ヤフー株式会社は7月16日、2001年度第1四半期（2001年4月から6月）決算について発表した。発表では、6月から開始したブロードバンド接続サービス「Yahoo! BB」の試験サービスについて言及し、井上雅博社長は「試験サービス中ということもあり、実際のユーザー数というのは申し上げないことにしようと思っている」としながらも、「雰囲気でいうと結構多いです。正式なサービスが始まってから（ユーザーの申し込み数などについて）発表したい」と説明。順調にユーザーを獲得していることを含ませた。

　第1四半期決算では、売上高は48億6800万円（前年比84％増）で、売上総利益は44億1500万円（同68％増）、営業利益は19億2100万円（同122％増）、経常利益は19億4600万円（同121％増）、当期純利益は11億900万円（同124％増）と、好調な数値を残している。

　とくに売上の内訳では、広告事業が36億9600万円（全体の75.9％）を占め、ついでYahoo! BB事業が7億4800万円（同15.4％）と、サービス開始2週間という事業期間にもかかわらず高い数値を占めている。これは、Yahoo! BBのサービスをユーザーが受けるために必要なスターターキットをヤフーがメーカーから仕入れ、実際のサービス工事を行うビー・ビー・テクノロジー(以下、BBテクノロジー）に納入しているためで、モデムやスプリッタなどの販売金額分という。

　今四半期では、「Yahoo! BB事業」の試験サービスを開始、ブロードバンド向けコンテンツを備えた「Yahoo!ムービー」を公開。ビジネスサービスとしては、有料でサイト登録の迅速な審査などを行う「ビジネスエクスプレス」、キーワード・ランキングを商品化した「サーチワードランキングデータサービス」をスタートさせた。

　また、検索サービスとしてGoogle,Inc.と提携したサービスを提供。オークションでは、参加費を伴う本人確認を開始し、企業対個人間取引である「プレミアムオークション」を実施。そのほか、ファイナンスでは、主要企業の決算発表予定日に関する情報提供サービスを開始、チャート機能を強化して、投資信託別掲示板を新設。また、チャットイベントの開催など各種サービスを増強してきた。

　その成果もあってか、ページビュー推移では、6月に月間49億6200万ページビュー、5月23日には過去最高の1日1億9000万ページビューを達成している。

　こうしたページビューの拡大に併せて、設備状況も拡大させていく予定で、現在は都内4カ所のデータセンター、5.8Gbpsの回線帯域を確保している。今後、Yahoo! BBのユーザー数、その他サービス拡大に併せて増強を予定しているという。

　質疑応答では、Yahoo! BBの事業展開について質問が多く集まった。

　具体的なスターターキットの販売台数については「2万台を超える台数」としており、BBテクノロジーの工事に対して何週間分を納入しているのかについては、「申し込みに対してはまだ少ない状況」だという。今後の納入状況についても「様々な(モデム）メーカーから話を聞いている。在庫のコントロールなど会社としては初めてのことなので、少し落ち着くまで調整が必要だ」としている。

　井上社長はYahoo! BB事業の狙いとして「当社として狙っているのは、常時接続、低価格定額制の料金を提供しインターネットユーザー自体が増加していくこと。（それによって）当社のメディアとしての価値が増加することが最大、直近の目標だ」とした。

　さらに、ユーザーを獲得したあとの戦略について「それに、加えて課金のプラットフォームを作りたい。技術的なことだけではなく、ペーパービューなどのマイクロペイメント（小額決済）の課金のシステムが注目されるところだが、実際の問題としてユーザーさんに50円の課金をどのようにするのかという問題がある。Yahoo! BBのサービス上で50円、100円という小額決済ができるのではないか」とし、ユーザー獲得後のコンテンツ販売についても期待を見せた。

　また、現在の無料テスト期間の実サービスの状況について「テストの進捗状況としては、非常にいい結果が出ている。おおむね数Mbpsのスピードが出ているという状況で比較的安定している」と話している。

□2001年度第1四半期の事業概況のお知らせ
http://docs.yahoo.co.jp/info/investor/jp/bizres/gaikyo/20010716/
□ヤフー株式会社IR情報
http://docs.yahoo.co.jp/info/investor/jp/
□ヤフー株式会社
http://www.yahoo.co.jp/

（遠藤　剛）
2001/07/16 21:06