Broadband Watch logo
最新ニュース
【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
【Click Here!】
NTT東日本の森下取締役が講演、ブロードバンドへのNTT東日本の取り組み

講演を行なったNTT東日本の森下俊三氏
 NTT東日本の代表取締役常務取締役である森下俊三氏は、NTT-ATのTECHNO FAIR 2001 TOKYOで、「ブロードバンドへのNTT東日本の取り組みとビジョン」と題して講演を行なった。ブロードバンドのこれまでの歩みや5年後の未来像、ADSL接続サービスの急激な低価格化の弊害などについて、NTTの考え方を示している。

 森下氏は、まずブロードバンドの一般家庭への普及について現状と5年後の予想を次のように説明した。2001年はADSLやCATVが急激な伸びを見せているとはいえ、日本の総世帯数4800万の中では、まだごく僅かしか普及しておらず、電話やISDNによる低速アクセスユーザーが大半を占める。しかし、これが5年後には光ファイバを使用する超高速アクセスユーザー、DSLやCATVを使用する高速ユーザーが3000万世帯まで増加し、加入電話やISDNは1000万世帯程度と少数派に転じる。

 これに伴い、NTTの収益構造も変えていかなければならない。現在は電話が中心だが、これをIP(インターネット接続サービスなど)と電話の半々に変更し、電話関連事業のコストを下げていく必要がある。電話の通話料はマイラインが始まったことや競争が激しくなっていることで、価格は低下傾向にあり今後も厳しい状況にさらされる。しかし、この中にあってもIP関連のビジネスは、5年後を見据えて積極的に投資を行なっていく。

 IP関係でも価格競争が激しさを増しているが、これについては次のように語っている。まず、ADSL接続サービスはYahoo! BBなどの登場により急激な低価格化が起こっている。もっとも、価格の下落ペースが早すぎるとビジネスとして成り立たなくなってしまう。米国ではADSL接続サービス業者が相次いで事業破綻しており、日本でも同じ状況になれば、せっかく普及に弾みがつきつつあるブロードバンドに水を差しかねない。

 また、収益中心で通信事業を展開することは、地域ごとの通信費に格差がつきやすく、結果として大都市圏以外では価格が上がりかねない危険性も指摘する。NTTとしては、2001年度中に日本全国の市制都市をカバーするという目標をできる限り早く達成することで、より多くのユーザーにADSL接続サービスを提供していく。

 NTTのADSLへの投資は、今後、インフラが光ファイバ化するのであれば、結局ムダになるのではないかという指摘については「3年、5年という期間で見れば確かにムダな部分はある」と肯定しつつ、その必要性を次のように説明した。まず、ブロードバンドの普及ペースを考えると、早急にインフラを構築する必要があること。投資効率で考えれば時間をかけて構築したほうが効率的だが、これでは間に合わない。

 興味深いのは、コンテンツが流通するインフラを早期に立ち上げることで、結果としてブロードバンドの需要が高まると考えている点だ。より多くのユーザーが、ブロードバンドコンテンツにアクセスできるようになれば、たとえば携帯電話の着メロのように月額100円程度と安価な設定でもビジネスとして十分に成立する。こういった環境を早期に立ち上げることが重要だと説明している。

ブロードバンドの普及予測
 
NTTのブロードバンド分野での事業展開


□NTT-AT TECHNO FAIR 2001 TOKYO
http://www.ntt-at.co.jp/news/events/nttat/old/techno2001tokyo/techno2001tokyo.html
□NTT-AT
http://www.ntt-at.co.jp/
□NTT東日本
http://www.ntt-east.co.jp/

笠井 康伸
2001/09/06 19:16

Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.