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「ヨミダス歴史館」の紙面サンプル
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読売新聞社は17日、創刊時から現在までの読売新聞記事をWeb上で検索・閲覧できるオンラインデータベース「ヨミダス歴史館」を2009年初めに開始すると発表した。月額料金は2万7300円からで、法人が主な対象だが、個人利用でも契約できる。
読売新聞ではこれまで、1986年(昭和61年)以降の読売新聞記事テキストをオンラインデータベース化した「ヨミダス文書館」、読売新聞が創刊した1874年(明治7年)から1989年(昭和64年)までの紙面イメージを収録したCD/DVD商品を販売している。今回のヨミダス歴史館はこの2つのサービスをオンラインに統合したもので、読売新聞では「明治初期からの本格的なオンライン記事データベースとしては日本初」としている。
1874年から1989年までの紙面イメージはAdobe Flash Player 9で表示が可能で、閲覧や印刷は可能だがダウンロードはできない。紙面イメージには見出しのほかに記事に含まれる人物名や時事用語などがメタデータとして設定されているため、過去の紙面イメージもオンラインで検索できる。
テキスト化された1986年以降の記事に関しては従来から提供しているヨミダス文書館と同内容で、1989年以降の英字新聞「The Daily Yomiuri」の記事テキストや、現代の主要人物約2万6000人のデータベースも利用可能。ヨミダス文書館の機能拡充も予定されており、最新の記事について紙面イメージを表示できる「記事切り抜き機能」、三省堂の国語・英和・和英辞書機能、集英社の「イミダス2008」による用語機能、記事や検索キーワードなどを保存できる「マイ記事」「マイ検索」機能を搭載。これら機能はヨミダス歴史館でも利用できる。
料金は月額定額制で、利用端末を1台のみに限定する「端末特定型」が月額2万7300円、同時にアクセスする端末数を限定する「同時アクセス数制御型」はアクセス数が1の場合で3万7800円。端末特定型はCookieで判断し、同時アクセス数制御型は特定のグローバルIPアドレス配下にある端末のみと制限するため、家庭とオフィスなど異なる場所で使い分けることはできない。
サービスの主な対象は大学や図書館、官庁、企業など法人だが、個人でも契約は可能。ただしクレジットカードなどでの利用はできず、読売新聞の営業担当へ連絡して個別に契約を結ぶ必要がある。
CD/DVDおよびヨミダス文書館の提供は今後も継続し、ヨミダス文書館は月額525円の個人利用プランも用意されている。また、CD/DVD版を購入している法人への割引料金や、発売記念の特別料金なども予定しているという。
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「ヨミダス歴史館」のトップ画面
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過去の記事を紙面、テキスト記事ともに検索できる
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過去の紙面イメージ
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一部分を拡大表示できる
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1986年以降はテキスト記事も提供。本文をコピー&ペーストすることもできる
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テキスト記事の紙面イメージも表示可能
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用語解説機能
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「イミダス」による用語解説
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■ 「紙面の内容まで検索できる本格的オンラインデータベースは日本初」
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読売新聞 東京本社 メディア戦略局長の大久保好男氏
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読売新聞 東京本社 メディア戦略局長の大久保好男氏は、「これまでCDやDVDに収録した紙面データベースや、見出しのみを対象とした新聞データベースはあったが、紙面の内容まで検索できる本格的なオンラインデータベースとしては日本で初めてと言えるだろう」と説明。「基礎データや世相の移り変わり、日本の変遷の一次資料としてさまざまに活用できるだろう」と語った。
記事データベースは、コンピュータを利用した記事テキストのデータ化が始まった1986年以降はテキストデータとして保存されているが、それ以前は紙やマイクロフィルムなどの形式で紙面データとして保存されているため、これら過去のデータについてはすべて記事ごとに見出しとキーワードを設定。現代語への対応も考慮されており、その一例として「西郷隆盛」を紹介。現代では西郷隆盛と呼ばれているが、当時の紙面では本名の「西郷隆永」で記載されているため、どちらのキーワードもデータを付与することで検索可能になっているという。
なお、えん罪であった記事や現在は差別用語となっている表現については、1986年以降のテキストデータに関しては「えん罪と判明したものについては続報などの追記表現を行っている」が、紙面データは「書籍などと同じ考えで、歴史的に報道したという事実を現在の会社判断で削除するのはいかがなものかという考えもある」と説明。ただし、オンラインデータベース化にあたって「パッケージとは見出しを変更して対応している場合もある」という。また、「差別表現やえん罪の件数を調べるという利用もある」と補足、そうした表現も検索用のキーワードとしては設定されているとした。
個人向けサービスについては「希望する人には個人でも対応したい」とした一方で、「個人向けのライト版といったサービスについては料金や利用制限など課題もある」とコメント、「検討中だが可能性としては考えている」という。また、二次利用については基本的に禁止だが、法律の範囲内である引用などは可能とした。
サービス開始時期はシステム構築の進捗次第だが、2009年1月末から2月末となる見込み。検索に利用するエンジンは非公開だが、「データ量が膨大であり、なまはんかなエンジンでは耐えられないため、実績のあるエンジンを採用している」。事業計画は具体的な数値は非公開としたものの、3年後にシステム改修費用改修が目標。「国内の法人のみならず海外や個人の方々にも利用していただきたい」と述べた。
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「小林多喜二」で検索した結果
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戦時中の記事も閲覧できる
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当時の流行語「モボ」で検索した結果
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広告も収録。画面はグリコの全面広告
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■ URL
ヨミダス歴史館
http://www.yomiuri.co.jp/rekishikan/
(甲斐祐樹)
2008/10/17 18:06
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