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BBコンテンツの雄「バンダイチャンネル」の戦略 ~ブロードバンドオリジナルの作品が来年にも登場~
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現在、ブロードバンドコンテンツで実績を上げている会社として、バンダイチャンネルがある。言わずとしれたガンダムシリーズを武器に、サービス開始からわずか1年半で確固たる地位を築き上げた。バンダイチャンネルのゼネラルマネージャー、安食孝徳氏にバンダイチャンネルの戦略と強みに関してお話を伺った。
■ バンダイチャンネルは「アダルト以外で最も見られているコンテンツ」
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バンダイチャンネルの安食孝徳ゼネラルマネージャー
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――バンダイチャンネルの経緯をまずお聞かせください
2002年10月にサービスを開始してから2004年3月末までの間で、約480万話のパソコン向け有料動画配信をご利用頂いています。バンダイチャンネルのようなビデオオンデマンドサービスと比較に挙げられるビデオレンタル市場は現在2,400億円と言われていて、そのうち20%をアニメーションが占めています。つまり、バンダイチャンネルが狙うアニメーション市場は480億円の可能性があるという捉え方もできると考えています。
レンタルビデオのアニメーションシェア20%のうち、10%は我々で言えばガンダムのようなDVDが売れるジャンルで、バンダイチャンネルでは現状この市場をターゲットとして作品を配信しています。残りの10%は子供向けのアニメーションですが、この市場はある意味バンダイグループが一番強いところですので、今後STBなどが普及して居間で楽しむ環境が整うといった動向を見ながら、コンテンツの編成を考えていきたいと思います。
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機動戦士ガンダム
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――サービスの中心はブロードバンド配信になるのでしょうか
バンダイチャンネルは「自動公衆送信」でのオンデマンドによる映像配信の事業を担当しています。これは視聴者に対して同時刻に同じ映像を送出する“放送”とは異なり、ユーザーのリクエストに応じて映像を配信するサービスです。現状はパソコン向けのストリーミングという形態でサービスを行なっていますが、今後はダウンロードやデジタルケーブルによるテレビへの映像配信も予定しています。
配信にあたっては、PC系で16社、STBで4社の通信事業者さんや接続業者さんとパートナーシップを組んでいます。基本的には我々とコンテンツパートナー、配信と課金管理を委託している配信パートナーの3社で利益を分け合うことになります。今後はホテルや漫画喫茶、病院、カラオケボックスのようなところでもVODが広まるのではないかと思っています。
これまではサンライズやバンダイビジュアルといったバンダイグループコンテンツが中心でしたが、2月にコンテンツパートナー5社からの出資を受け、そのコンテンツも徐々に加わっています。
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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
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――今、配信されているタイトル数やその価格帯を教えてください
ガンダムを中心に3月末までに76タイトル、1,402話を配信しています。3月からは「イノセンス」という映画が公開されていることもあって、押井守監督特集、ということで「攻殻機動隊」などを配信しています。
バンダイチャンネルのコンテンツの価格はおおよそ1話100円、120分の劇場版で300円ですが、これはレンタルビデオを意識した価格付けです。1話100円という価格設定にすることで“PCによる映像視聴を習慣づけしたいという考えがありました。これからはグループのコンテンツだけでなく、新たにバンダイチャンネルにご出資いただいた会社のコンテンツも充実させることで、来年2月末で140作品2,700話くらい配信できればと思っています。
配信パートナーさんからは、バンダイチャンネルはアダルト以外で最も見られている有料コンテンツだというお話を聞いています。この理由としては、ブロードバンドのユーザー層とガンダム世代が一致したことにあるのでしょう。
また、スピーディーにコンテンツを供給できたことが多くのユーザーの方に視聴頂けた要因かと思います。この部分で大きいのはやはり著作権の問題です。ガンダムの原作はサンライズがすべて保有しているため、処理が非常にスムーズに行きました。
金額や市場の規模はまだまだこれからといった段階ですが、オンデマンドでの映像視聴を増やすバンダイチャンネルの目的以外に、映像を見る環境が広がることでキャラクターの認知度を上げ、その影響でグッズの売り上げを伸ばしていくというのが、バンダイグループ全体の目指すところでもあります。
■ PCと連動したPDA向け動画配信を検討
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おねがい☆ティーチャー
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――バンダイチャンネルの人気コンテンツはやはりガンダムですか?
バンダイチャンネルの開始当初はガンダムの比率が7割か8割でしたが、最近は5割を切っていますね。ただ、これはガンダムが下がったのではなく、ガンダム以外のコンテンツが増えた、という捉え方が正しいでしょう。
ガンダム作品の強みは、売れ行きに浮き沈みがないことですね。一度出すとずっと一定の人気を保ちますから。美少女系、いわゆる「萌え系」といったコンテンツも人気を集めています。「おねがい☆ティーチャー」などはかなりの人気ですね。コンテンツはいい意味で広がりが出てきています。
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機動戦士Zガンダム
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機動戦士ガンダムZZ
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新機動戦記ガンダムW
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機動武闘伝Gガンダム
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――動画を観るプラットフォームとして、ブロードバンドは受け入れられているのでしょうか
現状では、バンダイチャンネルの視聴に利用していただいているのはほとんどがパソコンです。STB経由によるテレビモニタでの視聴はまだ少ないですが、台数の普及とともに今後期待しています。
今後はパソコンもどんどん家電に近づいていくでしょうし、携帯端末もどんどん進化するでしょう。バンダイチャンネルとしてもコンテンツプロバイダーの立場から、全方位的に業界を盛り上げていきたいですね。現在では、とりあえずブロードバンドユーザーに映像を提供できる間口は持てたのかな、とは思っています。
――パソコン以外への配信はいかがでしょうか?
auやドコモのように、携帯電話でのパケット通信が定額という状況になってきて思うのは、そろそろ動画を携帯電話やPDAで見るところまで来たのかな、ということです。ただ、帯域や映像ファイルのサイズなどの問題もあり、現状では直接携帯端末への映像配信は難しいと思っています。
バンダイチャンネルとしては、PCにダウンロードした後、ブリッジメディア経由での携帯端末による映像視聴を検討しております。1話30分のTVアニメーション作品が多い当社としては、携帯やPDAでの視聴は最適なプラットホームの1つと捉えています。
――今後はダウンロード型のサービスも考えていくと?
ダウンロード型のサービスは著作権保護が問題になりますが、行き過ぎはどうかと思っています。たとえば、DVDなら普通に友人同士で貸し借りができるわけですが、デジタルコンテンツになったときに、「このファイルはこの機器でしか再生できない」というところまでやると、ユーザーの利便性を損なってしまうと思います。映像をブロードバンド環境で観るという市場の弊害にもなりかねないですよね。ただし、守るべきラインはきっちり守らなければなりませんから、その点は他の会社さんと協力させて頂く必要があるでしょう。
■ 「所有」と「視聴」は別のマーケット
――作品を見るだけではなく、手元に置いておきたいというユーザーの希望はどう思われますか?
DVD販売とデジタルコンテンツは、特に日本においては「所有する」と「視聴する」は違うマーケットだと思っています。以前に「一度見たことがある作品を購入しますか」というアンケートを取ったことがありますが、「買います」という回答が75%でした。(テレビ放映やDVD発売よりも)先行配信しても悪い影響はなく、DVDが売れなくなるということもないと考えています。
バンダイチャンネルでは、「機動戦士ガンダムSEED」をテレビで放映した6時間後にブロードバンドで再配信するという試みを行ないました。始める前には賛否両論ありましたが、TV視聴への誘導、プロモーション効果、ブロードバンド環境でのキラーコンテンツ的役割などを果たすことができ、結果関係者にとって良い結果が出せたと思っております。
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テレビ放映6時間後にブロードバンド配信という試みが行なわれた「機動戦士ガンダムSEED」
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■ ブロードバンドオリジナルのアニメ作品を来年発表予定
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機動戦士ガンダム 0080
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――今は海外でもコンテンツ配信をされていますが、日本と海外ではどこが違うのでしょうか
基本的には日本のやり方と変わりません。ただし、海外の場合は特にアジア圏=コピーというイメージがあって、コンテンツパートナーさんが映像配信に前向きではないという事もありました。そんな事情を考慮しマイクロソフトさんと業務提携をして、WMRM(Windows Media RightsManager)を利用し、ライセンスキーの発行を国内で1元管理するビジネスモデルをNTTデータさんと構築しました。
1点特徴的なのがキャッシュのキャプチャリングへの対応です。韓国の配信では映像視聴の前に、キャッシュのキャプチャを防止するソフトをダウンロードしてもらいます。そのソフトにより違法なキャプチャソフトが起動している場合映像を流さない仕組みにしています。
――日本ではISPのポータルを通じてコンテンツを販売していますが
そもそもISPに何百万というユーザーが集まっているのに、僕らがまた別のお店を作る意味ってあるのだろうか、ということが1つです。ユーザーが集まっている場所があるのなら、そこにお店を出せばいいのではないかと。
もう1つは100円のムービーを買うのにわざわざ会員登録して、カード番号入れなくちゃならないのはユーザーにとって障害になりますよね。それでISP課金のモデルにしたわけですが、周りを見回すとこのシステムがデファクトスタンダードになってるな、というのは感じるところです。そのほうが効率がいい、ということですよね。
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機動戦士ガンダム 第08MS小隊
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機動戦士ガンダム 0083 STARDUST MEMORY
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――今後の予定をお聞かせください
古い作品をデジタル化するだけでなく、新しい試みとして、来年にはブロードバンド向けの完全オリジナル作品を発表したいと思っています。我々では「OBA(Original Broadband Anime)」と呼んでいます。あとは3月末にキャラクターを使ったアバター事業を開始しました。オンデマンド映像ビジネスを核にデジタルコンテンツ全体で相乗効果が出るような事業展開を目指しています。
――ありがとうございました。
■ URL
バンダイチャンネル
http://www.b-ch.com/
関連記事:バンダイ、劇場版ガンダムなど人気アニメ約400話を配信
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/09/19/bandai.htm
関連記事:ガンダム最新作を「フレッツ・スクウェア」利用者向けに無料配信
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/09/26/seed.htm
■ 関連記事
・ バンダイとマイクロソフト、アニメ配信のグローバル展開について提携
・ バンダイチャンネルが第三者割当増資を実施。新たに角川など5社が出資
(伊藤大地)
2004/05/12 11:08
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