ウィルコムは26日、Windows Mobile 6.1を搭載したスマートフォン「WILLCOM 03」などの新端末や、次世代PHSへの取り組みに関する発表会を開催した。
■ 「WILLCOM 03」はW-ZERO3シリーズの集大成

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WILLCOM 03
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ウィルコムの喜久川政樹 代表取締役社長は発表会冒頭、「日本の移動体通信、携帯電話業界は高度な進化を遂げたにも関わらず、世界には通用しない『ガラパゴス諸島』とも言われている」と発言。こうした端末を「ガラパゴスケータイ」と呼んだ喜久川社長は、「ウィルコムではガラパゴスケータイではなく、『もうひとつの未来。』を目指していきたい」と方向性を示した。
ウィルコムが目指す方向性として喜久川社長は、「生活密着型」と「スマートフォン」、「次世代へ繋がる端末」の3つを提示。このうち、スマートフォン分野に関してはマーケットシェアが69.2%である点を紹介し、「当社がスマートフォン市場のパイオニアであり、第一人者である点はご存じだと思う」と語った。
新たに発表した「WILLCOM 03」に関しては、「W-ZERO3シリーズの集大成として、“0(ゼロ)”から商品設計を見直した」と発言。さらに、電話やメール、Webという基本性能と呼べるコミュニケーション機能を強化したとし、「スマートフォンの敷居を下げ、簡単に利用していただけるような端末とした」と述べた。
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WILLCOM 03を手に持つ喜久川社長。「両手で3台持てる」とコンパクトさをアピール
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WILLCOM D4と同様に女性用バックにも収納できるサイズと紹介
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電話機能の強化に関しては、「電話帳」の使い勝手を改善し、相手を選んですぐに発信したり、メールを作成することが可能になったという。喜久川社長は、「当然、これまでも電話機能は持っていたが、今回の機能強化でやっと電話がかけやすくなった」と説明した。
メール機能では、本体セットアップ時にウィルコムメールに加え、GmailやYahoo!メール、OCNなどの他社メールサービス設定が可能になった。Web面では、Yahoo! JAPANやGoogle、mixi、MSN、gooといった主要サービスに、本体メニュー画面からダイレクトにアクセスできる機能が追加された。なお、Webブラウザには「Internet Explorer Mobile」と「Opera Mobile 9.5」を搭載している。
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電話帳の使い勝手を改善
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GmailやISPメールなどを本体初期設定時に登録できる
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各ポータルサイトへダイレクトアクセスできる機能も搭載
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3色カラーで展開する
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WILLCOM 03ではまた、スタイリッシュ性も追求。「ビジネスコンシューマを中心に据えた従来シリーズでは、ホワイトやブラックを中心とした色展開だった」と語る喜久川社長は「新モデルではデザイン、カラーリングを含めてゼロから見直した」と説明。筐体側面も上面と下面で色合いを変えるなど、こだわりの点をアピールした。
タッチ操作に対応した液晶ディスプレイ下にあるキー部分は、テンキーと十字キーが利用する機能に応じて切り替わる「2モードイルミネーションキー」機構を採用。電話発信など、両キーを使用する際には十字キーが液晶ディスプレイ上に表示されるようになる。
このほか喜久川社長は、バッテリ性能の改善やワンセグ機能の標準搭載、一般の携帯電話と比較した本体サイズなどの対応など、スマートフォンに寄せられる不満点に対処している点を説明。「これまでのスマートフォンを進歩させた端末で、スマートフォンユーザーを増やすべく力を入れていきたい」と抱負を語った。
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用途に応じて切り替わる「2モードイルミネーションキー」を採用
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ワンセグ機能も標準搭載
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米Microsoftのビル・ゲイツ会長のビデオメッセージ映像も紹介された
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■ 次世代PHSでは、モバイルBBとワイヤレスBBに加え、新たな領域創造を目指す

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次世代PHSサービスのブランド名は「WILLCOM CORE」に。ロゴマークなどは追って発表する
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2009年にサービス開始予定の次世代PHSサービスに関しては、サービスブランド名を「WILLCOM CORE(ウィルコムコア)」に決定したと発表。また、5月22日に発表した種用端末開発メーカーとバックボーンシステム開発メーカーも改めて紹介した。
WILLCOM COREが目指すシステムスペックに関しては、上下最大100Mbps以上を目指す「伝送速度」、新幹線並み(時速300km以上)の速度でもブロードバンドを実現する「モビリティ」、都心部などでも実効速度が落ちにくい「安定性」を挙げた。速度に関しては、サービス開始時は数十Mbps程度を見込むが、将来的には100Mbpsの2~3倍程度への増速を目指している。その上で喜久川社長は、32kbpsからはじまり、800kbpsまで高速化したPHSと同様に「常に進化・発展を遂げ続ける成長型技術を目指したい」とした。
マーケットに関しては、AIR-EDGEやWILLCOM 03の正常進化系である「モバイルブロードバンド」、ADSL、FTTHに並ぶ第3のアクセス手段としての「ワイヤレスブロードバンド」を想定。さらに「オープンインフラとオープンデバイスがもたらす、新しいユビキタスも創っていきたい」と抱負を語った。その一例として発表会では、定点カメラとカーナビゲーションを次世代PHSサービス上で連携させて利用するイメージ映像が披露された。
サービス提供は、2009年の3月または4月頃をめどに東京都の一部に限定して開始する予定。その後、2009年秋頃から2010年前半にかけて東名阪や全国政令指定都市圏を中心に「一気に拡大する」考えという。
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端末や基地局メーカーなどが改めて紹介された
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伝送速度、モビリティ、安定性に加え、進化する技術を目指す
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■ モバイルFelica対応端末を2008年度 第4四半期に投入へ

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モバイルFelicaで対応予定のサービス
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このほか、「生活密着型」に対する施策として、総合満足度が80.2%、デザイン満足度が98.5%だというPHS端末「HONEY BEE」のカラーバリエーションモデルを新たに発表。沖縄県を中心に展開するアイスクリーム店「ブルーシールアイスクリーム」とコラボレーションし、アイスクリームをモチーフにした3色を追加する。
加えて、モバイルFelicaに対応したPHS電話端末を2008年度 第4四半期に発売すると発表。EdyやモバイルSuica、ANA、JAL、Quickpayへの対応を予定し、喜久川社長は「モバイルFelicaは“おまけの機能”ではなく、生活密着のための必須の機能である」と搭載理由を説明した。
具体的な搭載端末のイメージに関しては、「フェリカネットワークスさんとは現行世代の製品をベースに契約合意に至っている」と語り、「当初はWindows Mobile端末ではない可能性が高い」と述べた。
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「HONEY BEE」のブルーシールアイスクリームモデル
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パッケージもブルーシールアイスクリームをモチーフにしたデザインに
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■ URL
ニュースリリース
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2008/05/26/index.html
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(村松健至)
2008/05/26 19:20
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