サイドフィードが6月21日にベータ版を公開した社内向けサーバー型メッセンジャー「フレッシュミーティング」は、サイドフィードの赤松洋介氏と、「check*pad」などのサービスをリリースする田口元氏らによる「開発合宿」で開発された。短期間でさまざまなサービスを生み出す合宿の意義やメリットについて主催者に伺った。
■ 「開発合宿」で生まれたフレッシュミーティング
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フレッシュミーティング
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フレッシュミーティングは、社内での利用に特化したサーバー型のメッセンジャー。クライアントPCからはブラウザで利用できるため専用クライアントのソフトをインストールする必要がなく、メッセンジャーでのやりとりも社内に限定されるために情報漏洩の危険性が少なくなるという。
このフレッシュミーティングが開発された「開発合宿」とは、文字通りシステムやサービスの開発者たちが合宿を行ない、新しいシステムやプログラムを生み出すというもの。赤松氏と、田口氏が中心となり、月に1回のペースで技術者を集めて行なっている。
技術者が集まってサービスを開発する合宿は、もともとははてなが社員を集めて行なっていた。「はてなブックマーク」のリリースに代表されるサービスのリリースや機能拡充といった成果を次々に合宿で達成するはてなに対し、「なぜ環境を変えると成果が上がるのか、はてな合宿の謎が知りたかった」と考えたことが両氏による合宿につながっている。
合宿の流れは非常にシンプル。食事以外の時間は机に向かい、ひたすら開発に専念する。作業が一段落した場合や、他の人の意見を仰ぎたい場合はプロジェクターを使って開発中のサービスをプレゼンし、そこで得たフィードバックを作業に反映させる。そして合宿の最終日には、開発中の案件をリリースできるレベルまでに仕上げることが目標だ。
合宿を通じて生まれたサービスも多い。サイドフィードの赤松氏は、サーバーインストール型のRSSリーダー「フレッシュリーダー」を開発したほか、合宿でのミーティングが「あとで読む」のリリースにつながった。田口氏もToDoツール「check*pad」のモバイル版や、リマインダーサービス「R*PAD」を合宿中に開発、リリースしている。
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各自がPCやキーボード、ディスプレイを持ち込んで開発環境を構築
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サイドフィードの赤松洋介氏
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■ 開発に集中できる環境と知識の共有が新サービスの大きな武器に
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合宿に必須のインターネット接続環境
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合宿に持ち込むのは基本的にPCだけ。最近では作業効率を高めるためにディスプレイやキーボードも用意するが、開発自体はPC1台あれば事足りる。宿泊先は必ず「無線LAN」を条件に検索、インターネットの常時接続環境は必ず確保する。これで開発に必要な体制はほぼ整うのだという。
もちろん、開発作業を進める環境としては、合宿先はオフィスに及ぶべくもないが、赤松氏は「作業効率はかならずしも環境に依存しない」と語る。ディスプレイ2台とPC、無線LANという最低限の環境ではあるが、普段とは違う新鮮な環境で、朝から晩まで1日中開発に集中できるメリットのほうが大きいのだという。
「知識の共有が何より大きい」と語るのは田口氏。会社ではない有志が集まって開催するということもあり、所属にこだわらず「これは!」と思う技術者を合宿に呼んで情報交換を行ない、議論の成果をその場で開発に生かせる。「所属が違えば持っている知識も違う。自分では良いと思っているものが、議論を進めてみるとそれほど良くなかったり、逆に議論の中から新しく生まれるものもある(田口氏)」。
そうした環境とは引き換えに、オフィスをしばらく空けることになるが、赤松氏は「もともと電話もそれほどかかってこないし、メールや携帯電話で連絡も取れるので影響はほとんどない」と話す。「会社自体も規模が小さいからこそ、これだけ自由に動きがとれるのが強み」。ベンチャーならではの機動力を生かし、今後も合宿を使って新サービスをリリースしていく予定。まだまだ合宿で開発したいアイディアが、赤松氏の頭の中にはいくつも眠っているという。
■ URL
サイドフィード
http://sidefeed.com/
check*pad
http://www.checkpad.jp/
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(甲斐祐樹)
2006/06/21 10:47
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