総務省は9月30日時点でのDSL加入者数を発表した。これによると、全国での加入者数は65万796件で、8月と比較して約14万件、28%の増加となった。加入者数の伸び率は8月が26%であったのに対し、9月は28%。ADSL加入者数が順調に増加している様子がうかがえる。ADSL事業者のシェアではYahoo! BBが一気に上位に躍り出るなど順位に変動があった模様だ。
65万件の内訳は、NTT東西のフレッツ・ADSLが約39万件、NTT以外の事業者が約26万件。シェアで比較すると、8月ではNTTが全体の65%を占めていたが、9月には60%と5ポイント低下している。
2001年9月30日時点での加入者数
| NTT西日本エリア | NTT東日本エリア | 合計 |
フレッツ・ADSL | 168,501 | 218,729 | 387,230 |
タイプ1 | 99 | 226 | 325 |
タイプ2 | 90,792 | 172,449 | 263,241 |
合計 | 259,392 | 391,404 | 650,796 |
NTT以外のADSL事業者を使用している加入者数に着目すると8月が約18万件であるのに対し、9月は約26万件と8万件の伸び。これはNTT(フレッツ・ADSL)の増加数約5万5000件を大きく上回っており、新規加入者がNTT以外のADSL接続サービスに比重を移していることがわかる。要因は、NTT以外の事業者のサービスエリアの展開が進んだ上に、NTTと比較して相対的に安い接続料金、最大下り8Mbpsの高速サービスなどが挙げられる。
なお、Yahoo! BBは、10月5日時点での自社の接続回線数を約13万件、9月4日から1カ月間での増加数は約9万件と発表していた。これは、総務省が発表したNTT以外の全事業者合計の増加数8万件をYahoo! BBだけで上回ってしまう数値だ。アッカやイー・アクセス、J-DSLなどが加入者数を伸ばしていることを考えると、その差はさらに広がる。
こういった数値のミスマッチが生じるのは回線数の解釈が異なっているため。総務省が発表した加入者数は、NTTに対し回線使用料の支払いが生じるユーザーの数。これに対し、Yahoo! BBの接続回線数は、ユーザーに対し宅内用ADSLモデムを発送した数となっている。また、集計期間も総務省が9月1日から9月30日まで、Yahoo! BBは9月4日から10月5日までと4日間のズレがある。
Yahoo! BBによれば、9月以降は収容局の工事が急ピッチで進んでおり、日が経つに連れて加入者の増加ピッチが大きくなっている。このため、たとえ4日間でも後ろにずれた場合、数が膨らむ可能性が高い。これに回線数の解釈の違いも加わり、数値の違いが出たのではないかという。
9月にはADSL事業者のシェアおよび順位にも変動があった。イー・アクセスは、9月末の時点での加入者数が7万1000件、9月の増加数が1万3000件であったことを明らかにしている。アッカ・ネットワークスなどが具体的な数値を明らかにしていないため曖昧な点は残るものの、Yahoo! BBがNTT東日本、NTT西日本に次いで第3位のシェアを確保した模様だ。
また、このままのペースでYahoo! BBが加入者数を伸ばした場合、10月にはNTT西日本を抜き業界第2位に躍り出る可能性が高い。
□DSL普及状況公開ページ
http://www.joho.soumu.go.jp/whatsnew/dsl/index.html
□関連記事「Yahoo! BB、進捗状況を発表。開通済みユーザー数は約13万人」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/10/05/ybb.htm
□関連記事「総務省、8月のDSL加入者数を発表、全国のDSL加入は51万339回線」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/09/07/dsl.htm
□総務省
http://www.soumu.go.jp/
(笠井 康伸)
2001/10/11 19:55
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