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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
アセロス、11g互換で最大150Mbpsの無線LANソリューション

 アセロス・コミュニケーションズは6日、IEEE 802.11nの技術を用いたIEEE 802.11b/g準拠で最大150Mbpsの無線LANソリューション「Align」(アライン)」を発表、同ソリューションに基づく新製品3種類を発表した。

 Alignは、物理速度で最大150Mbps、TCP/IPの実効速度で最大107Mbpsを実現するIEEE 802.11b/g準拠の無線LANソリューション。40MHz幅の周波数を利用し、IEEE 802.11nの技術を用いることで最大150Mbpsを実現したほか、従来のIEEE 802.11gに比べて通信エリアも2倍に拡大できるという。

 送受信構成は送信1×受信1の1ストリーム構成で、MIMOには非対応。IEEE 802.11nの技術を用いてはいるが、現状ではWi-Fi AllianceのIEEE 802.11n認定が1×2構成までとなるためにIEEE 802.11nの名称は用いていない。

 製品構成はUMPCやネットブックといった低価格PCを対象とした「AR9285」、AR9285と5ポートのイーサネットスイッチを搭載した「AR7240」で構成した低価格アクセスポイントや無線LANルータ向けの「AR9002AP-1S」、STBやゲーム機、プリンタなど幅広い用途に向けたUSB向けの「AR9271」の3種類。AR9285とAR9002AP-1Sはすでにサンプル出荷中で、A9271は第4四半期のサンプル出荷を予定。いずれも価格は非公表だが、「限りなくIEEE 802.11gの価格に近い」という。


AR9285 AR9002AP-1S

2009年の11n正式化を前に11n市場が広がる

アセロスの大澤智喜代表取締役社長
 アセロスの大澤智喜代表取締役社長は、無線LAN市場の動向について説明。未だドラフト状態にあるIEEE 802.11nの正式化は「既存の無線LANを保護するメカニズムが今後の検討ポイントであり、2009年12月には正式に承認される見込み」とし、「規格が安定していることからWi-Fi AllianceではすでにIEEE 802.11nドラフトの認証を開始しており、市場ではすでに事実上の承認が得られたとの判断が広がっている」とした。

 米国ではIEEE 802.11nのシェアが約30%まで増加しており、IEEE 802.11n対応無線LANルータの価格も「ここ1年で数十ドルは下がっており、商品として購入できる価格レンジに達したことがIEEE 802.11n普及の要因の1つ」と説明。一方で未だ市場の大半はIEEE 802.11gであり、こうしたIEEE 802.11gの置き換えとして、コストを同程度に抑えながらも高速化や距離延長を図った新たなラインナップを投入するとの考えを示した。

 IEEE 802.11nの技術をベースとすることで、物理速度はIEEE 802.11gの最大2.8倍、実効速度は最大5倍を実現。複数のアンテナからの信号を1つに合成して受信性能を高める「SRC(Signal Recieve Combine)」、パケットエラー率を削減して速度向上を図る「STBC(時空間ブロック符号化、Space Time Block Coding)」、チャネル推定によりパケットエラー率低減やスループット向上を図る「ERS(Enhanced Reciever Synchronization)」といった技術により、通信エリアもIEEE 802.11gの2倍を実現できたとした。


IEEE 802.11nの正式化は2009年12月を予定 米国では11nルータのシェアが30%に。価格も1年間で大幅に低下 米国内ではノートPCの34%が11nを標準搭載

11n技術の利用で通信エリアを拡大 エリアの拡大イメージ 従来製品との性能比較

11gから11nへの移行に重要な製品と位置付け

11gと11nとの互換性を確保
 IEEE 802.11gに準拠しているため、既存のIEEE 802.11g製品とも接続が可能。Align対応製品やIEEE 802.11n対応製品と接続した際には最大150Mbpsでの通信が可能であり、低価格性に加えて消費電力も従来のIEEE 802.11g製品と比べて低減できているなど、IEEE 802.11gからの置き換えにメリットがあるとし、「IEEE 802.11gがIEEE 802.11nへ移行していく中でとても重要なマーケットと位置付けている」との考えを示した。

 今回はIEEE 802.11gのみの製品ラインナップだが、IEEE 802.11a対応の製品は2ストリーム以上のハイエンドモデルで対応するなど棲み分けを図る。なお、3ストリーム以上の製品は「対応する製品が存在せず、実効速度も2ストリーム程度。エコシステムの確立や開発に時間がかかるなどメリットが見えにくい」と説明。AlignラインナップとしてのIEEE 802.11a対応も「1ストリームで低価格の製品ラインナップではニーズが少ないのでは」とした。

 なお、1×1の1ストリーム構成については現状Wi-FiでIEEE 802.11nとして認証を受けられないという点については「Wi-Fi Allianceでもポータブルデバイスについては1×1でもIEEE 802.11nと認定しようという動きはある」と説明。「ポータブルがノートPCを含むのかという問題はあるが、スマートフォンなどは1ストリームでもIEEE 802.11nの認定が受けられる方向に進んでいる」と説明。「2009年にはそういうアナウンスもあるのではないかと楽しみにしている」と語った。


既存の11gよりも低消費電力化を実現 Alignの特徴 2ストリームの「XPAN」と異なるラインナップで棲み分けを図る

関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.atheros.com/news/Align.html

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(甲斐祐樹)
2008/11/06 19:21


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