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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ニフティ伊藤氏講演「RSSはメール、ブラウザの次なる存在に」

 ライフメディアは24日、ニフティと共同でセミナー「RSSから始まる!次世代インターネットマーケティング」を開催した。本セミナーではニフティのブログサービス「ココログ」のシステム担当を務める伊藤直也氏が「RSSから始まる次世代インターネット ビジネスとテクノロジ」と題した講演を行なった。


“1日100サイト巡回”を実現できるRSS

ニフティ ソーシャルシステム部の伊藤直也氏
 伊藤氏はまずはじめに「“1日に100サイトを巡回してください”と言われたら、みなさんどうしますか」との問いを参加者に投げかけた。伊藤氏は「おそらく“見に行ったのに更新していない”“更新していたけど朝ごはんの写真1枚が新しくなっているだけ”“100サイトもみる時間がない”という話になるのでは」とコメント、「RSSがこういった悩みを解決するための1つの手段」と語った。

 伊藤氏はRSSについて「RSS自体はただの文字の羅列で人間が読んでもわからないが、RSSリーダーで読み取るとメールのような感覚で読める。ちょうどHTMLを読み取るブラウザのようなもの」と説明。また、RSSリーダーは新着情報の概要を横断的に読み込んでいるため、「RSSリーダーであれば更新された情報だけを読んだり、興味のある話題だけを拾い読みできる」点が特徴であり、これこそが冒頭で示した100サイトの巡回に役立つ理由だという。さらに「これはマーケティング的に重要なのではないか」と前置いた上で、「メールと違ってスパムの心配がなく、RSS情報は勝手に送られてくることがない」点もメリットとして挙げられた。

 RSSを読み取るためのRSSリーダーは数多く存在し、「日本だけでも50から100はあるのではないか」と伊藤氏は語る。RSSリーダーはメーラー型、ブラウザ型、ティッカー型など多種多様であり、「RSSはXMLで記述されているため、いろいろな形に変えられる点が大きい。単に読むだけではなくて他の新着情報を表示したり、集めた情報を他の形に作り変えられる」といった柔軟性がメリットとして挙げられた。

 RSSの応用例として伊藤氏は「RSS検索」を紹介。伊藤氏はRSS検索を「GoogleやYahoo!ではHTMLを収集して検索しているが、それと同じ仕組みでRSSを集めて検索できる」と説明したのち、「詳しくは後で紹介するが、“未来検索”と呼ばれるおもしろい特徴も持っている」と語った。


RSSはXMLベースで配信されている RSSのメリット

リーダー以外のRSS利用例。XMLの形を変えることで多様なコンテンツに変化 “未来検索”が可能なRSS検索

ブログの爆発的普及でRSSが流行

ブログを書くとRSSが自動で公開
 「なぜRSSが流行したか」というテーマについて伊藤氏は、「最も大きいのはブログが爆発的に普及しており、その中で多くのブログサービスやツールがRSSを標準でサポートしていたため」だという見解を示した。また、RSSを構成するXMLについても「ずいぶん昔からあった技術で、“XMLで新しい世界が開ける”と言われ続けていたものの、利用シーンは企業間などに限られ、一般ユーザー向けのXMLは出てきていなかった」と指摘、「RSSは初めての一般ユーザー向けXMLであり、低コストで扱いやすく、OSなどのプラットフォームに依存しない点が大きい」と語った。

 RSS対応ブログでは、基本的にブログを作成するとRSSが自動で公開される。伊藤氏は「ブログを書いている人はRSSを使っていることを意識しなくてもよく、RSSリーダーなどがよくわからない人でもRSSを公開している」と指摘した上で、「今はブログ元年と言われており、ブログが増えればRSSもどんどん増えていくだろう」との予測を示した。

 伊藤氏が担当するココログは、12月2日のサービス開始から約半年で4万ユーザーを獲得しているという。伊藤氏は「ブログの数だけでなく、ココログへのトラフィックも伸びており、コンテンツの価値が見いだされて定期的に読まれている」とコメント。「RSSはサイトの要約や新着情報のため、サイトの価値が上がればRSSの注目度もさらに高まるだろう」と付け加えた。


RSSは今後当たり前の技術に

「RSSは当たり前の技術になる」と伊藤氏は指摘
 RSS経由のトラフィック増加例として、伊藤氏は自身のブログを例に挙げて説明。RSS経由での閲覧を「Feed View(FV)」として、htmlの閲覧数であるPVと比較すると、伊藤氏のブログではFVとPVがほぼ同数だったという。伊藤氏は「RSSを取りに来るのは人ではなくRSSリーダーなどであって、必ずしも半分近い人がRSSを読んでいる訳ではないし、RSSやブログの話題をたくさんしているので、RSSに注目している人も多いのだろう」」と分析した上で、「トラフィックで見れば、自分のブログではRSS経由のアクセスがすでに半分近くになっている」との状況を示した。

 さらに「正確なデータではないが」と断った上で、ココログの7月におけるアクセス数のうち、htmlとRSSの比率データを紹介。htmlの22.18%に対して、RSSは5.80%近く存在、その比率は4:1にまで達しているという。伊藤氏は「ココログ全体で見ても、RSSを使ってブログを読んでいる人が増えていることがわかる」と指摘した。

 伊藤氏はRSSを「当たり前の技術になる」と見る。その理由として伊藤氏は「今後はWebサイトは、ブログやCMSなどのアプリケーションを入れて更新することが常識になるだろう。ココログのユーザーからも、“いったんココログを使うともう他ので作る気はしなくなる”という意見をいただいているし、自分自身もHTMLを手で書くのはアプリケーション開発の時くらいになってきた」と説明。「こういう状況になってくると、RSSが必要とされるかどうか以前に、Webサイトをブログで更新することが当たり前になり、結果としてRSSが増えるという現象が起きるだろう。もしくはすでにそうなっているかもしれない」との考えを示した。


伊藤氏のブログにおけるFVとPV比較。FVが約半分を占めている ココログ全体でのRSSトラフィック比率

OSのRSS標準サポートで「RSSはメールとブラウザの次の存在に」

@niftyの「瞬!ワード」
 RSSのブログ以外の活用法としては、ニュースサイトのRSS対応や、@niftyの検索キーワードランキング「瞬!ワード」のRSS配信などが紹介された。伊藤氏は「瞬!ワードが面白いのは、完全にテレビと連動しているところ。お昼の時間にはみのもんたの発言が1位になったり、テレビ番組の単語が上位に来ている」と説明したのち、「このようなインターネットの旬なキーワードとマーケティングメディアを結びつけ、それをRSSのような形でユーザーに継続的に配信できるインターフェイスがあれば、マーケティングとしての価値が生まれるのではないか」と語った。

 伊藤氏は今後の大きな流れとして、Mac OS Xの次期バージョンがRSSに標準対応するほか、Microsoftでも同社のエバンジェリストであるRobert Scoble氏が自身のブログで「LonghornがRSS対応する」と明言した事例を紹介。伊藤氏は「OSがRSSに標準対応することで、インターネットではメール、ブラウザの次にRSSが位置付けられるのではないか」との見解を示した。


Mac OS Xの次期バージョンはブラウザ標準でRSSをサポート MicrosoftもRSSへ動き出す

RSSを制するものが次のビジネスを制す

RSS+ブログとメールマガジンの比較
 セミナーの主要テーマであるマーケティングとRSSの関連性については「マーケティングの専門家ではないので核心に迫る話はできないかもしれないが」と断った上で、「自分なりに考えていることをお話したいと思います」とコメント、はじめにRSSとメールマガジンの関連性について説明した。

 伊藤氏は「最近はメルマガからブログへの方向転換が多く見られるが、手軽に不特定多数へ情報発信できる、過去記事の管理が簡単という点ではブログとメルマガには共通点が多い」と説明。ブログとRSSを組み合わせることで、メールマガジンよりも高い表現力や容易な入退会方法を実現できるとした。また、RSSが「Webサイトありき」の仕組みであるために、比較的楽にサイトを訪れてもらえる点も大きいという。一方でRSSのデメリットとして「メーラー以外にRSSリーダーを導入するという点では障壁が高い」とした上で、「スパムメールの被害がないという点ではメリットも大きい」と補足した。

 メルマガからブログへの移行例としては、マネックス証券のブログ「マネログ」が紹介された。これはマネックス証券の松本大代表取締役が発行していたメルマガをブログ化したもので、過去のメルマガもブログにアーカイブとして保存されているほか、RSSでの広告配信といった試みも行なわれているという。また、「MicrosoftやMacromediaなどでは、開発担当がそれぞれブログを開設、ユーザーの意見を反映している」という事例も紹介された。

 伊藤氏は「ここまでは情報発信側のマーケティング」と一区切りした上で、受信側のマーケティングとしてRSS検索について言及した。伊藤氏によれば、RSS検索とは「インターネット版“スゴ録”」と例えられるという。スゴ録とは、入力したキーワードに関する番組を自動で録画する機能を特徴とするソニー製のDVDレコーダであり、伊藤氏は「RSS検索ではあらかじめ設定しておいた単語に関する情報を集める“未来検索”が実現できる点が特徴」と説明。「RSS検索を使うことで自社のサービスや商品に関する意見を受動的に収集できる。ココログのスタッフも“ココログ”というキーワードを使ってユーザーの意見を集めており、おかげでどこを直せばいいかがわかりやすい」というメリットを挙げた。

 伊藤氏は「RSSはスパムフリーであり、Webサイトへの誘導が比較的容易。さらには“半受動”的に情報を集められる点がマーケティングのキーワードではないか」とコメント。「RSSはまだ普及には至っていないし、関連ツールも荒い物ばかりだが、それでもすでにRSSはマーケティングに有効なのではないかという状況が生まれている。これからRSSが普及するに従い、RSSを制する者が次のビジネスを制するのではないか」との見通しを述べ、講演を締めくくった。


RSS検索はインターネット版「スゴ録」 RSSなくしてインターネットは語れない

関連情報

URL
  RSSから始まる!次世代インターネットマーケティング
  http://www.lifemedia.co.jp/semi/
  関連記事:Apple、Mac OS X v10.4“Tiger”をプレビュー〜RSS対応のSafariなど[INTERNET Watch]
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/06/29/3690.html

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(甲斐祐樹)
2004/08/24 18:31
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