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SCEJに聞くPS3向け映像配信サービスの現状と今後の展開

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)は、「プレイステーション 3」(PS3)向けの映像配信サービスを9月24日に開始した。購入した動画をPSP(プレイステーション・ポータブル)に転送できる機能や、新作アニメ「亡念のザムド」の独占配信など、他にはない特徴を備えた映像配信サービスとなっている。サービスのコンセプトについて、SCEJ ネットワークビジネス&サービス部 PSN企画・運用課の田井野賢課長に伺った。





「ゲームとの親和性」「オリジナリティ」「ハイクオリティ」がコンセプト

PS3独占配信の「亡念のザムド」
――本日はよろしくお願いします。初めに、PS3の映像配信サービスの狙いについて教えてください。

田井野:PS3をお持ちのユーザーにPS3を最大限楽しんでいただく。そのためにゲームを楽しんでいる方々にとって親和性の高いコンテンツをラインナップしていくことを重要視しています。

 オリジナリティとハイクオリティも大事なポイントです。現在配信している「亡念のザムド」に代表されるような、独占性の高いオリジナルの作品をハイクオリティで提供していく。これら「ゲームユーザーとの親和性」「オリジナリティ」「ハイクオリティ」が、PS3の映像配信サービスにおけるコンセプトです。

――独占タイトルである「亡念のザムド」の反響は。

田井野:具体的な数字は明らかにできませんが、配信は非常に好調です。作品としてもNo.1タイトルですし、単話別でも1位、2位をザムドが独占している状態です。ザムド以外では最近までテレビで放映していたこともあってか、「マクロスF(フロンティア)」が人気ですね。

――開始当初の配信作品はアニメのみですが、ラインナップ拡充の予定は。

田井野:ゲームユーザーとの親和性の高さという方針から開始当初はアニメになりましたが、アニメ以外のコンテンツも適宜配信したいと考えています。「亡念のザムド」の配信開始日決定リリース時にはテレビ朝日様、TBS様、日本テレビ様などの名前も公表しておりますし、コンテンツは随時強化していきます。

 具体的には、2008年末までにもう1度新作を投入する予定です。「亡念のザムド」のような完全新作ではありませんが、アニメ作品を中心に作品を追加する予定です。

――「亡念のザムド」のような完全新作の予定は。

田井野:具体的な予定はありませんが、オリジナルの作品はぜひ投入したいと思いますので、そうした機会があれば是非提供したいですね。

――「亡念のザムド」はPS3独占配信とのことでしたが、Blu-ray Discでの販売予定は。

田井野:いまのところは予定されておりません。

――「亡念のザムド」はフルHDの1080Pではなく720Pでの配信でしたが、この理由は。

田井野:システム側の対応状況や制作コストなどを総合的に勘案して、720Pで提供することになりました。

――「亡念のザムド」以外の作品の更新タイミングは。

田井野:隔週ペースで数話ずつ追加する予定です。ザムドは当面毎週2話ずつ更新していきます。全話を一挙に配信することが難しいのは、作品のエンコードに時間がかかるという理由ですが、今後は隔週ペースで拡充していきます。





パック料金など料金体系も拡充予定。レンタル以外の販売方式も

PSP向けに動画配信サービスを提供していたSo-netの「Portable TV」
――配信されているテレビアニメ作品は、PC向けのバンダイチャンネル様が105円なのに対してPS3では200円と高く設定されていますが、この理由は。

田井野:SCEJのサービスは、PS3と接続した大画面TVで視聴できるだけでなく、PSPにも転送して楽しめるのが大きな特徴です。PCベースのサービスとは内容が異なりますので、自社のサービスに見合った価格を検討しました。結果的には、STB型のテレビ向け映像配信サービス等と同レベルの価格設定になりました。

 ただし、今後はパック販売などを開始することで料金的なメリットも出していきたいと思います。パック料金はPCなど他のプラットフォームでは他の事業者さんがやっていらっしゃいますし、ユーザーにリーズナブルな価格で提供することが我々の使命なので、そこは努力していきたいと思います。

――以前にSo-netが同様の「Portable TV」というサービスを展開していましたが、技術的な仕組みなどで共通点はあるのでしょうか。

田井野:Portable TVとバックエンドの仕組みは異なります。サービスの関連性という意味でも特に共通点はありません。

――PSPで視聴する場合はPS3からムーブすることになりますが、購入者としてはPS3でもPSPでも視聴したいという思いがあると思いますが。

田井野:ユーザーの皆様からのご要望を伺いながら、より良いサービスを検討していきたいと思います。

――ムーブ形式を採用した理由は。

田井野:コンテンツホルダーにも配慮し、ムーブ形式でサービスを開始することになりました。

――視聴期限が3日というのはレンタルビデオなどと比べて短く感じます。

田井野:ネットワークを使っていつでも好きな時にダウンロードすることができる、また作品を購入してから30日間、視聴を開始することができる点を考慮し、視聴期限を設定しました。ユーザーの皆様の反応を見ながら最適な視聴期限を引き続き検討しいきたいと思います。

――レンタル形式ではなく無期限に視聴できる販売形式の提供予定は。

田井野:コンテンツホルダーと話し合いながら販売形式を決めています。米国向けのビデオ配信サービスでは、無期限コンテンツのダウンロード販売を既に開始しています。システムとしては対応可能ですので、ユーザーの皆様のご要望を伺いながら、コンテンツホルダーと一緒に売り切りモデルも考えていきたいですね。





PC経由でのPSP向け配信サービスも提供予定

SCEJ ネットワークビジネス&サービス部 PSN企画・運用課の田井野賢課長
――ハイクオリティが特徴とのことですが、HDコンテンツの拡充予定は。現状ではHD画質のコンテンツは「亡念のザムド」のみですが。

田井野:さまざまな要因によりまだ用意できにくい状況ではありますが、引き続き対応できるよう 努力しています。

――「亡念のザムド」はHD版とSD版がありますが、PS3でもPSPでも視聴したいユーザーはまったく同じ作品を2つ購入する必要があります。

 SDとHDをパック販売するような形でリーズナブルに提供できればと考えています。HDを購入すればSDでも視聴できるようにするためには特別な対応が必要になりますので、即実施というわけにはいきませんが、ユーザー様の視点でサービス内容を柔軟に検討していきたいですね。「PS3でもPSPでも見たい」という気持ちはあると思いますので、我々の努力でどこまで実現できるかにかかっていると思います。

――PSPでの直接購入への対応予定は。

田井野:もちろんPSPからも直接購入できるようになればとは考えています。2009年中の対応を予定しています。

――PCを通じたPSP向けの映像配信も予定されていますが、具体的な時期は。

田井野:10月下旬に予定されているPC向けPlayStation Storeのリニューアルに伴い、PC経由でもダウンロードが可能になる予定です。

――ありがとうございました。


関連情報

URL
  PLAYSTATION Store ビデオ詳細
  http://www.jp.playstation.com/ps3/psn/video_store.html

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(甲斐祐樹)
2008/10/17 11:22
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