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360度映像によるSo-netの「ブロードバンドシアター」を体験
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3月29日から東京・銀座のSOMIDOホールで上演されている「ROOFTOP」は、So-netのブロードバンド制作プロジェクト「So-net PRODUCE ブロードバンドシアター」の第1弾作品だ。観客は劇場に足を運んで公演を鑑賞できるほか、ブロードバンド環境で360度映像による鑑賞方法も用意されている。このうちブロードバンド環境による「バーチャルシアター」を実際に鑑賞してみた。
■ 「バーチャルシアター」と「リアルシアター」
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バーチャルシアターの画面。右から好きな視点を選択する
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ROOFTOPは、東京・銀座にあるソニービル8階のSOMIDOホールで3月29日から4月10日まで18回の公演が行なわれている。SOMIDOホールで行なわれる公演は「リアルシアター」と名付けられ、100人限定でインターネット配信される「バーチャルシアター」と合わせて2通りの鑑賞方法が用意されている。
バーチャルシアターの料金は1公演につき1,050円で、そのほか事前に専用ソフトウェア「envivioTV」をインストールしておく必要がある。このソフトウェアを使用することで、会場の様子を360度映像で視聴できる映像を含め、5種類のカメラ映像をユーザーが自由に選択して楽しむことができる。envivioTVはRealPlayer、Windows Media Player、QuickTimeの3種類に対応しており、いずれか1つのプレーヤーがあればROOFTOPを視聴できる。
専用ソフトウェアは、右側にカメラ映像が縦に5種類並んでおり、見たい映像をクリックすることで映像が左側の大画面に映る仕組みだ。360度映像については画面が上下2つに分割され、それぞれに舞台の様子が180度ずつ映し出される。そのほか舞台上に固定されたカメラの映像で舞台全体の様子を確認することも可能で、多彩な角度からの視点をサポートしている。
■ 公演会場も360度映像向けの工夫が
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SOMIDOホールの舞台。観客が舞台を取り囲む形に(画面は公開稽古の様子)
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360度のカメラ映像を採用しているだけに会場も工夫が凝らされている。観客席は舞台を取り囲む形で設置され、360度に近い環境から講演を楽しむことができる。また、舞台中央には360度映像を撮影できるシステム「FourthVIEW(フォースビュー)」が設置されているが、公演の最中できるだけカメラの存在を意識させないよう柱の中に組み込んでいる。中央カメラ以外のカメラは、公演中も会場内を自由に動き回り、その自由度といえば舞台の上に上がりこむ光景すら見受けられるほどだ。
また、会場が観客席が舞台を取り囲む構成になっているためか、観客にも比較的アットホームな雰囲気が漂っているように感じられた。また、公演開始前に主演の山本耕史や高木りなも含めた出演者が登場、観客とやり取りを交わすなどの一場面もあり、観客もリラックスした環境で視聴できていたようだ。
■ ライブ映像ならではのマルチアングル効果
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高木りなが夢を語るシーンを見守る山本耕史。こんな表情を目にできるのもマルチアングルならでは
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山本耕史の熱唱シーンも
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画面の切り替えはスムースで、気になった場面でのクリックがすぐに反映される。様々な角度から撮影しているため、右側の画面に注意を払っていれば舞台袖でスポットライトを浴びていない時の役者の反応や、メインカメラに背を向けている時の表情など、普通では目にすることのないシーンも視聴可能で、テレビやビデオなどとは一味違った楽しみ方ができる。
配信帯域は1映像につき200kbpsで、合計1Mbps程度の通信速度が最低でも必要となる。今回は視聴環境にBフレッツ ベーシックタイプを選択したためか、画像のコマ落ちといった現象は見られず、快適に視聴できた。画像自体もそれほどサイズが大きくないため比較的違和感なく視聴できるが、上演者のアップ映像などではややブロックノイズが気になる場面も見られた。
何よりもライブ映像のカメラアングルを自由に切り替えられるという機能は、予想以上に作品に対して能動的になれる。マルチアングル機能はDVDや家庭用ゲーム機でも採用されているシステムではあるが、その瞬間でしか見ることのできないライブ映像を自由な角度から楽しめるというのは一味違うものだと実感した。
惜しむらくは、「マルチアングルならでは」の趣向がそれほど強くはアピールされていなかった点だ。FourthVIEWを出演者が取り囲んで回るシーンなどもあったものの、360度映像を最大限に活かしたコンセプトと言うには少々もの足りない印象だ。また、制作発表時に披露されていた「観客も公演に参加する」というコンセプトに即した場面も見受けられなかった。この点については今回はまだブロードバンドシアターのコンセプト第1弾ということもあり、今回の公演で得たものを活かし、今後よりマルチアングルやライブ配信を意識した脚本や構成の作品が上演されることを期待したい。
ROOFTOPを一通り視聴して感じたことは、ライブ映像のマルチアングルというコンセプトが予想以上に魅きつけられるサービスということだ。ROOFTOPと同様に演劇でのライブ配信に加え、音楽アーティストのライブ映像など、このようなマルチアングル配信の適用ジャンルは幅広いように思う。現在はまだ180度ずつの360度映像だが、So-netでは技術的に360度映像を自由に操作することも可能としており、ブロードバンドシアターの第2弾、第3弾が期待される。
■ URL
ブロードバンドシアター
http://www.so-net.ne.jp/bbtheater/
■ 関連記事
・ SCN、360度映像で演劇をライブ配信するブロードバンドシアター
(甲斐祐樹)
2003/04/01 14:58
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