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PS3のブロードバンド機能をチェック(前編)

プレイステーション 3(60GBモデル)
 11月11日、ソニー・コンピュータエンタテインメントが「エンターテイメントコンピューター」と位置付けているプレイステーション 3(PS3)がついに発売された。

 Blu-RayやHDDの標準搭載といったゲーム以外の機能に加え、ネットワーク機能の充実も特徴の1つ。標準で10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-Tのギガイーサネットを搭載するほか、HDD容量が60GBの上位モデルでは、IEEE 802.11b/gの無線LAN機能も標準搭載。オンライン対応ゲームやコンテンツダウンロード、ブラウザといったネット対応機能が用意されている。

今回は無線LANを標準搭載した60GBモデルで、ネットワーク関連機能をレポート。前編ではネットワーク設定やブラウザ機能を中心に、後編では「PLAYSTATION Network」といったネットワーク機能やオンライン対応ゲームソフトなどを中心に紹介する。なお、Blu-Rayを中心としたAV機能に関しては、AV Watchのレビューを参照して欲しい。


プレイステーション 3 横置き時

60GBモデルではスマートメディアリーダーを搭載。リーダー下部にはUSB×4ポート タッチセンサー式の電源とディスク取り出しボタン。触れるだけで動作する

本体背面 本体底面開発機では無かった「HDD」の表記が付けられた。HDDの換装方法もマニュアルで紹介されている

電源はコントローラから操作可能

初回起動時にはコントローラの接続が必要
 初めにPS3の初回設定を見てみよう。PS3に初めて電源を投入する場合、コントローラと本体をUSBで接続し、コントローラの「プレイステーションボタン(PSボタン)」を押してコントローラのペアリングを実施。続けて表示言語や日時設定、ログインに利用するユーザー名などを設定すればPS3が利用可能になる。

 PS3の電源を一度切って再投入した場合、ワイヤレスコントローラは初期状態で利用できなくなっているが、一度USB経由でペアリングを行なったコントローラであれば、PSボタンを押すだけでワイヤレス状態でもコントローラが利用可能になる。電源は前面だけでなく背面でオフにした場合でもペアリングは持続されており、PSボタンからコントローラを認識できる。

 なお、現行機のPS2では本体前面の電源ボタンを押すとリセットがかかり、長押しすると電源が切れる仕様だったが、PS3では前面の電源ボタンにリセット機能はなく、長押しで電源を切れるのみ。ゲーム中にゲームを終了したい場合などは、コントローラのPSボタンを押して「ゲーム終了」を選択する。本体の電源オフや電源オンもPSボタンから可能で、PSボタンで電源をオンにした場合はコントローラのペアリングも同時に行なわれる。


コントローラと同梱品。AVケーブルはコンポジットが標準添付されており、HDMIケーブルは別売オプション コントローラはUSB経由で充電。ただしPS3が電源オフの場合は充電されない

無線LANモデルはAOSSやらくらく無線スタートに対応

PS3のネットワーク設定機能
 インターネットへの接続設定は「設定」の「ネットワーク設定」から行なう。家庭内にルータが設置済みであり、標準搭載している有線LANで接続する場合であれば、イーサネットケーブルを本体に接続、「かんたん」設定を選択すればほぼ自動で設定が終了する。また、ルータではなくADSLモデムなどに直接接続する場合等向けに、標準でPPPoEによる接続機能も用意されている。

 60GBモデルのみ標準搭載する無線LANを設定する場合は、周囲のSSIDを検索できるほか、バッファローの「AOSS」、NECアクセステクニカの「らくらく無線スタート」といった無線LANの設定支援システムにも対応。PS3のコントローラと無線LANルータやアクセスポイントのボタン操作のみで無線LANを設定できる。もちろん、SSIDやWEPキーなどを手動で入力することも可能だ。

 なお、ネットワーク設定が終了しただけでは、PS3のネットワーク機能をすべて利用できない。コンテンツのダウンロードが可能な「PLAYSTATION Store」、他ユーザーのフレンド登録などが可能な「PLAYSTATION Network」といった機能は、本体発売日である11月11日に公開されたファームウェア「1.10」へのアップデートが必要だ。また、ブラウザはアップデートしない状態でも利用できるものの、アップデートすることで動作速度の向上や機能追加が図られる。

 本体アップデートは、PS3からネットワーク経由で直接行なうほか、PCでダウンロードしたファームウェアをメモリーカードなどにインストールし、PS3に接続して実行する方法の2種類が用意されている。ダウンロードしたファイルの実行は約5分程度で終了し、再起動すれば1.10の状態でPS3が利用可能になる。


60GBモデルは有線LANと無線LANに対応 無線LANはAOSSとらくらく無線スタートに対応

ネットワーク機能の利用にはアップデートが必要 システムアップデート。約5分程度で完了する

タブ表示に対応したブラウザ。画面サイズの最適化は非対応

初期設定で表示されるPLAYSTATION Networkのオフィシャルサイト
 まずは標準搭載されたブラウザ機能を確認しよう。ブラウザは「ネットワーク」の「インターネットブラウザ」から起動可能。ネットワークの設定が終了していれば、PLAYSTATION Networkのオフィシャルサイトが初期設定で自動表示される。

 ブラウザは十字ボタンでリンクの移動や画面のスクロールが可能。左スティック(L3ボタン)は表示された画面内でカーソルをアナログ操作できる。ショートカット機能も用意されており、スタートボタンでURL入力画面、セレクトボタンでブックマーク画面が表示できる。USBのマウスやキーボードにも対応しているため、文字入力などの操作も簡単だ。なお、標準で搭載している予測変換機能は、キーボード入力では利用できない。

 最大6枚までのタブブラウザ表示に対応しており、開いたブラウザはR2/L2ボタンで移動できる。また、L3ボタンを押せば開いたタブの一覧表示も可能だ。

 基本的な操作感覚はPSPで搭載されている「NetFront」と同様だが、HTMLタグの解釈などが異なっており、PS3のオリジナルブラウザと推測される。User Agentは「Mozilla/5.0 (PLAYSTATION 3; 1.00)」で、1.10にアップデートした場合もUAは変更されていない。

 ブラウザは文字サイズの変更や最大化などが可能だが、画面サイズに合わせてブラウザの表示を変更する機能は搭載されていない。そのため、同梱のコンポジットケーブルで接続でVGA(640×480ピクセル)表示した場合、Webサイトの幅が画面に収まりきらないケースもあった。HDMIなどを利用してHD対応TVで出力する場合は問題ないものの、できれば標準添付のコンポジットでも十分に閲覧できるような機能拡充を期待したい。


Broadband Watchを表示。コンポジット出力では画面からはみ出してしまう タブブラウザに対応

コントローラのショートカット機能 文字入力画面

FlashやYouTube表示も可能。スループットは低めの結果が

gooスピードテスト」でスループットを計測
 PS3のスループットは有線LANと無線LANでそれぞれ計測。スピード計測サイトにはgooの「gooスピードテスト」を利用し、有線LANと無線LANでそれぞれ5回計測、平均値を出した。ルータにはNECアクセステクニカの「Aterm WR7850S」を利用し、回線は上下とも100Mbpsを占有する「Bフレッツ ベーシックタイプ」を利用している。

 有線LAN利用時のスループットは平均で約37Mbps程度で、最大で49Mbps、最低で30Mbpsと計測ごとばらつきが多かった。また、無線LANはIEEE 802。11gで接続しているが、こちらは平均で約5Mbpsと低めの測定結果が記録できた。無線LANでLAN配線を気にせず設置できるメリットはあるが、通信速度のことを考えると有線LAN接続のほうが良さそうだ。

 ブラウザ表示はFlash表示が可能で、YouTubeの動画も再生可能。Javascriptには対応しているが、Google CalendarなどAjaxを実装したサイトは表示できなかった。また、ブラウザの設定が米国になっているため、Gmailにアクセスした場合は日本語ではなく英語で表示される。ポップアップ表示に対応していないため、MSN Web Messengerも利用できなかった。

 Webサイトのコンテンツをダウンロードすることも可能で、保存したい画像やファイルにカーソルを合わせ、△ボタンを押して「メニュー」から保存できる。メモリーカードやUSB接続したPSPへのダウンロードも可能で、その際はメモリーカードやPSPのフォルダを指定して保存できる。ただし、コンテンツをダウンロードしている最中は、ブラウザ操作など他の操作ができなくなる。

 AACやWAVE、MP3など、さまざまな楽曲ファイルの再生に対応しているPS3だが、ATRAC形式の音楽配信サービス「Mora」では、ブラウザが非対応のために楽曲を購入できなかった。また、WMA形式の音楽配信サービス「OnGen」でも、楽曲をカートに入れることはできるが、楽曲購入ボタンが表示されないため購入できなかった。

【お詫びと訂正】
 初出時、WMAの再生に対応していると記述しておりましたが、PS3の発売時点ではWMAには対応しておりません。WMAの再生は2007年3月22日に公開されたファームウェア「1.60」で対応しています。お詫びして訂正いたします。


有線LANのスループット 無線LANのスループット。IEEE802.11gとしては低めの数値

YouTubeは動画再生も可能 Google Calendarは非対応

Gmailも完全表示はできず、英語で表示される ポップアップ非対応のためMSN Web Messengerも非対応

ブラウザの「閲覧」以上の機能拡充に期待

 以上、ネットワークの接続方法やブラウザの動作について見てきた。接続設定に関しては有線LANはケーブルを接続するだけでほぼ設定が終了し、無線LANに関してもAOSSやらくらく無線スタートなどの支援機能を搭載。キーボード非対応のPSPと異なり、マウスやキーボードも利用できるため、PCと同等かそれよりも簡単に設定できると感じた。

 一方、ブラウザに関してはWebブラウザの表示には十分なものの、PCと比べるとやや動作にもたつきを感じる。また、標準添付のコンポジットケーブルでPCサイトを閲覧するには表示サイズが小さいため、PSPの「ジャストフィット」「スマートフィット」のような表示サイズの変更機能も欲しいところだ。

 ただし、ネットワーク機能を標準搭載するPS3では、オンラインアップデートによる機能拡充が可能だ。PSPもアップデートにより、ブラウザやPodcasting、動画配信サービスへの対応など着実に機能を向上してきた。PS3も発売当初からネットワークアップデートが行なわれているだけに、今後もネットワークによる機能向上が期待されるところだ。

 前編ではネットワーク設定やブラウザ機能を中心にお伝えした。後編では「PLAYSTATION Network」を初めとするネットワーク対応機能や、オンライン対応ゲームなどについてお伝えする。


関連情報

URL
  PlayStation.com
  http://www.jp.playstation.com/

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(甲斐祐樹)
2006/11/11 17:54
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