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ビル・ゲイツ、都内小学校で講演「子供たちに科学の夢を語る」
会場となった千代田区立昌平小学校
東京・千代田区の千代田区立昌平小学校では、米Microsoftのビル・ゲイツ会長を招いたイベント「ビル ゲイツ 子供たちに科学の夢を語る」が実施された。講演は岡山県岡山市立西小学校をインターネットで結んで行なわれたほか、千代田区内の小中学校にも講演の模様が同時中継された。
このイベントは、マイクロソフトが日本の公立学校のインターネット環境を整備するとして2002年5月に設立した「ブロードバンドスクールコンソーシアム」の一環として行なわれたもの。本会場となる昌平小学校には千代田区立練成中学校の生徒も参加したほか、ブロードバンドコンソーシアム最初の実証校となった岡山県岡山市立西小学校ともインターネットを通じて中継が行なわれ、ビル・ゲイツ会長をはじめとした登壇者の講演ののち、両校に集まった児童や生徒からビル・ゲイツ会長へ向けて質問が投げかけられた。
ビル・ゲイツ会長は、「当時は高価だったコンピュータを安く、使いやすいものにしたい」という夢を持ち、知人と一緒にソフトウェアを作る会社として設立したのがMicrosoftの始まりだと説明。今ではアメリカの60%近くの家庭にコンピュータが普及、日本でも1/3の家庭でコンピュータが利用されるようになり、コンピュータの面白さ、素晴らしさが一般に広がっていると語った。
また、「日本とアメリカの景気が悪くなっているという話が聞かれるが、そんなことは決してない」と自身の意見を披露。パソコンに搭載されるチップの性能や、インターネットの通信速度が飛躍的に進化する中、「ソフトウェアの力によって更にコンピュータの力を引き出すことができるようになる」と展望を語った。また、現在のコンピュータ操作の主流であるキーボード入力についても「マイクやペンでコンピュータを操作する時代が来る」と予測、「2010年には学校の宿題やスケジュール管理、請求書の支払いなどがすべてコンピュータでできる時代がやってくる」と語った。
Microsoftのビル・ゲイツ会長
ビル・ゲイツ氏によれば現在の科学の進歩の中で注目に値する大きな進化を遂げた分野は「医学」と「情報技術」であるという。現在は欲しい情報が簡単に手に入れられる時代であり、その結果「世界がどんどん小さくなっている」とコメント。聴講する児童たちに向け、「みなさんの将来は、これまでの時代とは比べ物にならないほどのインパクトを持つことになるだろう」と語りかけた。
続けてビル・ゲイツ氏は児童らに対し、「自分が興味を持ったことについていろいろ調べられる環境があるということは、“学習したい”という気持ちを維持するためにとても重要なことだ」と説明。コンピュータを使うことはとても楽しいことであり、ブロードバンドスクールコンソーシアムの実証校のように最新の技術を導入、児童や生徒が利用していることは「自分にとっても非常に勇気づけられることだ」と胸の内を語った。
講演の最後にビル・ゲイツ氏は「自分の小さい頃は、パソコンは“実現性のない夢”でしかなかったが、友達と一緒に頑張ることでこれを実現できた」と自身の体験を語り、児童らに向けて「夢を追いかける、追求するという目標を持って頑張って欲しい」と励ましの言葉を送った。
ハワード・ベーカー駐日米国大使
ビル・ゲイツ氏に続いて登壇した駐日米国大使のハワード・ベーカー氏は、「米国と日本ほど近い関係を持つ2カ国はなかなかあるものではなく、このことを誇りに思っている」とコメントした。また、ビル・ゲイツ氏について「アメリカでヒーローとなっているのは事業が成功したからではなく、想像力や勇気を持って積極的に行動することで新しい業界を作り出したからだ」と評価。児童らに向け「みなさんの生まれた時代は平和で繁栄ある社会であり、いままでのどの世代よりも成功する可能性が大きい点は幸運だ」と述べたのち、「米国を代表するビル・ゲイツとその会社が達成したことを、平和や友好のために活かしてください」とエールを送った。
講演ののち、会場の児童からは、MicrosoftやWindowsを作ったきっかけについて質問が投げかけられた。ビル・ゲイツ氏は「かつてのコンピュータは非常に大きく、とても高いもので、個人が利用できるものではなかった」とした当時の状況を説明した上で、「コンピュータの世界ではソフトウェアが非常に大事だと気づいた」と設立の理由について説明した。また、1980年代からXerox、apple、Microsoftなどが提唱し始めた「従来文書だけだったパソコンの世界に画像を取り入れる」という動きについては「当時は誰もが失敗すると思っていたが、今では当たり前のことになっている」と語った。
また、家庭用ゲーム機「Xbox」やパソコンOS「Windows」を作るのにどれくらい時間がかかるのかという質問については、「部品メーカーなどパートナーとの協力があり、その成果をMicrosoftの技術によって組み立てたもの」と前置き、Xboxについては2年半、Windowsについては新バージョンごと3年を要するとコメントした。また、自身の子供の頃にについては「本が大好きで、学校も好きだった」と振り返り、「大学は中退してしまい、大学からは未だに“戻ってきたら”という言葉をいただいているものの、これはかなり特殊な事例なので、みなさんは頑張って学校を続けてください」とコメント、場内を沸かせていた。
当日インターネットで結ばれた岡山市立西小学校。1人に1台パソコンが用意されている
講演の最後には児童たちから花束の贈呈。ゲイツ氏からは直筆サインのプレゼント
児童らと記念撮影を行なうゲイツ氏
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URL
ニュースリリース(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/features/2003/Feb03/02-24broadband.asp
関連記事:マイクロソフト、公立学校インターネット環境を整備する団体を設立
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/05/20/ms.htm
(甲斐祐樹)
2003/02/25 20:23
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