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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
米Broadcom、VoIPと無線LANチップを統合した無線IP電話ソリューション

無線IP電話リファレンスキット「BCM91160」
 米Broadcomは、10月11日付けで発表した無線IP電話向けのチップセットソリューションの製品説明会を開催した。チップセットは現在サンプル出荷中で、1個あたりの価格は31ドル。

 発表されたチップセットは、シングルチップモバイルVoIPプロセッサ「BCM1160」と、IEEE 802.11gに準拠したシングル無線LANチップ「BCM4318」から構成される。同社はあわせて、無線IP電話のリファレンスキット「BCM91160」も発表した。

 BCM1160は、CPUに「ARM926 104MHz」を採用した製品で、同社ではハンドセット用の音声処理に十分対応できる能力を持っているとしている。また、130万画素数のデジタルカメラ機能や、26万2,000色のカラーLCDディスプレイ、USBインターフェイスも搭載できる。

 ソフトウェア面では、同社VoIP製品に搭載されるVoIPソフトウェア「xChange」を採用。これにより、既存VoIP製品との相互接続性が図れるほか、ソースコードも提供することでメーカーごとに機能の追加が容易にできるとしている。

 BCM4318は、同社のシングル無線LANチップソリューション「AirForce One」シリーズとして6月に発表された製品で、SDIOモジュールでの提供も可能だという。ソフトウェア面では、同社の無線LANネットワーキング・ソフトウェア「OneDriver」を採用し、WPAやWPA2といった無線LANセキュリティや、Wi-Fi Allianceの「Wi-Fi Multimedia(WMM)」に準拠したQoS機能を備えた。また、ウィザード形式の無線LAN設定システム「SecureEZSetup」もサポートする。

 あわせて発表されたBCM91160は、ドライバやソフトウェアを含んだ無線IP電話のリファレンスキット。OSにはLinuxを採用し、電話アプリケーションのサンプルや、xChange、OneDriverなどをサポートする。また、他のチップと同様にソースコードも公開されており、メーカーごとに改変も可能だという。


無線IP電話向けのチップセットソリューションについて BCM91160の概要

無線IP電話は4つの技術を統合したソリューション 市場分野について。個人用途では自宅に設置したWebカメラに外部からアクセスするなどの利用法も示された

既存技術を組み合わせて新市場を開拓

(左から)ブロードコムジャパンの山崎勝利氏と、米Broadcomのマシュー・ドーナム氏
 説明会に出席したブロードコムジャパンの山崎勝利マーケット・ディベロプメント・マネージャーは、同社における無線IP電話の位置付けについて「4つのテクノロジーを統合したソリューション」と説明。具体的な技術として、VoIP技術、無線LAN技術、無線WAN技術、IPネットワーキング技術を挙げ、「すでに市場で実績のある技術を組み合わせて、新しい市場を開拓していく」と語った。

 また、市場分野については個人、企業の双方を考えているという。個人用途については、「現在使用されているコードレス電話の置き換えとして考えており、マルチメディア機能を搭載した製品を提供したい」とコメント。一方、企業用途では「構内PHSと置き換えていきたい」と語った。加えて、公衆無線LANサービスとの連携についても各事業者と交渉中とし、「今後は事業者ごとに必要な機能をハードウェア上に搭載していく」とした。

 続いて、米BroadcomのワイヤレスVoIP製品担当テクニカル・マーケティング・マネージャーのマシュー・ドーナム(Matthew Donham)氏が、発表製品の技術内容について説明を行なった。

 無線IP電話向けのチップセットソリューションについては、「BCM1160とBCM4318の2チップとしたことで高集積化を図るとともに、コストの削減も実現した」と語った。搭載ソフトウェアについては「標準規格に準拠しているほか、ソフトウェアの更新にも対応し、規格の追加・変更があった場合にも差分のダウンロードが可能だ」とした。

 また、リファレンスキット「BCM91160」に関しては、「ハードウェアとソフトウェアの両方をパッケージ提供しているが、あくまで基本仕様をメーカーに提供するキットである」とした。消費電力は「継続的に改善している」とのことで、現段階での連続通話時間は最大4時間、待ち受け時間は最大100時間だという。

 同氏は、今回発表したソリューション採用製品の投入時期について、「日本国内のメーカーを含めて数社が、2005年に製品を発売する予定だ」と語った。加えて、無線IP電話市場に関しては、「無線IP電話市場は今後拡大すると考えており、有線IP電話端末から無線IP電話への移行も進んでいくのではないか」と見通しを示した。


無線IP電話のほか、今後はHDTVやBluetooth、XDSL市場への製品投入も進めるという VoIP製品のロードマップ

関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.broadcom.com/press/release.php?id=628508

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(村松健至)
2004/10/18 15:01
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