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富士通、2.4テラビット/秒で通信距離7400kmの光波長多重通信に成功


 富士通研究所は、マルチテラビット光波長多重通信において、1536nmから1610nmまでの単一波長帯域を用いた、2.4テラビット/秒(Tbps)でデータ伝送距離7400kmの光波長多重通信実験に成功した。富士通研究所によるとこの実験に成功したのは、世界初だという。

 マルチテラビット光波長多重通信とは、異なる波長の光信号を用いて複数の信号を流すことで、デジタル通信を多重化する技術のこと。光ファイバ1本当たりの転送能力を波長の数に比例して増大させることが可能で、大容量かつ高速化される将来のインターネットを支える技術として注目されている。

ラマン増幅器(広帯域光増幅器)
 今回の実験では、新開発のラマン増幅器(*1)とそれに適した1本の光ファイバ伝送路(*2)が用意され、1波あたり10Gbpsの信号を240波まで多重化し2.4Tbpsのデータ伝送が行なわれた。データ伝送に成功した7400kmという距離は、大西洋(約6500km)を横断可能な距離。

 新開発のラマン増幅器を用いることにより、74nm幅の連続した帯域の光信号を一つの増幅器で一括して増幅可能となったため、従来の光増幅器のように、波長帯域を分割して増幅する必要がなくなった。このことにより、中継器の簡素化、低雑音化、高出力化および低コスト化が実現できるという。

 富士通では、すでに10Gbpsの信号を105波まで多重化する1Tbpsの光海底ケーブルシステムを製品化している。今回の実験成功により光海底ケーブルシステムの大容量化、光増幅中継器の簡素化、低雑音化、高出力化および低コスト化の見通しが得られたとし、富士通は今後、実用化に関する詳細な検討を行なう。実用化は2005年ごろにの予定。

    *1 ラマン増幅器
     1.4μm帯の励起光を用いて、光ファイバが持つ非線形効果であるラマン散乱効果を応用し、1.5μm帯の信号光を増幅する光増幅器で、励起光源の光パワーおよび発振波長を調整することで自由に利得波長特性を設計することができる。

    *2 光ファイバ伝送路
     2種類の異なる特性を持つ光ファイバを用いたラマン増幅器に適した広帯域伝送路。中継区間の前部にコア径が大きく低損失な光ファイバを、後部に前部の光ファイバによる波形歪み要因を波長ごとに補償できる光ファイバを配置した複合伝送路となっている。


□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2001/10/24-1.html
□富士通研究所
http://www.labs.fujitsu.com/
□富士通
http://www.fujitsu.co.jp/

水倉 正俊
2001/10/25 12:50

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