ビデックスが運営するダウンロード型のPC向け動画配信サービス「ビデックスJP」は、12月4日よりBBCのドラマやドキュメンタリーなど245番組の配信を開始する。中心価格帯は315円。一部コンテンツはフルHDで配信する。
■ 200時間以上のBBC番組をダウンロード配信
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BBCの番組245本をダウンロード配信
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ビデックスJPは、PC向けの動画配信サービスとして2006年にサービスを開始。当初はアニメ作品を中心に配信し、順次ジャンルを拡大して現在では4万2000タイトルをラインナップ。有料会員数は22万人に上り、楽天ダウンロードや東映アニメBBプレミアムなどの配信も手がけている。
今回配信される作品は、BBCワールドワイドジャパンとの提携によるもの。合計再生時間は200時間以上というBBCの映像コンテンツ245作品をダウンロード配信する。このうち「ブルー・プラネット」「ガラパゴス」シリーズ16作品は北米や欧米に先駆けてHDおよびフルHDで配信される。
第1弾では「ブルー・プラネット」「リトルブリテン」「アガサクリスティのミス・マープル」など76作品を配信。第2弾以降は「ガラパゴス」「宇宙へ」「高慢と偏見」など76作品を2009年1月に配信し、以降も2月に37作品、3月に36作品、4月に20作品を配信する。決済にはクレジットカードまたはBitCashを利用し、料金は1番組ごと210円から420円。
ファイル形式はWMV9、DRMはWindows Media DRM 10で、購入から7日間視聴可能。ファイルをダウンロードしたPCでのみ視聴できる。画面サイズとビットレートは作品ごと異なり、VGA(640×480)ピクセルの場合は3Mbps。フルHD配信する作品はハイスペックとノーマルスペックの2種類を用意し、ハイスペックは1080p(1920×1080)が8Mbps、ノーマルスペックが720p(1280×720)、5Mbps。
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ビデックスJPの概要
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BBC作品の配信ページ
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■ 良質なコンテンツを有料で提供。マルチデバイス展開も注力
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ビデックスの柳下洋代表取締役社長
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ビデックスの柳下洋代表取締役社長は今回の配信について「英国でもまだ配信していないフルHD映像を世界で先駆けて日本で配信開始するもので、ブルー・プラネットはBlu-ray Discも発売されていないビデックスJPのみの作品」とコメント。12月1日に開始したNHKオンデマンドを例に挙げ「NHKオンデマンドはタイトル数210本で再生時間の合計は205時間だが、我々は作品数で上回り、再生時間でもほぼ同等」と自信を見せた。
ビデックスJPのコンセプトとして柳下氏は、「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉を踏まえ「苦労して生み出した良いものが、苦労せず作ったものに淘汰されるという現象がネットでは頻繁に起きる」との考えを披露。「ネットの世界ではコンテンツの評価をアクセス数で考えられることが多く、それでは良いコンテンツが流通する時代はやってこない」とし、良質なコンテンツを流通させるためにビデックスを設立したとした。
ビデックスJPは当初から有料でサービスを提供しており、「無料コンテンツと比べるとアクセス数は1/100程度になってしまうが、我々はアクセス数よりも良質なコンテンツを提供することで収益を図る」と説明。高画質化にも取り組んでおり、「無料コンテンツの広告収入だけではインフラのコスト負担をまかなえず、結局アクセス数を稼ぐための質の悪いコンテンツは淘汰されていくだろう」とした。
今後の展開としては日本だけでなく海外へもコンテンツを展開するグローバル戦略に加え、PC以外にSTBを利用したテレビ向け配信や携帯電話向けの配信も計画中。2009年には北米やEU向け配信サービスの提供とテレビ、携帯電話向けの配信サービスを開始し、地上アナログが終了する2011年には有料会員100万人を目指す。柳下氏は「すでに22万人の会員を獲得しており、十分達成可能な目標」とした。
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「悪貨が良貨を駆逐」することを防ぐために良質なコンテンツの流通を目指す
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ビデックスのコンセプト
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これまでの実績
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今後の目標
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■ BBCはデジタルメディア事業を積極的に推進
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BBCワールドワイドジャパンの輪座克彦代表取締役社長
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BBC WorldWideのジョイス・ヨン シニアバイスプレジデント&ジェネラルマネージャ
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BBCワールドワイドジャパンの輪座克彦代表取締役社長は、「デジタルメディア事業はわれわれにとって欠かせない分野であり、日本でも動画配信事業を拡大していきたい」とコメント。「ビデックスはすばらしいクオリティの配信技術を持っており、日本で展開できることを嬉しく思う。我々の作品もHD化を進めており、デジタルメディアには今後一層力を入れていく」との考えを示した。
・BBC WorldWideでアジア地域を担当するジョイス・ヨン シニアバイスプレジデント&ジェネラルマネージャは、「BBCは2007年に初のYouTube公式パートナーとなり、以降もMySpaceやiTunesへの番組提供などを積極的に進めてきた」との背景を説明。最近ではプレイステーション 3のカーレースゲーム「グランツーリスモ」向けに自動車番組「Top Gear」も提供するなど、デジタルメディア展開に注力しているとした。
ビデックス経由でのコンテンツ展開に対しては「我々だけではリーチできない潜在顧客に対してアクセス経路を提供できる」とし、「HDを含むオンデマンド配信でユーザー体験の向上を図る」と説明。BBCでは3万時間以上のデジタルコンテンツを持ち、そのうち575時間はHD対応しているとの状況を説明し、「今後も意欲のある配信事業者とWin-Winの関係を築きながらデジタルメディア展開を進めていきたい」とした。
■ URL
ビデックス
http://www.videx.co.jp/
ビデックスJP
http://www.videx.jp/
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(甲斐祐樹)
2008/12/04 14:44
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