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無線LAN対応の野球場「Yahoo! BBスタジアム」
~野球観戦で無線LAN接続する意味はあるのか?~

 Yahoo! BBモバイルのエリアが、神戸市須磨区のYahoo! BBスタジアムまで拡大された。「Enjoy Yahoo! BB Day」に合わせ、Yahoo! BBスタジアムに訪れる機会があったので、スタジアムで無線LANが使える意味を検証してみたい。


野球場で無線LANが使える意味はあるのか?

Yahoo! BBスタジアムでは広末涼子出演のTVCMも放映している
 公衆無線LANサービス、いわゆる「ホットスポット」は、インターネット接続をするために立ち寄る喫茶店やファーストフード店をはじめ、時間待ちなどで滞留することが多い駅などで使用できる場所が多かった。

 しかし、インターネット接続をするために喫茶店に入ることはあっても、喫茶店で飲むコーヒーをより楽しむためにインターネット接続をするということは通常では考えられないだろう。

 その考え方に沿えば、Yahoo! BBスタジアムは無線LANをするために球場に立ち寄るということはあり得ないばかりか、野球観戦のため入場料を払って来場しながら、わざわざインターネット接続をする意味があるのかと疑問に思ってしまう。どうやら、スタジアムでの無線LAN接続には、何か違った利用法を見い出さないと有効活用が難しそうだ。





Yahoo! BBスタジアムでは無線LANが有効活用されているのか?

無線LANが使える場所で観戦するとこのようにグラウンドを望める。
 Yahoo! BBスタジアムで無線LANが使えるエリアは、球場全体を見渡せる「スカイレストラン」、1階席のバックネット裏、個室形式で観戦できる「ビスタルーム」となっている。ただし、それ以外にも電波が届いているため、パソコンの無線LANカードの通信性能にもよるが、若干広い範囲で通信が可能だという。

 実際に球場でどのような人が無線LANを活用しているかというと、1階席のバックネット裏には記者席が設けてあり、原稿の送付などに使われているという。新聞社のスポーツ担当記者が書いたニュース原稿や、デジタルカメラで撮った高精細な画像伝送も無線LANを通して本社に送信可能となったのだ。

 しかし、それ以外となると、まだ使えることが浸透していないせいもあり、使用している人も少ないという。パソコンを持ち込んで空き時間に情報検索をしたり、会社を早めに抜け出してナイター観戦に来て、試合開始前や観戦の合間にネットに接続して仕事を片づけるなどの利用法も考えられるが、むしろ、球場にある無線LANアクセスポイントの活用方法を見いだすのはこれからと言える。





観戦をより楽しくする無線LAN搭載パソコン

 そこで筆者が考えたことは、途中経過など、観戦している試合の情報をパソコンで見ようというものだ。野球をスタジアムで観戦したことがあればわかると思うが、野球場に行くと、テレビやラジオのような実況解説がなく、詳しくなければ楽しみにくい。

 双眼鏡がなければ、どんな球筋で投球が行なわれたのかは全くわからず、バットの快音が響いても、何が起こったのかがわかりにくい。


スカイレストランに富士通のLOOX T90Dを持ち込み、グラウンドを望む。このようなスタイルで観戦も可能だ 「Yahoo!スポーツ」では、リアルタイムに試合の様子が表示され、観戦中にデータ集めにも有効

 これを解消するのがパソコンだ。インターネットでは、ほぼリアルタイムに試合の情報を伝えているサイトがある。音声や動画によるライブ中継が行なわれていれば、タイムラグが気になるものの、それを受信しながら観戦ということも可能だ。

 また、他球場の経過を調べることはもちろん、仲間とメッセンジャーソフトを使って、試合情報を織り交ぜながらチャットするということもできそうだ。実際にパソコンを持ち込む機会が増えていけば、もっと楽しめる新たな活用法が発見されるかもしれない。

 しかし、問題もある。プロ野球の試合時間は3時間を超えることが多いのだが、バッテリー駆動で3時間以上、無線LAN接続をしながらWebブラウズに耐えられるパソコンは意外に少ないのだ。

 そこで、今回は標準添付バッテリーで6時間(カタログ掲載値)使用可能な富士通の「Centrino」準拠パソコン「LOOX T90D」を使用した。Centrino準拠のため、無線LANモジュールを搭載し、オプション機器などなしにYahoo! BBモバイルと接続できる。これならば野球観戦に役立ちそうだ。DVDドライブを内蔵しているため、にわか雨などで、試合中断というような場合にも別のエンターテイメントを提供してくれる。





試合は中止になり、観戦はおあずけ

 残念なことに、観戦実験を予定していた8月26日は、あいにく雨で試合が流れてしまった。参照を予定していた「Yahoo!スポーツ」も中止を伝えている。同時に途中経過を楽しもうと予定していた甲子園球場の阪神対巨人の試合も、同じく雨で中止となってしまった。


雨で中止が宣告された8月26日のオリックス対日本ハム戦 試合開始前のイベント中に雨足が強くなった

 ただし、球場内のYahoo! BBモバイルの通信環境は良好であることは確認できた。Yahoo! BB 12MのADSL回線を使った回線は管轄のNTT名谷局から約2.5kmある。Yahoo! BBモバイル用に6回線が独立して引かれており、場所が異なれば、利用者同士の同時通信による速度低下などは起こりにくい。あくまで目安だが、速度計測サイトの「speed.rbbtoday.com」の結果では、下り2.95Mbps、上り698kbpsとなった。これだけの速度が出ていれば、巨大データのアップロードなどを行なわない限り快適な通信ができるだろう。

 また、パソコンの稼働時間についても、事前に行なった実験で「LOOX T90D」は3時間を超えて無線LAN接続+Webブラウズが可能だった。バッテリー容量にも問題はなさそうだ。

 今回、実際の試合を観戦しながら無線LANを活用するということはできなかったが、球場のブロードバンド接続環境としては、まずまずのものが整っていることが確認できた。機会あれば、ぜひ、片手に無線LANパソコン、もう片手にビールのスタイルで野球観戦を楽しんでみたいものである。


関連情報

URL
  Yahoo! BBスタジアム
  http://bbpromo.yahoo.co.jp/promotion/ybbstadium/
  Yahoo!スポーツ
  http://sports.yahoo.co.jp/

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(正田拓也)
2003/08/27 16:04
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