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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
KDDI、1xEV-DOや無線LANなどに対応したモバイルルータを披露

車のオーディオスペースに設置された「モバイルルータ」
 KDDIおよびKDDI研究所は、CDMA2000 1xEV-DO方式や無線LAN、PHSといった各通信方式を意識することなく、シームレスに通信方式を切り替えられる車載機器「モバイルルータ」を開発し、7日都内でデモンストレーションが行なった。

 「モバイルルータ」は、2GHz帯のCDMA2000 1xEV-DO、IEEE802.11a/b/g準拠の無線LAN、PHS(AirH")といった各通信方式をシ-ムレスに利用できる車載用ルータ。高度道路交通システム(ITS)向け狭域通信システムDSRCにも対応し、次世代インターネットプロトコルIPv6や既存のIPv4をサポートする。

 モバイルIP技術を用いて、オフィスから車への移動時にアプリケーションを中断せずに通信を継続し、車内で通信を継続したまま通信方式を切り替えられる。通信エリアや通信速度、電波強度などによって自動的に通信方式を切り替え可能で、切替条件も任意に設定できる。

 例えば、無線LANアクセスポイントのあるエリアでは無線LANを利用し、電波強度が弱くなれば1xEV-DOやAirH"を自動的に切り替えて利用できる。パソコンやPDA、カーナビ、カーテレマティクス機器などは、無線/有線LANやBluetoothなどで車内LANに接続する。

 また、GPSも搭載可能で、無線LANアクセスポイントや1xEV-DOエリアなどを位置情報から取得し、電波強度を予測しながら切り替えをスムーズに行なう仕組みも採用されている。


モバイルルータの概要 製品仕様

 端末は車内のオーディオスペースに設置できる1DINサイズとなっており、266MHzのCPU、256MBのメモリを搭載。内部にATA33対応IDEおよびCFカードスロットを装備し、外部インターフェイスとして、PCカードスロット、USB、シリアルD-sub 9pin、テレビ出力端子やS端子を搭載する。車内通信用に100BASE-TX/10BASE-Tポートも用意されている。大きさは178×182×50mm(幅×奥行×高)。

 なお、今回の端末はあくまで開発段階のもの。KDDIでは、想定される用途が広範に渡るため利用方法などを限定しておらず、カーナビに組み込む形での製品投入や、モジュールとして車の内部に搭載するほか、課金や顧客管理といったプラットフォームの提供、ASP、コンテンツ配信といったビジネスも想定しているようだ。

 プレゼンテーションでは、国内の携帯電話およびPHSが8,000万台を超え、市場が頭打ちになりつつある状況を指摘。KDDIでは、7,000万台市場とも言われる自動車産業に視野を広げることで、人をターゲットにしたこれまでの市場から物(車)へと市場の拡大を図りたい考え。また現状では、カーナビなどの外付け車載端末での提供が有力となるが、同社では最終的には車に内蔵したいとしている。

 製品投入時期に関して具体的な話はなかったものの、担当者は「2010年には普及しているのではないか」とコメントしており、すでに通信方式の切替自体はかなり進んでいるという。今後の課題となるのは、車内に設置される位置や通信方式の増加に伴なってアンテナが増えてしまうことなど車載機器としての具体的な問題で、KDDIではカーナビやアンテナ、車メーカーなどの車載機器のノウハウを持つ企業とともに製品化を考えているようだ。


車内でもIPアドレスを固定したまま通信できる 利用形態

実車を使ったデモンストレーション

 実車を使ったデモンストレーションは、モバイルルータを搭載した車で都内のKDDIビルを1周し、通信の切り替わる様子を確認するものだった。モバイルルータには、10月31日に商用サービスが開始された2GHz帯の1xEV-DO専用端末「DO-BOX」と、802.11aの無線LAN用メディアコンバータが接続され、有線LANで車内のパソコンと接続された。

 なお、デモは無線LAN側はIPv6環境で1xEV-DOはIPv4環境と、通信プロトコルの混在した環境で行なわれた。

 出発する地下駐車付近は無線LANエリアとなり、車内のパソコンには、駐車場出口に備え付けられたWebカメラの映像と、KDDIビル内のサーバーから配信されるストリーミング映像が同時に表示され、電波強度やパケット通信量などもグラフで確認できるようになっていた。駐車場を出ると徐々に無線LANの電波強度が弱くなり、逆に1xEV-DOの電波強度が強まっていき、電波強度の弱まりをきっかけに自動的に通信方式が切り替わった。通信が切り替わるとWebカメラの映像も自動的に終了し、ストリーミングコンテンツのみの表示となった。

 ビルを1周して地下駐車場に入る際には、再び無線LANの電波が強まって自動的に切り替わり、Webカメラの映像が自動的に立ち上がった。切替は本当に切り替わったのか疑わしいぐらいスムーズなものだったが、高速で移動している場合には若干のタイムラグがあるという。


デモンストレーション用の車両 モバイルルータに接続された無線LAN用のメディアコンバータ(左)と2GHz帯の1xEV-DO専用端末「DO-BOX」(中央)。なお、KDDI研究所では800MHz帯の実験も行なっているという

無線LANエリアでの通信状況。上の無線LANの電波強度が高くなっている。右上がWebカメラの映像で、右下が128kbpsのストリーミング映像 無線LANエリアから離れるとWebカメラの画面が消える。1xEV-DOの通信量が上がっている

モバイルルータ、まずはバスや新幹線で採用か

KDDI 技術開発本部長の村上 仁己氏
 KDDIでは、今回のモバイルルータがバスや新幹線といった交通機関向けに投入されると予測。エンドユーザーにその利便性が浸透すれば、自家用車などの一般ユースでも普及していくと考えているようだ。発表会ではカーテレマティクス分野での利用方法を紹介していた。

 また、デモでは、「DO-BOX」をルータに接続する形となったが、先日行なわれたモーターショーではCFカードタイプの1xEV-DO端末を参考出品しており、こうした小型の無線端末をモバイルルータに内蔵することも十分可能としている。

 同社では、実用化された場合の各通信方式の利用料や、有料無線LANアクセスポイントの課金形態など検討段階の点も多くあるが、ユーザーの動向を踏まえて考えていくという。発表会で挨拶を行なったKDDIの技術開発本部長の村上 仁己氏は、「EV-DO、無線LAN、PHSなど様々な通信方式がそれぞれの帯域を使って混雑していて、インターネットは使いにくい」とした上で、今回のモバイルルータが「これからのマスト(必需品)になるだろう」と自信をのぞかせた。


関連情報

URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(津田啓夢)
2003/11/07 19:13
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