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ソニー、出井・安藤後継人事の記者会見「CEOが日本人の必要はない」
出井会長兼グループCEO(左)と次期会長兼CEOのハワード・ストリンガー氏
ソニー株式会社は7日、出井伸之会長兼グループCEOと、安藤国威社長の後継人事を発表した。出井氏の後任には会長兼CEOにハワード・ストリンガー氏(現副会長兼COO、ソニーアメリカ会長兼CEO)が、安藤氏の後任には中鉢(ちゅうばち)良治氏(現執行役副社長兼COO、マイクロシステムズネットワークカンパニー、イーエムシーエス担当)が就任。また、現執行役副社長兼グループCSO & CFOの井原勝美氏が、代表執行役兼CFOに就任する。
また、真崎晃郎氏、久夛良木健氏、徳中暉久氏、ヨーラン・リンダール氏、大西昭敞氏の各社内取締役が退任し、出井氏および安藤氏は、最高顧問ならびに顧問に就任する。次期社長の呼び声も高かった久夛良木は、グループ役員およびゲームビジネスを担当を担当し、それまで掌握していたセミコンダクタビジネスは中鉢氏が担当する。
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後継人事は出井&安藤で決定
左から安藤氏、出井氏、中鉢氏、ストリンガー氏、井原氏
同日に開かれた記者会見には、出井氏、安藤氏、ストリンガー氏、中鉢氏、井原氏が出席した。
出井氏は、「今回の人事は安藤社長と以前より話し合った結果。この陣容は私と安藤が考えたもので、会社というものはOBや委員会が決めたりするものではない。くれぐれもお間違えのないよう」と、決定意思が社内取締役会にあったことを強調した。
また、「エレクトロニクスの業績が、私の立てたTR60の目標に届いていないのは大変残念。しかし、ソニーの変革の種はまかれており、社員一人一人の中に変革の芽が確実に育っている。自ら予測した時代が到来し、そのときに退任というのはちょっぴり寂しい気もするが、それ以上に次世代のページを繰ったという、気持ちが強い」と所感を述べた。
ストリンガー氏については「ハワードは米国のエンターテイメント、エレクトロニクス、最近ではMGMの買収など、現地のマネジメントを率いて東京との信頼関係を築いた。ソニーの自由闊達なDNAを受け継ぐ人。ハリウッドは初期にトラブルがあったが、私も2000年くらいから足を運ぶ必要がなくなった。私がハリウッドに行かないように、中鉢さんらと信頼関係を強めることで、(ストリンガー氏の東京常駐は無理だとしても)グローバルなCEOができる信じている」と語った。
中鉢氏については「エレクトロニクスをずっとやってこられた人で、ソニーのオペレーションを裏から見てきた人。エレクトロニクスで純粋に育った人で、最終商品を手がけていないものの、ソニーのモチベーションを上げ、一丸とするには適している」と説明。「なかなか軸のぶれない人」とも評した。
ハワード・ストリンガー氏
中鉢良治氏
挨拶に立ったストリンガー氏は「私のネクタイはスパイダーマンを意識したが、3人のネクタイの色が同じなのは偶然です」と笑いをとったあと、「この8年間、ソニーに能力と蓄積を感じていた。60年代の遺産を受け継ぎつつも、顧客の新しいニーズにあわせ、ソニーも変わらなければと思う。コスト優先だけではなく、顧客中心の製品作りを意識しなければ。経営改革を推し進め、カンパニー間の連携を強化を図る」などと抱負を述べた。
新社長就任予定の中鉢氏は「2005年はソニーにとって大きな転換期。エレキの復活をかけ、難局に立ち向かっていきたい。出井、安藤氏がうってきた布石には敬意を表します」と語った。
また、「設計、ものづくり、マーケティングの現場、これらは少しも揺らいでない。社員の意欲も健在。私はエレキを担当するに当たり、“エレキの復活なくしてソニーの復活はない”と思っている。より重要なことは社員のより深いコミュニケートで、これが全員の潜在能力を引き出し、お客様の目線で夢と希望を与える製品の投入に全力を尽くしたい」と挨拶した。
質疑応答では、下馬評で次期社長候補だった久夛良木氏についても質問が及んだ。「中鉢氏にあって久夛良木氏に欠けていたものは?」という質問には、出井氏が「難しい質問だが……。中鉢氏はグッドリスナーで、いろんな人の意見を聞いて正しい判断をするところ。エレクロトニクスの若い人たちをモチベートするには必要なことだ。あくまでも比較論ですが(笑)」と説明。「ソニーに欠けているものは?」との質問には、中鉢氏が「消費者の目線、現場を見る目」を挙げ、「もう一度立ち返りたい」と訴えた。
ストリンガー氏へは「日本語も話せない、エンジニアリングの経験もない、ソニー文化で育っていない、東京にも住んでいない。そんなあなたがソニーのリーダーとして勤まるのか」と厳しい質問が飛んだ。ストリンガー氏は「現在はどこにいてもコミュニケーションができる時代で、逆に逃げることができないくらい。また、中鉢氏ら東京側との関係を打ち立てることで、両者の強みになる。日本語も覚えたいが、ソニーの人はみんな英語が上手だ」と回答した。
また、出井氏は「ソニーのビジネスのうち、国内は29%にすぎない。どこにいってもソニーはある。グローバルカンパニーなので、CEOが日本人でなければということはない。ストリンガー氏はたまたまウェールズ生まれのアメリカ人だが、ソニーのCEOとして違和感は感じない」とフォローした。
なお、Cellをはじめとした次世代半導体事業については、中鉢氏が「重要性は認めており、バランスのある判断が必要。特にCellはPS3にのみ必要な技術ではなく、(多方面に)いかに活用するかが重要。投資路線に変更はない」とコメントした。
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URL
ニュースリリース(ソニー・グループの新たな経営体制について)
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200503/05-014/
ニュースリリース(人事機構改革)
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200503/05-015/
(折本幸治)
2005/03/07 21:15
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