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アバターや新UIを採用した「NEW XBOX EXPERIENCE」をチェック

 マイクロソフトは、家庭用ゲーム機「Xbox 360」のシステムアップデートを11月19日に実施した。「NEW XBOX EXPERIENCE」(NXE)と名付けられたこのアップデートでは、デザインの変更やアバター、複数ボイスチャットなど大幅に機能が強化されている。NXEへアップデート、その使用感をレポートする。





アップデートは数分程度。新たにアバターが作成可能に

アバター作成画面
 NXEが公開された11月19日以降、Xbox 360でXbox Liveに接続するとNXEへのアップデートを促す画面が表示される。アップデート時間はサーバーやインターネット接続環境次第だが、早ければダウンロードとインストールを含め数分程度で終了する。

 アップデートが終了すると、NXEの大きな特徴であるアバターの作成画面に移行する。アバターはあらかじめ用意されているパーツを組み合わせて自分専用にカスタマイズしていく方式。パーツの大きさなどを細かく調整する機能は備えていないが、カスタマイズ用のパーツは非常に豊富に用意されている。

 作成するアバターは体に対して頭が大きい3.5頭身程度にデフォルメされており、印象としてはWiiのキャラクター「Mii」に近い。一方、Miiはカスタマイズできるのが顔だけなのに対し、NXEは顔のカスタマイズも充実しているだけでなく、服装のカスタマイズも可能。カスタマイズが充実しているPS3 向けの3Dコミュニティサービス「PlayStation Home」とMiiの中間的な存在に感じた。

 作成したアバターは、プロフィールのゲーマーアイコンに設定が可能。アイコンは全Xbox Liveユーザーに公開できるアイコンと、フレンド登録したユーザー専用アイコンの2種類を別々に設定できる。なお、アバターを作成できるのは1つのアカウントごと1つのみで、複数のアバターを切り替えて利用することはできないようだが、アバターの服装は複数登録し、設定画面から切り替えられる。


髪型や目、鼻、口などパーツは豊富 複数のファッションを「オシャレ」として使い分けられる

作成したアバターはゲーマー アイコンに設定できる プロフィール画面




デザインは縦横表示のインターフェイスに一新

デザインを一新したダッシュボード
 アバター作成が終了すると、NXEの新インターフェイスが表示される。デザインは従来と比較して大幅に一新。これまでのインターフェイスは横への画面移動が基本だったのに対し、NXEでは縦にカテゴリを移動し、横に移動することでカテゴリごとの項目を表示する。縦横の方向やデザインは異なるものの、操作感としてはPS3やソニーの家電製品に搭載されている「XMB」(クロスメディアバー)」に近い印象を受けた。
 
 カテゴリは、ゲームやアバター、音楽や動画などを集約した「Xbox 360」に加え、コンテンツ配信サービスの「マーケットプレース」がゲームとビデオの2つに分割。さらにフレンドを管理する機能が1つのカテゴリとして独立した。

 フレンドでは他のユーザーが作成したアバターの全身が表示されるようになり、従来のゲーマーアイコンよりも視認性が向上。他ユーザーがプレイ中のゲームについても、アバターの横にソフトのパッケージデザインで表示するなど、よりグラフィカルになっている。

 2つに分類されたマーケットプレースだが、内容は以前と大きな変化はなく、ゲームでは体験版やXbox Live アーケード、Xbox クラシックス、ゲーマーアイコンなどがダウンロード可能。一方のビデオはゲームのデモ映像などが中心で、海外のような映画コンテンツの配信は行われていない。どちらもトップカテゴリで新作のゲーム情報などが表示されるようになり、マーケットプレースに接続しなくてもダッシュバード内で新着情報をより多く確認できるようになっている。


マーケットプレースはゲームとビデオに分割 フレンド画面。アバターを設定していない場合は黒く表示される

新機能などを紹介する「インサイド Xbox」
このほか、Xbox 360の最新情報を配信する「インサイドXbox」、NXEの使い方や機能などを紹介する「はじめに」カテゴリが用意されており、カテゴリは全部で6つ。なお、「はじめに」に関しては設定で非表示にすることもできる。
 
 従来のXbox 360は「Xbox Live」「ゲーム」「メディア」「システム」という4種類のカテゴリ分類だったが、Xbox Liveへの接続は「Xbox 360」内にある自分のプロフィールから行うようになり、メディアやシステムも「Xbox 360」に集約された。Xbox Liveは1つの機能というよりもXbox 360の多くの機能に関わるプラットフォームという存在であ、カテゴリとして独立した存在とするよりこちらのほうがわかりやすいかもしれない。

 以前の画面と比べて両脇のタブが無くなったため、横に画面が大きくなって視認性は高まった。レスポンスも快適で画面の切り替わりも非常に高速。一方で画面デザインが大幅に変更されたため、既存ユーザーはどこにどの機能があるかを理解するまでにとまどうかもしれない。なお、Xboxガイドボタンで表示されるメニュー画面は横にタブを移動する形式で、項目も「マーケットプレース」「ゲーム」「メディア」「設定」の4つが用意されるなど、従来のダッシュボードインターフェイスに近いデザインとなっている。


旧デザインのXboxダッシュボード Xboxガイドボタンで表示されるメニューは旧ダッシュボードデザインを踏襲




複数でボイスチャットできる「パーティー」機能

複数ユーザーでグループボイスチャットが可能な「Xbox Live パーティー」
 機能面での大きな変更は、最大8人までフレンドが参加できる「XBOX LIVE パーティー」機能だ。これまでのフレンド機能は1対1でのやり取りが基本だったが、パーティー機能を利用することで複数の友達で集まってからオンラインゲームを一緒にプレイする、という流れが可能になった。ボイスチャットも最大8人まで可能なため、友人と話しながらプレイするゲームを決めるという流れが簡単に行える。

 パーティーはXboxガイドボタンのメニューから作成できるほか、フレンドを指定してから作成することも可能。すでに他のユーザーが作成したパーティーであればYボタンを押すだけで手軽に参加できる。ただし、パーティー機能は有料会員であるゴールド メンバーシップが必要となり、無料会員のシルバー メンバーシップでは招待、参加ともに利用できない。

 パーティー用の機能として、パーティー間で写真を共有できる「Xbox LIVE Photo Party」もマーケットプレースから無料でダウンロードできる。Windows Live メッセンジャーのフォト共有に似た機能で、USBメモリやデジタルカメラ、Windows Media Centerの写真を登録してパーティー間で見せ合うことができる。ボイスチャットしながら旅行や飲み会の写真をお互いに見せ合うなど、ゲーム以外のコミュニケーションが楽しめそうだ。

 プロフィール用に作成したアバターをゲームで利用することも可能になった。Xbox LIVE アーケードにはアバター対応のゲームカテゴリが用意されており、現時点ではカードゲームの「UNO」「Hardwood Hearts」、街を育てるシミュレーションゲーム「A Kingdom of Keflings」が公開されている。今後もアバター対応ゲームが予定されており、プロフィール以外にも利用できることでアバターの作成意欲も高まるだろう。


フレンドが開催しているパーティーにYボタンで参加できる パーティー参加画面

お互いの写真を共有できる「Photo Party」 グループで共有した動画を互いに操作できる。捜査権限は全ユーザーで平等




ゲームソフトのHDDインストールやPCからのソフト購入も

HDDへゲームソフトをインストールできる
 HDDインストールもNXEで実装された新機能の1つ。これまでも旧Xboxのゲームソフトをダウンロード配信し、HDDにインストールしてプレイできる「Xbox クラシックス」といったサービスは提供されていたが、NXEではXbox 360ソフトをHDDにインストールできるようになった。

 インストールできるソフトはXbox 360ソフトであれば可能で、本体にディスクを挿入し、ディスク画面でYボタンを押すと表示されるメニューからインストールが可能。ゲームの容量にもよるが、ディスク1枚であれば数分程度で終了する。

 起動にはゲームソフトのディスクが必要なためにHDDのみでプレイできるわけではないが、HDDを利用することでゲーム起動時間が見込める。また、DVDの動作音が大きいと言われているXbox 360にとって、ゲームのプレイ中にDVDドライブの回転音がしなくなるという点は大きなメリットだろう。

 PC向けのXboxサイトとも連携し、PCからコンテンツの購入が可能になった。実際のダウンロードはXbox 360で行う必要があるが、ダウンロードするゲームや体験版をあらかじめPCで選んでおき、決済もPC上で行えるのは便利。購入したのちXbox 360を起動、Xbox Liveに接続すると、選択したコンテンツのダウンロードが自動で開始される。


HDDからのゲーム起動が可能に インストールしたソフトもディスクがなければ起動できない

PCからソフトを購入、Xbox 360でダウンロードできる Xbox 360を起動すると自動でダウンロードが始まる




NXEでコミュニケーション機能が大幅に強化

 アップデートによって画面インターフェイスを一新、機能も大幅に拡充したXbox 360。PS3やWiiなどの家庭用ゲーム機も本体のアップデート機能を備えてはいるが、画面のインターフェイスを全く違うものに変えるほどのアップデートは非常に珍しい。

 大幅にデザインが変わったために既存ユーザーは戸惑う可能性もあるが、基本的な機能に変更はないために慣れれば問題はないだろう。動作も軽く、情報の表示領域が大きくなったことで視認性も高まった。アバターやパーティーといったコミュニケーション機能も強化されており、Xbox 360の特徴であるオンライン機能がさらに充実されている。

 特にパーティー機能に関しては、複数人数でのボイスチャットを継続したままゲームを開始したり、途中でゲームを切り替えることができるなどシームレスな利用が可能。友人間でのコミュニケーションを前提とし、そのコミュニケーションの一環としてゲームや写真共有を行えるという点で興味深いアプローチと言える。

 ゲームソフトもマルチプラットフォーム対応が進み、PS3やXbox 360両対応のソフトに加えて「オトメディウスG」などXbox 360オリジナルのタイトルも増えてきた。オンライン機能では他の家庭用ゲーム機と比較しても充実していながらもこれまでは国内で存在感の薄かったXbox 360だが、今回の大幅なバージョンアップで家庭用ゲーム機市場がどのように変化するか注目したい。


関連情報

URL
  New Xbox Experience
  http://www.xbox.com/ja-JP/nxe/

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(甲斐祐樹)
2008/11/27 11:00
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