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ユーザーの情報収集・発信をサポートする「Feedpath」が1月に無料公開

 サイボウズは、11月1日付でサーバーエージェントの共同出資による合弁会社「cybozu.net株式会社」を設立した。これまでサイボウズでアルファサービスを運営していたポータル「cybozu.net」は新会社へ委譲され、これを受けてサイボウズではフィードを活用した新たなプロジェクト「Feedpah」に着手した。Feedpathの概要について、サイボウズ ネットサービス部の小川浩ジェネラルマネージャーに伺った。


情報の受信・発信、検索、共有をフィードで完結

サイボウズ ネットサービス部の小川浩ジェネラルマネージャー
 Feedpathとは、「サイボウズのWeb 2.0プロジェクト」との位置付けのもと、ブログやRSS/Atomフィードをベースとして開発が進められているサイボウズの新サービス。小川氏の考えでは、Web 2.0とは「今まではHTMLベースだったWebの世界が、フィードやブログというXMLで急激に結びつきつつあるという流れそのもの」であり、そうしたWebの新しい流れの中で、「もっとも情報を取得しやすい、もしくは発信しやすいツールがFeedpathだ」と語った。

 Feedpathの基本は、Web型のRSS/Atomフィードを登録できるフィードリーダー機能。また、フィードの収集以外にも、外部のブログサービスへの投稿機能、フィード検索機能などを順次追加していく予定。情報の受信や発信、検索や共有といった機能をすべて網羅した個人ポータル、それがFeedpathのコンセプトだという。


開発中の「Feedpath」サービス画面

ユーザーの嗜好に基づいてフィード情報を整理するタグ機能

 Feedpathの特徴は、登録したフィードをタグで管理する点にある。サイドバーに表示される登録サイトは一見フォルダで区分されているように見えるが、実際にはサイトごとに付与するタグで区分されており、ユーザーの行動履歴に応じてサイドバーの表示順位が動的に変化するのだという。

 サービスリリース開始当初は、新着記事の多い順にタグが動的に変化し、常に鮮度の高い情報をユーザーへ提供する。「まずはサイドバーの情報が動的に変化するという体験をして欲しい」というのが小川氏の考えだ。

 さらに今後は、記事が閲覧される頻度や個別の記事からブログへ投稿した回数、印刷された回数といったユーザーの行動を基準とし、サイドバーの表示アルゴリズムをユーザーに最適化していく。また、こうしたデータを蓄積することで、新たな記事が追加された場合に、ユーザーの嗜好に基づいて記事を推薦するといった機能を盛り込んでいく考えだ。「サイドバーがまるで自分の言うことを聞いてくれるかのように動的に変化していくことが、Feedpathの当面の目標(小川氏)」。


サイドバーが動的に変化、ユーザーの嗜好に適した情報を伝える

 タグは記事ごとに付与することも可能で、この場合は1つの記事に複数のタグを付与でき、同じタグを付与したユーザーや同じ記事に他のユーザーが付与したタグを確認できるソーシャルブックマーク機能を持っている。また、ブログの投稿機能でもタグ機能が盛り込まれており、記事投稿と同時にFeedpathのタグを付与できる。

 サービス開始後に追加予定の検索機能では、タグや記事内に含まれるキーワードを対象とした検索が可能になる。検索結果には入力したキーワードに関連するキーワードやタグがサジェストされ、検索結果を半自動的に絞り込んでいくことも可能だ。ユーザーごと個別に情報を最適化するための仕組みを構築することで、「GoogleのPage Rankのようなアルゴリズムを作りたい」と小川氏は語る。


Feedpathからブログへ記事を投稿できる 記事ごとに複数タグを付与して共有できるソーシャルブックマーク機能もサポート

所属サイトを持たないフィードで、フィードによるSNSも実現

Feedpathのビジョンを指し示す公式サイト「Feedpath Team's Web」も開設
 もう1つの大きな特徴が、Feedpathでフィードを生成できる機能だ。従来までAtomやRSSといったフィードは、ブログやWebサイトの更新情報を伝えるための機能として提供されてきたが、Feedpathではフィードのみを作成できる点が特徴。フィードの配信こそFeedpathのサーバーから行なわれるが、配信されたフィードは特定のサイトを持たず、RSSリーダーやFeedPathでのみ閲覧できる。また、将来的にはフィードをベースとした画像や動画ファイルの送信、Podcastingにも対応したいという。

 小川氏は「RSSリーダーを使っていると、ブログを見ずにリーダーだけで読むケースも多い。それであれば直接フィードで読むサービスもできるのではと考えた」と説明、メールマガジンをフィードだけで完結させる「フィードマガジン」のようなアイディアも実現できるのではないかと語る。「我々はフリーフィードと呼んでいるが、ブログやサイトのような所属先を持たないフィードを作成することで、イベント情報やフライヤーをフィードで発信する、パーソナルパブリッシングのようなことが実現できるのではないか」。

 さらにFeedPathでは、FeedPathに登録したユーザーしか見られない非公開フィード機能も実装する予定。「FeedPathのユーザーのみ見られるような仕組みを作ることで、フィードによるソーシャルネットワーク、いわば“ソーシャルフィーディング”のようなサービスが実現できる(小川氏)」。

 フィードを介した関係はSNSと比べて「もう少し緩やかな関係が築ける」と小川氏は説明。「SNSは相手を登録すれば必ず自分も登録されるという双方向のリンクだが、こちら側は登録しているけれど相手は必ずしも登録する必要はないし、もしくはその逆もいい」とし、「人間関係は意外と一方通行なもの。そういう温度差を許す試みがあってもいいのでは」との考えを示した。


1月に無料でサービスを開始。順次機能を拡充

現在アルファサービス中の「cybozu.net」はFeedpathのOEM提供を受けてリニューアル
 FeedPathは2006年1月をめどに、リーダー機能限定でアルファサービスを開始。ユーザー登録のみで誰でも無料で利用できる。機能は順次拡充していく予定で、2月にはブログ投稿機能を、3月末にはフィード検索が追加される予定だ。ブログ機能に関してはFeedpath独自のブログサービスは持たず、ユーザーが別途用意したココログやlivedoor Blogなど外部のブログサービスへ投稿する形になる。

 他社へのOEM展開も予定しており、第1弾として、サイボウズとサイバーエージェントによる合弁会社「cybozu.net」へFeedpathを提供する。cobyozu.netではすでにRSSリーダーのアルファサービスを提供しているが、このサービスがFeedpathに置き換わり、ビジネスユーザー向けのサービスとして展開していく方針だ。

 OEM展開に加えて、Feedpath内の広告、ユーザーが登録したフィードのデータを外部提供することで収益につなげていく。広告に関しては検索結果に応じたスポンサードリンクが中心で、バナー広告は「ユーザーの視点が奪われてしまう」ためにサービス開始当初は採用しない。


ユーザーの動向や行動の蓄積こそがFeedpathの価値

 小川氏は「Feedpathそのものは単なるデータベース。ユーザーがデータを登録する動向や購読の行動を蓄積することで初めてデータに付加価値が生まれる」と説明。「その付加価値を必要に応じて組み立てていくことで、マーケティングデータとしての販売やAPI公開といったビジネスの可能性もある」との考えを示した。

 携帯電話への展開も視野に入れている。すでにサイボウズでは法人向けMVNO事業の検討を表明しているが、「MVNOで提供する携帯電話へのキラーアプリとしてFeedpathが連携してもいい(小川氏)」。小川氏はiTunes Music Store(iTMS)を例に上げ、「iTMSは楽曲販売そのもので利益を上げることよりも、iTMSで楽曲を提供することでiPodで利益を生んでいる。我々にとってFeedpathがiTMSであり、携帯電話がiPodになるかもしれない」との可能性を示した。


関連情報

URL
  Feedpath Team's Web
  http://team.feedpath.jp/
  サイボウズ
  http://cybozu.co.jp/
  関連記事:サイボウズ、法人向けMVNO参入を検討[ケータイWatch]
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/25341.html

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(甲斐祐樹)
2005/11/22 10:45
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