超の契約を獲得した イー・モバイルの位置付け

アッカに対する株主代表訴訟は今後の動向を見ながら判断

 なお、イー・アクセスではアッカ・ネットワークスの自己株式取得を巡って、株主代表訴訟を準備することを、2008年3月19日に発表している。

 千本氏によれば、「経営陣個人に対する法的措置の準備は完了している」という。ただし、アッカの経営陣が刷新された点を踏まえて、「イー・アクセスとしては、今後の株価や企業価値の向上状況を静かに見守りながら、訴訟を行なうかどうかを決めていきたい」とし、直ちに提訴する考えがない点を明らかにした。

 また、5月12日にはイー・モバイルとアッカ・ネットワークスの間でMVNOに関する発表も行なわれた。千本氏は「イー・アクセスとの関係に直接影響するわけではないが、新しい経営陣による戦略的見直しが図られたと考えており、一定の評価を与えている」と語った。

 このほか説明会では、イー・アクセスの代表取締役社長候補に内定した深田浩仁氏と、代表取締役副社長候補の小林英夫氏が改めて紹介された。両氏は今後開催される定時株主総会での承認をもって、正式に就任する予定となっている。


イー・アクセス取締役会長で、イー・モバイル代表取締役会長 兼 CEOの千本倖生氏 (左から)イー・アクセスの代表取締役社長候補の深田浩仁氏と、代表取締役副社長候補の小林英夫氏

関連情報

URL
  イー・アクセス IR情報ページ
  http://www.eaccess.net/ir/index.html
  イー・モバイル
  http://emobile.jp/

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(村松健至)
2008/05/14 19:18


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