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「プレイステーション 3」がサポートしたDLNAクライアント機能をチェック

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEJ)は、5月24日にゲーム機「プレイステーション 3」向けの新ファームウェア「1.80」を公開した。1.80ではネットワーク機能が大幅に強化されており、今回は新たに搭載されたDLNAクライアント機能の使用感をレポートする。





LAN経由でPCなどに保存したコンテンツが再生可能に

「1.80」でDLNAクライアントやインターネット経由でのリモートプレイをサポート
 DLNAは、動画や音声、画像ファイルなどをネットワーク経由でやり取りするためのガイドライン。DLNAに対応したパソコンやデジタルテレビであれば、自分の部屋にあるパソコンに保存した映像を、リビングにあるデジタルテレビなどで再生する、といった利用が可能になる。

 DLNA対応機器は、コンテンツを蓄えるサーバー、再生を行なうクライアントの2つで構成される。サーバー機器としては、LAN接続HDDやHDDレコーダ、デジタルカメラなどがあり、クライアント機器としては今回のPS3に加え、デジタルテレビ、ネットワークプレーヤーなどが挙げられる。また、パソコンでも対応ソフトウェアのインストールによってDLNAの利用が可能になるほか、Windows Vista/XPではWindows Media Plyaer 11を介して、保存したファイルの共有も可能になっている。

 なお、「1.80」では、DLNAのサポート以外にもPS3の画面をPSP上で表示できる「リモートプレイ」の機能強化が行なわれており、新たにインターネット経由での接続をサポートした。ただし、インターネットからの利用には、5月末に公開を予定するPSP向けファームウェア「3.50」を適用する必要があるため、現時点では利用できない。





DLNAサーバー機器を自動で検索。PS3内のコンテンツと同感覚で操作が可能

検出されたDLNAサーバーはムービー/ミュージック/フォトメニュー上に表示される
 PS3に「1.80」を適用すると、再起動後に設定メニューの「ネットワーク設定」内に「メディアサーバー接続」という項目が追加される。同項目は標準で有効化されており、LAN内にあるDLNAサーバー機器を自動で検出する。同項目を無効にすると、DLNAクライアント機能がオフになる。

 メディアサーバー接続が有効の場合、ムービー/ミュージック/フォトの各メニューに「メディアサーバー検索」項目と自動検出されたDLNAサーバー名が、PS3内に保存したファイルと合わせて表示される。メディアサーバー検索は、LAN内にあるDLNAサーバーを再検索する機能だ。なお、今回使用した範囲では、検索結果画面が表示されるまで1分から数分程度の時間を要する場合もあった。

 ムービー/ミュージック/フォトの各メニューからDLNAサーバーを選択すると、ビデオ/音楽/画像と再生リストフォルダが表示。これらフォルダを選択していくと、各メニューに応じたファイルがサムネイル画像とともに表示される。PS3上で再生できないファイルに関しては、サムネイル部分に「非対応データ」と表示される。


同機能は標準で有効化されるため、無効にしたい場合は設定メニューから変更する必要がある 設定を無効にした状態。DLNA関連の表示がなくなった

DLNAサーバーを選択すると階層が多段になっていることがわかる
 各ファイルは、コントローラの○ボタンから再生が可能。また、△ボタンを押すと画面右側にサイドメニューが現われ、再生とコピー、ファイル情報項目を選択できる。コピーを選択した場合、コンテンツはPS3のHDD内に保存される。このほか、動画ファイルでは「始めから再生」項目が、画像ファイルでは「スライドショー」「選択コピー」項目も選択できる。

 PS3のDLNAクライアント機能を介して再生できるフォーマットは、DLNAが必須項目と指定しているJPEG(画像)、L-PCM(音声)、MPEG-2(映像)の3種類。それ以外のフォーマットの再生可否については、「PS3がサポートするフォーマット(下記表参照)であれば、再生できると思われる」(SCEJ)という。ただ、DLNAサーバー側で対応するフォーマット、さらにネットワークの状況によって再生できない場合もあるため、「再生を保証するわけではない」としている。

 また、著作権保護技術「DTCP-IP」には対応されておらず、デジタル放送など著作権保護されたコンテンツの再生はサポートしない。将来的な対応に関しても、現時点では未定という。


ファイルはサムネイル表示にも対応する ファイルの詳細情報を表示したところ

ネットワーク経由のファイルコピーも可能だった コピーしたファイルはPS3内のフォルダに分類される
・PS3がサポートするフォーマット
映像 MPEG-1
MPEG-2(PS,TS)
H.264/MPEG-4 AVC
MPEG-4 SP

*以下は1.60以降で対応
Motion JPEG(Linear PCM)
Motion JPEG(μ-Law)
AVCHD(.m2ts)
音声 ATRAC(.oma .mas .aa3)
AAC(.3gp .mp4)
MP3(.mp3)
WAVE(.wav)

*以下は1.60以降で対応
WMA(.wma)
画像 JPEG
GIF
PNG
TIFF
BMP





DLNA認知・普及の起爆剤になるか。継続的な機能向上にも期待

DTCP-IPやDLNAに対応するBlu-rayレコーダ「BDZ-V9」
 DLNAに対応した機器は、2005年から徐々に登場していたが、必ずしも一般的に知られているものとは言い難い。しかしながら、PS3がDLNAに対応したことで、広く認知されるきっかけになる可能性がある。

 また、ソニーグループではDLNAへの対応に積極的な姿勢で知られている。デジタルテレビやHDDレコーダなどに加え、2007年には無線LAN機能を持ったオーディオ機器「Wi-Fi Audio VGF-WA1」やデジタルカメラ「DSC-G1」を発売し、ユーザーにネットワーク機能の利用シーン拡大を図っている。

 PS3で非対応に留まったDTCP-IPに関しても、HDDレコーダやネットワークプレーヤーの一部製品で対応済み。PS3における対応は現時点で不明だが、DTCP-IPに対応することで、HDDレコーダに録画したデジタル放送のネットワーク再生も可能になる。一方、PS3向けにはHD映像のダウンロードサービスも提供されている。今回のDLNAクライアント機能を新たな一歩として、DLNAサーバー機能への対応など、PS3のさらなるネットワーク機能の強化を期待したいところだ。


関連情報

URL
  PlayStation.com
  http://www.jp.playstation.com/
  PS3 システムソフトウェア アップデート
  http://www.jp.playstation.com/ps3/update/

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(村松健至)
2007/05/24 18:19
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