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コレガの高速ルータ「BAR SW-4P Pro」を実際にテストしてみました

corega BAR SW-4P Pro
マイクロ総合研究所 NetGenesis OPT
 コレガからWAN-LAN間の公称スループットが45Mbps、テストパターンによる最高速度は実に65Mbpsを誇るルータ「corega BAR SW-4P Pro」が発表された。標準価格は1万8800円という、コンシューマ向けの価格帯で販売されるルータ製品としては飛び抜けた高スループットだ。発売開始は11月下旬の予定だが、Broadband Watchでは事前に評価機を入手できたので、実際にどの程度のパフォーマンスを発揮するかのテストを行なってみた。

 テストには、できるだけユーザーの利用環境に近づけるためにPPPoEによる接続をともなう、Bフレッツのベーシックタイプを使用した。測定に使用したマシンはPentium 4 1.3GHzに7200rpmのHDDを搭載した自作機。また、比較用にPCを直接回線に接続したケースと、これまでコンシューマ向け高速ルータの代表的存在であったマイクロ総合研究所の「NetGenesis OPT」による実測も行なっている。

 Bフレッツのベーシックタイプは、収容局までのアクセス回線に100Mbpsの光ファイバを使用する。こういった回線を使用しているユーザーはまだごく少数と思われるが、ルーターの性能より回線速度は遅くては、ルータの最大性能を知ることができない。また、BフレッツではPPPoEによる接続を行なうなど、ADSLによる接続と同程度の負荷がルータにかかる。

 メーカーの公称スループットは、多くの場合PPPoEによる接続を行なっておらず、NATやフィルタリングなどをすべてはずしているケースもある。こういった環境での測定値は、ユーザーが実際に使用する環境よりもかなり高速なスループットが出てしまう。

 テストに使用したBフレッツのベーシックタイプは、NTTの九段局に収容されているもの。局からの直線距離は約200m、フレッツ・スクエアにあるスピード計測コーナーでは、PCを直接回線に接続した場合、速度は35.782Mbpsと表示される。プロバイダには@niftyを使用した。

 ルータは、どちらも工場出荷時点での初期状態でテストを行なっている。ちなみにBAR SW-4P Proは、初期状態ではフィルタリングがオフになっているが、オンにして測定しても、結果はほとんど変わらなかった。

 性能評価は、フレッツ・スクエアのスピード計測コーナーとniftyで用意されている個人用Webページへのファイルのアップロードとダウンロード、それにマイクロソフトのダウンロードサービスを使用して行なった。このほかに、IIJのFTPサイトからLinuxのディストリビューション(640MB)のダウンロードも試みたが、なぜかBAR SW-4P Proでは途中でFTPが異常終了してしまうため結果は掲載していない。

【UPDATE】
 SW-4P Proで巨大なファイルをダウンロードすると、途中で異常終了してしまう件についてコレガからの正式回答があった。回答によると、異常終了している原因はルータのIPマスカレードの仕様によるもの。
 FTPの場合、セッションコントロールとデータ転送を別々のポートで行なう。大容量ファイルの転送を行なう場合、データ転送ポートは連続して通信が行なわれるためNATテーブルは更新され続けるが、セッションコントロールポートはデータ転送開始から終了までの間は通信が行なわれない。このため、コレガ製品のNATテーブルTTL(Time To Live、テーブルエントリの有効維持時間)値である10分を超えてデータ転送が行なわれると、セッションコントロールポートが切断されてしまう。このため、FTPクライアントはセッションの維持が行なえなくなり異常終了につながった。
 なお、本件についてはファームウェアのバージョンアップで解決する方向で、社内作業を進めていく方針だという。


 フレッツ・スクエアによるスピード計測では、回線にPCを直接接続した場合が35.782Mbps、BAR SW-4P Proを経由させた場合が26.371Mbps、NetGenesis OPTでは19.134Mbpsという結果になった。直付けをベースとした場合の回線の有効使用率はBAR SW-4P Proが73.7%、NetGenesis OPTが53.5%。すべて10回計測を行ない、その平均値を用いている。

 この環境では、フレッツシリーズで使用される地域IP網内のサイトでスピード計測を行なうため、インターネットを流れるトラフィックの影響を受けない。よって、今回使用した回線の実環境での最大速度が出ていると考えてよいだろう。

フレッツ・スクエアのスピード計測コーナー
直付け35.782Mbps
(100%)
BAR SW-4P Pro26.371Mbps
(73.7%)
NetGenesis OPT19.134Mbps
(53.5%)

 niftyでの個人用Webページへのアップロードとダウンロードには、JPG画像をLZHで圧縮した10MB(10,477,568byte)のファイルを使用して行なった。結果は、直付けがダウンロードでは7.743Mbps、アップロードが4.241Mbps、BAR SW-4P Proでは7.343Mbpsと4.160Mbps、NetGenesis OPTは7.214Mbpsと3.973Mbps。

 このケースでは、直付けでも10Mbpsを超えないため、BAR SW-4P ProやNetGenesis OPTを使用しても、ほとんどロスが生じていない。回線速度がふるわないのは、niftyのftpサービスか回線部分がボトルネックになっているものと思われる。

niftyでのアップロードとダウンロード
直付けdownload7.743Mbps
(100%)
upload4.241Mbps
(100%)
BAR SW-4P Prodownload7.343Mbps
(94.8%)
upload4.160Mbps
(98.1%)
NetGenesis OPTdownload7.214Mbps
(93.2%)
upload3.973Mbps
(93.7%)

 マイクロソフトのダウンロードサービスで使用したのは「Windows 2000 Service Pack2 x86 Network Install & Symbols」というタイトルの付いたファイル。サイズは105MB(110,048,392byte)で、Internet Explorer 6.0を使用してダウンロードを行なった。

 結果は直付けが18.341Mbps、BAR SW-4P Proが9.569Mbps、NetGenesis OPTが8.385Mbps。直付けした場合とルータを経由させた場合で性能差が非常に大きい。BAR SW-4P ProとNetgenesis OPTは、フレッツ・スクエアのスピード計測コーナーで実測した値の半分以下しか出ておらず、Bフレッツで使用する場合にはもの足りない結果となった。

マイクロソフトのダウンロードサービス
直付け18.341Mbps
(100%)
BAR SW-4P Pro9.569Mbps
(52.2%)
NetGenesis OPT8.385Mbps
(45.7%)

 corega BAR SW-4P Proは、WAN側に10BASE-T/100BASE-TX×1ポート、LAN側に10BASE-T/100BASE-TX×4ポートを備える。今回の評価結果では、PPPoEによる接続時は26.371Mbpsが最高速度という結果になった。これは、現在コンシューマ向けに販売されているルータの中では最速である。

 高スループットのカギを握る、ルータ内蔵CPUにはARM9の高速タイプを使用。これは、韓国などの数社が評価用のボード(基板)を出している。もっとも、現段階ではほとんどのルータメーカが調達やトラブル対策に手間取っており、製品出荷は12月から2002年初頭になると思われる。その中にあって、他社より早い11月下旬という時期に製品出荷を予定している点は、コレガの企画・開発力の賜といえるだろう。


□関連記事「製品レビュー:マイクロ総合研究所 NetGenesis OPT」
http://bb.watch.impress.co.jp/review/2001/08/24/netgen/
□corega BAR SW-4P Pro(製品情報)
http://www.corega.co.jp/product/list/router/barsw4ppro.htm
□コレガ
http://www.corega.co.jp/

笠井 康伸
2001/11/19 13:38

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