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【PC EXPO】有線ブロードネットワークス講演、最も有望なコンテンツはテレビ電話

 PC EXPO初日、併催コンファレンス「WORLD PC FORUM 2001」で有線ブロードネットワークス(以下usen)取締役の藤本篤志氏が「FTTH通信のインパクト」と題した講演を行なった。


ADSLなどで常時接続入門、そこからFTTHへ

有線ブロードネットワークス取締役 藤本篤志氏

 藤本氏は、「FTTHは、すでに償却の終わっているメタルワイヤー(銅線を使った一般加入回線)や同軸ケーブル(CATVで使われている)比べ、コスト的にはやはり割高になる」と述べた。ただし、「細長い日本の国土は、縦にバックボーンを通し、そこから回線を引けばよいため、回線インフラを構築するには恵まれた地形だ」。usenでは、人口30万人以上の都市や県庁所在地を5年以内にカバーする予定だが、日本の場合、ケーブルを張り巡らす面積は6.5%で45%の人口カバー率となるという。「米国などはバックボーンは日本よりはるかに太いが、日本のように密集していない上、国土が広いために従来のメタルワイヤーをはりかえるのが難しい」。アクセス系回線(“ラスト1マイル”などの足回り回線)として、光ファイバを利用する技術やノウハウについては、「日本が世界に先行できる可能性が大いにある」。

 現状では、ADSLなどに比べるとコスト的には割高になるわけだが、「現状では、はじめて常時接続を利用しようという層はADSLをまず導入して、ADSLユーザーがもっと速い回線を、という段階で導入するサービスだと考えている」。ADSL利用者が増えるにともなって、そのADSL利用者がFTTHに流れてくる、という順番になるのではないかと述べた。

 なお、コストについては、普及が進めば下がるだろうという。また、光ファイバは現在、加入者宅までは2芯(上りと下り)の光ファイバを、宅内のメディアコンバーターに接続、メディアコンバーターから先はイーサネットケーブルでユーザーのパソコンやルータに接続する形になっている。このメディアコンバーターがもうしばらくすれば1芯対応のものに置き換わる見込みで、そうなるとコスト的にも下がると述べた(現在はまだ2芯の方が安いため、2芯のものを使っているという)。

有線ブロードネットワークスのネットワーク・トポロジー図

 ネットワークインフラに関しては、NOC(Network Operation Center)から、15個所くらいのハブが接続され、1つのハブについて15個所くらいのノードが設けられているという。このノードからユーザー宅に光ファイバーが敷設され、最大100Mbpsのサービスを提供していると説明した。加入者のアクセスラインがそれぞれ最大100Mbpsでは、加入者が増えた場合にノードからNOCまでがボトルネックになる可能性があるが、「これについては先手を打ってWDMを導入するなどで、そのタイミングの判断さえ間違えなければ、問題ないと考えている」とした。

 また、よく「通信回線料では赤字だと思うが、コンテンツで黒字にするのか」という質問を受けるが、「通信回線料だけで黒字になる」と断言。「有線ブロードネットワークスではノードの手前はイーサネットの機器を使って構築しているためコストが安く、2002年度で200万回線という目標を立てているが、200万回線になれば、FTTHサービスだけで黒字になる」と述べ、FTTHの回線料のみでも黒字になる事業計画であることを強調した。


ブロードバンドのコンテンツは「テレビ電話」が本命

ネットミーティングをはじめとする、テレビ電話がブロードバンド・コンテンツの本命だという

 藤本氏は、放送と対比した通信コンテンツの特徴として、「いつでも見られるというオンデマンド性」と、「蓄積しておいて後で見ることができるアーカイブ性」、「たとえば収録時間が24分だったら24分そのまま流せばよいという、放送の編成とはまったく異なる番組づくり」を挙げた。現在、usenでは加入者に限定したコンテンツ提供を行なっているが、一番人気があるのはエンターテイメントのジャンルで、アイドルのショートインタビューや記者会見をそのままフルに流すなどのコンテンツが人気があるという。

 今後のコンテンツとしては、「コンテンツの歴史を見ると、シナリオのないライブなもの。これがいちばん新鮮で、継続的に見たいと思うものだ」として、コアになるのはテレビ電話サービスだとした。

 また、「usenがサービスの発表を行なった頃は、まだADSLサービスが出てきておらず、CATVは256~512kbps程度の速度が多かった中、なぜ100Mbpsなのかとよく聞かれた」として、その理由を「2Mbpsあれば、現在のビデオを上回る画質・音質が出せる。2Mbpsを常時ストレスなく利用するには最大10Mbpsではダメで、100Mbpsあれば十分だった」からだという。もっとも、「イーサネット機器を利用するため、10Mbpsでダメなら100Mbpsしかなかったという理由もあるが」と述べた。つまりコンテンツの質を前提として、回線の品質を決定したということで、このあたりは有線放送を手がけてきて、コンテンツで加入者を増やした同社らしいところと感じられた。


FTTHを全国規模で普及させるには行政の後押しが必要

「e-Japan構想の、2005年にブロードバンド回線4000万加入、うちFTTHが1000万というのは、読みとしていい線ではないか」と藤本氏

 今後については、2002年2月から現在の電話番号をそのまま使えるVoIPサービスを開始することを明らかにした。また今後の問題点として、放送と違って通信ではコンテンツ利用にあたっての著作権の扱いがまだ煩雑な面があり、たとえばリクエスト番組などで著作権者の了承をいちいち得ずに配信するなどがまだできない、と述べた。最後に、「日本はFTTHのアクセス回線で世界をリードできる可能性がある。ただし、普及については民間主導のみでは、やはり収益性から都市部のみという形になってしまう。行政の決断が必要だ」として、政府の方針としてのバックアップが必要であることを訴えて、講演を締めくくった。


□有線ブロードネットワークス
http://www.usen.com/

工藤ひろえ
2001/09/19 23:00

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