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無線LAN機能を内蔵したSDカード「Eye-Fi」
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アイファイジャパンは3日、無線LAN機能を内蔵したSDカード「Eye-Fi」の国内販売に関する説明会を開催した。
Eye-Fiは、無線LAN機能を利用してデジタルカメラで撮影した画像をPCなどを利用することなく無線LAN経由で転送できるSDカード。転送先はPCのほか、同社のオンラインサービスやFlickrなど対応する写真共有サービスへ直接アップロードすることもできる。
すでにAmazon.co.jpや楽天では容量2GBの「Eye-Fi Share」の先行予約販売を12月2日より開始。価格は9980円で、製品の準備が整い次第発送するとしている。
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初回限定のパッケージ
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日本向け製品は現状認可が下りていないために説明会では海外製品を展示。日本版ではラベルなどが変更になるという
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■ デジタルカメラで撮影した写真を直接アップロード
Eye-Fiの無線LAN機能を利用するにはPCでの設定が必要で、初回設定時に専用ソフトウェアをPCへインストールして無線LANの設定を行う。以降はカメラの電源投入や写真撮影の際に登録された無線LANネットワークへ接続、画像をアップロードする。画像が未送信の場合はつねにアップロードを行い、途中で回線が切断された場合でも自動でアップロードを再開するという。
アップロードした画像はEye-Fiの専用サイトに加え、対応するオンラインサービスへのアップロードが可能。現時点ではFacebook、Flickr、MobileMe、Movable Type、my Picturetown、Picasa、Snapfish、TypePad、VOXに対応する。また、アップロードした画像をPCの指定フォルダへ自動でダウンロードすることもできる。
利用するデジタルカメラはSDカード対応であれば機種を問わず対応しており、CFカード型のアダプタ経由でも利用は可能だという。ただし、無線LANで接続を行うため、デジタルカメラの起動時間は無線LANの利用状況によって減少する場合がある。
本体サイズは24×32×2.1mm(幅×高×厚)、重量は3.1g。無線LANの仕様はIEEE 802.11b/gで、64/128bitのWEP、WPA、WPA2をサポート。対応OSはWindows Vista/XP、Mac OS X(10.3/10.4/10.5)で、ユーティリティは日本語にローカライズが行われている。
販売はAmazon.co.jpや楽天およびアイファイジャパンのWebサイトで行う。現状はまだ技術適合の申請中であり、認可が下り次第2008年内に発送を開始する見込み。2008年内はオンラインでのみ販売するが、デジタルカメラの販売が活発化する春先には量販店にも対応する予定だという。
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設定した無線LANに自動で接続
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写真を撮影すると自動でアップロードを開始
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アップロードの進捗は管理画面でリアルタイム表示
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未送信の画像も再送信を自動で行う
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対応するオンラインサービス。日本のサービスも対応を予定
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2GBの「Eye-Fi Share」を9880円で発売
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■ 日本は初の海外進出。国内サービスなどローカライズも注力
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初回限定版のEye-Fi Shareパッケージを手にするEye-FiのJef Holove CEO(左)とアイファイジャパン代表の田中大祐氏(右)
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事業戦略説明会にはEye-FiのJef Holove CEOとアイファイジャパン代表の田中大祐氏が出席。Holove氏はEye-Fiの米国における展開について「すでに数百万もの写真がEye-Fiでアップロードされている」とコメント。同社の調査ではデジタルカメラで撮影した画像は数週間や数カ月に渡ってSDカードに保存されたままであることが多いが、Eye-Fiでは2~3日に一度のペースでアップロードされており、「常に写真が新鮮な状態を保っている」という。米国では数々の賞を受賞したほか主要なオンラインストアや量販店でも販売され、カメラメーカーとしてNIKONとも提携していることを紹介した。
Eye-Fiにとって日本は米国以外で初めて展開する地域であり、日本を選んだ理由についてHolove氏は「日本は写真の中心地であり、主要なカメラメーカーがほぼ日本にあるだけでなく、90%のデジタルカメラが日本で作られている」と説明。また、「日本人はガジェットや写真への情熱があり、テクノロジーの知識も豊富。オンラインコミュニティも非常に盛んだ」との理由もあるとした。
日本展開にあたっては単なる製品輸入ではなく、ソフトウェアのローカライズや日本でのサポート窓口も設ける。また、日本国内のオンラインサービス事業者やメーカーとの展開も進めていく予定。対応サービスは「ユーザーがどのサービスを利用したいかを把握してから」(田中氏)と断りつつも、はてなの「はてなフォトライフ」を対応サービスとして公表。「はてなからEye-FiのWebサイトへのアクセスが非常に高かった」ことがその理由だとした。
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Eye-Fiのネットワーク概要
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米国での展開実績
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■ Eye-Fiラインナップは順次拡充予定。当面はEye-Fi Shareのみ
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日本は重要な市場との位置付け
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海外では位置情報機能を備えた「Eye-Fi Explore」、PCへの転送機能に特化した「Eye-Fi Home」のほか、Eye-Fi Shareも容量4GBのモデルが発売されているが、Holove氏は「米国ではラインナップを1つ1つ拡充しており、日本でもその流れで展開する」とコメント。「Eye-Fi Exploreでは位置情報取得サービスや公衆無線LANサービスと提携しており、日本で展開する場合はそうした事業者との提携も必要になる」とした。
Eye-Fiを利用した際のデジタルカメラの消費電力については「撮影した画像サイズや通信速度によっても異なるが」と断った上で、「Eye-Fiが起動した際に無線LANが周囲に存在しない場合はスリープモードに移行し、その状態では従来のSDカードと変わりはない」と説明。また、接続した無線LAN環境にEye-Fi対応クライアントをインストールしたPCが存在する場合、PCにいったん転送してからアップロードを行うSmart Boost機能も利用することで消費電力を抑えられるとした。
ユーザーのターゲットは、米国市場での経験に基づき3つのユーザー層を想定。「高性能のカメラを持ったヘビーユーザー、家族の思い出を写真で残したいユーザー、そしてソーシャルネットワークを活用して膨大な量の写真を掲載するユーザーが主なターゲット」と説明した。
今後の展開としては無線LAN以外の携帯電話やWiMAXといったワイヤレスネットワークについても「そうしたワイヤレステクノロジーが対応した段階で対応していく」とコメント。SDカード以外の製品も「弊社のエンジニアがさまざまな実験を行っている」と断った上で「現状でユーザーが最も求めているのはデジタルカメラという理由であり、テクノロジーやプラットフォームにはこだわっていない」と、さまざまな製品へ幅広く対応していく姿勢を見せた。
■ URL
Eye-Fi
http://www.eyefi.co.jp/
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(甲斐祐樹)
2008/12/03 13:01
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