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TTCスペクトル管理SWG、旧GlobeSpanが新たな上り帯域拡張方式を提案
社団法人情報通信技術委員会(TTC)・DSL専門委員会スペクトル管理サブワーキンググループ(SWG)は、3月26日に第9回会合を開催した。同会合では前回に引き続き、スペクトル管理基準を定めた文書である「JJ100.01」の改版に関する議論が行なわれたほか、従来とは異なる新たな上り帯域拡張方式の提案が出されるなどの動きが見られた。
今回、米Conexant(GlobeSpanVirataが合併に伴い社名変更)から新たに提案された「SU-Q」方式は、下り信号の伝送には従来のクアドスペクトラム型ADSLの周波数帯域(25kHz~3.75MHz)を使用するものの、上り信号は従来ADSLの上り帯域として使われてきた25~138kHzではなく、通常VDSLで上り信号の伝送に使われる4~5.136MHzの帯域を使用するというもの。
同方式の具体的な上り速度や伝送可能距離などは今のところ不明だが、上り信号の帯域を完全に従来のADSLの下り信号の帯域と分離したため、これまで同SWGで上り帯域拡張方式について問題になっていた「上り帯域の拡張により下り信号への干渉が強まり、下りの伝送速度の著しい低下を招く」という問題は発生しない。このことから同会合においても、同方式に関するスペクトル適合性確認結果報告書上のクラス分けに関する参加者からの反対は特になく、順当に行けば次回会合において同方式のクラス分けが完了する可能性が高くなった。
今のところ具体的に同方式を利用することを表明したDSL事業者はおらず、また非常に高い周波数を利用するため伝送可能距離も短くなると見られることから、実際に同方式を利用したサービスが始まるかどうかという点にはやや疑問も残る。しかし、その他の上り帯域拡張方式の導入に事実上ストップがかけられてしまっている現状では、代替手段のひとつとして同方式の利用を検討する事業者が出てくる可能性もある。
第9回会合の会場風景
一方、JJ100.01の改版に向けては、管理対象とする帯域の上限を拡張することを議長の池田佳和氏が提案した。従来のJJ100.01第2版が1.1MHz以下の周波数帯域のみを管理対象としていたのに対し、ダブルスペクトラムやクアドスペクトラムを用いるADSLに加え、今回のSU-Q方式のようにそれ以上の周波数帯域を使用する方式などが提案され、今後VDSLなどもその中に加わってくる可能性が高いことがその理由だ。参加者もこれに同意したが、具体的に上限をどのあたりに定めるかや、その際に上り・下りで使用する周波数帯域をバンドプランのような形で制限するかどうかなどについては意見がまとまらず、議論は次回以降に持ち越しとなった。
また、NTT東日本は、前回会合でアッカ・ネットワークス(ACCA)が「0.4mm・ポリエチレン絶縁ケーブル換算で線路長2.7km以上の場合は、ISDNとその他の回線が同一カッド内に収容されることはない」という旨の参考文献を引用し、「換算線路長2.7km以上ではISDNを保護判定基準値算出の際の与干渉源から外しても問題はない」と主張したことを受けて、今回「換算線路長2.7km以上でも、ISDNとADSLなどを同一カッドに収容して提供しているケースが多数存在する」とするフィールドデータを提出して「ACCAの提案は現実とかけ離れている」と主張。しかしConexantやACCAは「ISDNの提供基準に関する情報提供が不十分」だとしてこのデータの内容に疑問を表明し、次回以降NTT東日本にさらなる情報の提出を求めた。
このほか、イー・アクセスと住友電工の2社は「上り帯域拡張方式のスペクトル管理は、現行のJJ100.01第2版を適用して行なえる範囲のもの」との寄書を提出。特にイー・アクセスは「(4月15日の)次回会合で『改定の必要なし』ということを決めた上で、現在上り拡張方式について付与されている『事業者間で協議中』という注釈を外してほしい」「もし6月10日の会合までに改版がまとまらない場合は、現行の第2版に従ったクラス分けによりサービスが行なえるものと理解している」と主張したため、長野県協同電算(JANIS)やソフトバンクBBらがこれに反発する一幕もあった。
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URL
DSL専門委員会 スペクトル管理SWGに関する情報
http://www.ttc.or.jp/j/info/dsl/dsl.html
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(松林庵洋風)
2004/03/29 13:56
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