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「MLのコミュニティをSNSで完結」SNS化したfreemlのコンセプト

 メーリングリスト(ML)サービスの大手「FreeML」がSNS機能を実装し、「みんなのHappyコミュニティ!freeml」としてリニューアルを図った。MLサービスをSNS化したコンセプトについて、freemlを担当するGMOの志賀雄太氏と領家航氏に伺った。





SNS化は数年前から検討。SNS機能のユーザーは2万人を突破

デスクトップ事業本部長の志賀雄太氏(左)とデスクトップ事業本部コミュニティ事業部長の領家航氏(右)
――本日はよろしくお願いします。はじめに、freemlをSNS化しようと考えた経緯をお聞かせ下さい。

志賀:SNS化についてはユーザーからの要望も多かったのですが、1つのきっかけがある事業部の社員旅行です。その事業部は旅行で撮った写真をアップロードしてfreemlで流していたんですが、その写真のアップロード先は他社のフォトサービス。こういう使い方は非常に一般的ですし、freemlでフォト機能などを含めたコミュニティサービスを統合的に提供すべきと考えました。そして、秋頃から「ヤプログ!」を担当していた領家が中心になって開発を始めました。

 freemlは330万近いユーザーを抱えていますが、これまで10年近くはシステムのメンテナンス以外に大きな機能拡充もなく、ビジネス的にもボランティアに近い側面がありました。freemlに何とか新しい方向性を、と考えていたので、ユーザーからも我々からも、お互いに良いタイミングでした。

――SNS機能の現在のユーザー数は。

領家:ユーザーにはほとんど告知していない状況にもかかわらず、登録者数はすでに2万人を突破しました。freemlはアクティブで330万の会員がいますが、今までMLだけを使っていたユーザーが今回のSNSでも違和感なく使って頂けているようで、それは非常に嬉しいです。

志賀:サポートの負荷も考え、今のところは積極的にサービスを伝えることはしていません。freemlの管理ページにログインしたり、もしくはニュースリリースやニュースサイトの掲載を見てアクセスする程度です。





リアルゆえに強固なMLのコミュニティ

みんなのHappyコミュニティ!freeml
――MLがSNS化するメリットとは。

志賀:先ほどの社内の話にもあったように、MLとフォトや、MLに参加しているユーザー同士がお互いの日記を見てコメントしあったり、コミュニティ機能を使ってメールとは違った話し合いをしても面白いと思いますし、ML以外の様々な機能の提供により、よりコミュニティとして楽しく、便利に使って頂けると考えております。

領家:freemlの次の段階では、MLからfreemlのコミュニティへのコンバート機能を予定しています。具体的には、招待メールを受け取り、そのメールからfreemlに登録すると、入会した時点で招待者が設定したコミュニティに参加している、という機能です。

志賀:SNSは1人で入会しても友達がいないし、招待を受けたとしてもその招待者しか知り合いがいない。そうではなくてメーリングリストからコミュニティに移ることが重要で、そのためのコンバート機能です。

領家:インターネット上のコミュニティとは違い、サークルやPTAといった実際に存在するコミュニティがfreemlには非常に多く、リアルゆえにそのつながりは強固です。リアルなイベントも多く開催され、写真や日記が掲載される機会も多い。mixiは便利だけれどメーリングリストのメンバー全員がいるわけではない、というユーザーの要望に応えるのがこのコンバート機能だと考えています。


日記を投稿ごとアクセスコントロールできる「バインダー」機能
――リニューアルしたfreemlで、アクセスコントロール機能が非常に特徴的と感じました。

志賀:現在アクセスコントロールできるのは日記と画像だけですが、今後はプロフィールでも設定できるようにしたいと考えています。メーリングリストの特性上、1つのメーリングリストの中で会社のメールと友達のメールが重なっている部分も多く、そこをまったく同じプロフィール属性で表示するのはありえない。ただ、アクセスコントロールの条件が細かすぎるとページの負荷が高くなってユーザー数も増やせなくなるので、そのあたりは様子を見たいと思います。

 最近では特定のセグメントに特化したSNSが増えていますが、freemlはそうした特化型のSNSではなく、1,000万人規模のSNSとしてデファクトスタンダードを目指しています。そうした大規模のサービスのためには、アクセスコントロールの機能は必須になるでしょう。


アイコンと任意の文章で自分の気持ちを表現できる「ハッピーステータス(ハピステ)」
――その他の機能拡張の予定は。

志賀:メッセンジャーやチャット機能など、機能はまだまだ追加していく予定です。今ではチャットは枯れた機能ですが、SNSには非常に相性が良いと思います。オンラインストレージや動画なども対応を考えていますが、これらはある程度の容量までは無料、それを超える場合は有料というように課金の可能性もあります。本当はすべて無料にしたいですが、容量を使うものは難しいですね。

領家:ハッピーステータスを使った新しい機能も考えています。ハッピーステータスは、今の気分をアイコンと任意の文章で表現できる機能ですが、例えば「飲みに行きたい」というアイコンを設定している人同士をマッチングさせるという機能を考えています。そのために、ハッピーステータスは完全に自由な設定にはしていないんですよ。





地域情報を利用した広告展開が最終的なビジネスモデル

現在も2つの機能が開発中
――freemlのビジネスモデルは。

志賀:広告を収益の大きな柱として、そこに加えて有料のオプションサービスを考えています。ただ、広告といってもいわゆるバナー広告だけではなく、SNSならではのユーザー属性を利用してコンテンツとしても提供できるような広告展開を考えています。

領家:実は広告収益のハードルは低いんです。というのも、freemlはもともと毎月売上が上がっていて、インフラも営業も仕組みも全部揃っているから。この四半期と次の四半期は機能拡充に集中しますが、その間もfreemlの売上は立ち続ける。売上に対するハードルの低さは、新たにビジネスを立ち上げる時には非常に嬉しいですね。

志賀:最終的なビジネスモデルとしては、ユーザーのエリア属性をテーマにした展開を考えています。掲示板のようなバーチャルなコミュニティではユーザーそれぞれの位置が遠くて場所属性がほとんどありませんが、freemlはリアルな位置関係が近いコミュニティのツールです。ここを軸にして、地域の1丁目、2丁目といった細かな単位のセグメントで広告を展開していきたいと考えています。

 地域への広告はタウンページや折り込みチラシが未だに強く、インターネットでは5年くらい前から言われながらもやりきれていない部分です。SNSならば細かなユーザー属性に最適化した広告表示が可能で、そのためにも1,000万単位でのユーザーが必要になってきます。そのくらいの規模でなければ、1丁目2丁目単位での細かい広告はとても打てないので。

 もちろんユーザーにとって、広告のためにそこまで自分の地域情報を入力しようとは思わないでしょう。そのために考えているのが、位置情報を使ってユーザーが便利になる機能です。

領家:天気予報で言えば、自分で地域を入力するのではなく自動的に自分の地域の天気を表示するといった機能です。それだけでなくモバイルの地域情報も重要です。freemlの会員のうち半分は携帯電話のユーザーですが、PCと違って携帯電話を使う場面は1カ所に限らない。GPSなどの機能をうまく使い、そのエリアで必要なコンテンツや広告を表示するといった展開が考えられます。

志賀:さまざまなサービスがローカルへの進出にチャレンジして失敗していますが、メーリングリストというリアルなコミュニティを持っていることが我々の強みだと考えています。

――本日はありがとうございました。


関連情報

URL
  みんなのHappyコミュニティ!freeml
  http://happy.freeml.com/

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(甲斐祐樹)
2006/04/13 11:05
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