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【短期集中連載】一家に1台! NASで変わる家庭内のデータ保管術
第2回:DLNAやiTunes連携など、NASの便利な機能を使いこなそう

 NASのメリットはデータを手軽に保管できるだけではありません。保管したデータを家電製品などからも活用すれば、家中のさまざまな機器で写真や音楽、映像などのデジタルメディアを楽しめます。





家電とも連携できるNAS

 前回はNASで家族のデータを共有しておき、それぞれのPCからアクセスする方法をご紹介しましたが、NASのデータを見ることができるのはPCだけではありません。最近の製品では、テレビでNASに保存した写真や動画を見ることもできるのです。

 これは、「DLNA」と呼ばれる機能に対応した周辺機器や家電製品を利用することで実現できる仕組みです。具体的には、「ネットワークメディアプレーヤー」と呼ばれる機器を家庭用のテレビに接続し、ネットワーク経由でパソコンに保存されている写真を参照すると、その写真をテレビに映すことができます。

 上記の説明では、ネットワークメディアプレーヤーが参照するデータの保存先としてパソコンを例に挙げました。しかし、実際に利用するときのことを思い浮かべてください。パソコンのデータを参照するには、当たり前のことですがパソコンが起動している必要があります。つまり、リモコンでササッと操作するまえに、「ちょっと待ってね」などと言って、パソコンを起動しに行かなければならないのです。パソコンが複数台ある場合、いろいろなパソコンの電源を入れなければならないかもしれません。

 では、どうすれば便利か? そこでNASの登場というわけです。


DLNAなどで家電と連携する場合、パソコンはわざわざ起動する必要があるが、NASならすぐに利用でき、データも集約されている




メディアの共有もNASにおまかせ

 前回紹介したように、NASは文書だけでなく写真や映像、音楽などのメディアデータを保存するのに適しています。データをNASに集約しておくことで、複数台のパソコンから手軽に参照できるからです。

 前述した例は、このデータの共有を家電製品にまで広げた話です。保存したデータをパソコンから参照できるようにするだけでなく、ネットワークメディアプレーヤーや家電製品などからも参照できるようにすることで、NASに保管されたデータをさまざまな機器から手軽にアクセスできるようになるのです。

 もちろん、家電製品はパソコンとは違いますので、共有フォルダにアクセスするといった使い方はできません。そこで利用されるのが「DLNA」なのです。

 DLNAは、家庭内のパソコンや家電製品をつないだネットワークでメディアを効率的に共有するために定められた規格です。家電製品はさまざまなメーカーによって作られていますので、それぞれのメーカーが異なる方式を使うと、相互接続ができません。そこで映像や音楽、写真などのメディアをどのようにネットワーク上に公開するか、どうやってほかの機器に転送するか、どうやって再生するかといった統一された方式が定めらているのです。


バッファローのネットワークプレーヤー「LinkTheater」 アイ・オー・データ機器のネットワークプレーヤー「AVeL LinkPlayer」

 話をNASに戻しましょう。最近のNASは多くの製品がこのDLNAに対応しています。つまり、DLNAに対応したNASに写真や映像、音楽を保存しておけば(正確にはDLNAでの公開設定をしたフォルダに保存しておけば)、そのデータを同じくDLNAに対応したネットワークメディアプレーヤーやテレビなどから参照し、手軽に再生できるようになります。


DLNA対応のNASを利用すれば、NASに保存された写真や映像、音楽などをネットワーク経由で家庭用のテレビなどで楽しめる

DLNAやiTunesサーバー機能を搭載したアイ・オー・データ機器のLANDISK Home HDL4-G1.0

 NASはパソコンと違って基本的に常に電源ONの状態で運用します。また、映像や写真、音楽などのデータが集中して保管されていますので、参照先としてパソコンを使うような面倒を避けられるというわけです。





iTunes対応なら音楽も家庭内ネット配信可能

 そうは言っても、ウチにはDLNA対応のネットワークメディアプレーヤーやテレビなんてない……。そんな人にはiTunesサーバー機能はどうでしょうか?

 iTunesはもはや説明するまでもないかもしれませんが、アップルの音楽配信サービスを利用したり、iPodとの連携に必要なソフトウェアです。このiTunesには家庭内ネットワーク向けの機能も搭載されていて、他のパソコン上で起動しているiTunesとの間で音楽を共有する機能が搭載されています。

 この共有機能をNAS上で実現するのがiTunesサーバー機能です。DLNAのときと同様に、iTunesサーバーの設定がなされた共有フォルダに音楽ファイルを保存しておきます。するとパソコン側で起動したiTunes上にNASが表示され、そこに保存されている音楽ファイルを再生できるようになるというわけです。

 NAS上の音楽データをiPodに同期させるには、iTunesにフォルダを追加しておく必要がありますが、再生だけならNASの音楽を選択するだけと非常に手軽です。


iTunesサーバー搭載NASを利用すると、NASに保存した音楽ファイルをネットワーク経由で再生できる

iTunesにネットワーク上のNASが自動的に表示される。NASを指定すれば音楽を再生することが可能

 この機能を利用すれば、パソコン上に音楽データを保存しなくても済みますので、数百、数千枚分のCDのデータがあるなどという場合でも、パソコンのハードディスク容量を消費せずに済みます。また、NASに保存した音楽データは他のパソコンからも参照できますので、家庭内のCDをすべてNASに保管しておけば、どのパソコンからでも同じ音楽を楽しめるジュークボックス的な使い方もできます。

 もちろん、家族で音楽の趣味が合わない場合は個別に利用した方が良いかもしれませんが、共通の趣味の音楽はNASに、個人的な趣味の音楽はパソコンにと、使い分けることもできますので、活用してみると良いでしょう。





テレビ番組の録画にも使えるNAS

 このようにDLNAやiTunesサーバー対応NASを使うと、すでに保存されたメディアデータをパソコンや家電で共有できますが、製品によってはユーザーがメディアデータを保存する操作すら必要ない場合もあります。

 たとえば、バッファロー製のNAS製品の一部は「Link de 録!!」という機能に対応しています。これは、NASのUSBポートに別売のテレビキャプチャユニットを接続することにより、NASをHDDレコーダ代わりに使ってしまおうという機能です。

 パソコンから専用ソフトを使って録画したい番組を指定しておくと、テレビキャプチャユニットを使ってテレビ番組を受信し、そのデータがNASの指定したフォルダに自動的に保存されます。


バッファロー製のNASでは「Link de 録画!!」という機能に対応。USB接続のテレビキャプチャユニットを接続することにより、NASの共有フォルダにテレビ番組を直接録画できる


 保存された番組は、パソコンから専用ソフトを利用して視聴することもできますが、番組データの保存先をDLNA公開設定したフォルダにしておけば、ネットワークメディアプレーヤーやテレビなどから参照できます。アナログ放送にしか対応していませんが、指定したテレビ番組がどんどん自動的にNASに溜まっていくので、ライブラリとしても便利です。

 一方、家庭用テレビと連携してテレビ番組を録画できる製品もあります。たとえば、アイ・オー・データ機器のNAS製品の中には、東芝製の液晶テレビREGZAシリーズのネットワークハイビジョン録画機能に対応している製品があり、テレビ側で番組の録画先にNASを指定すると、その番組をハイビジョン画質のままNASに保存することができ、あとからネットワーク経由で再生できます。


NASに番組を録画できる東芝の「REGZA」

 テレビの録画にはDVD&HDDレコーダを使うというのが一般的ですが、低価格で大容量のNASを使うメリットも大きいでしょう。テレビ録画、再生用としてNASを活用することも検討してみることをお勧めします。

 ただし、このようにNASに大切なデータが集中してくると、データの安全性にも配慮しなくてはならなくなります。次回は、この安全性について解説します。


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(清水理史)
2007/05/24 10:55
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