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日立製作所が「ユビキタスフォーラム」を開催

 ユビキタス情報社会への日立製作所の取り組みを紹介する「ユビキタスフォーラム」が開催された。日立の研究所がさまざまなな技術を駆使して描く未来像だが、この中には思いもよらないコンテンツに巡り会えるという、まるで未来の占い師が使うような水晶球など変わり種も多数展示されていた。

 ユビキタスフォーラムでは、まず日立が描く未来像を紹介するビデオが放映された。ここでは、ユーザーが必要とする情報を的確に提示したり、さまざまな情報を駆使したスマートなショッピングスタイルなど、日立の考える未来の情報社会がどのように便利になっていくのかがわかりやすく紹介されていた。

 このほかに、日立の持つさまざまな技術を利用した情報機器や、そのコンセプトを表わしたモックアップなどを多数展示。その多くは技術展示にとどまっており、製品化の時期などは決まっていないものの、ある意味で日立の余裕ともいえる部分を垣間見ることができた。

ユビキタスフォーラムで展示されていたデザインモックアップ
PDAらしき製品。使い方などは一切わからなかった
子どものおもちゃのようなPDA

 「光ポインター内蔵リモコン」は、1台でさまざまな機器をコントロールできるリモコン。操作はシンプルで、たとえばリモコンを照明やエアコンに向けると電源がオンオフする。リモコンの先からは赤い光が出ており、この光を機器に当てるだけで操作できるのだ。

 操作にはいくつかのバリエーションが用意されており、たとえば一定の操作によりメニューを表示、ここでTVを選択し、その後リモコンで適当な大きさの矩形を壁に描くと、そこにTV画面が表示される。もちろん、TV画面の位置や大きさは自由に指定できる。

 このほかにも、まず冷蔵庫をポインターで選択、次に電子レンジ、最後にTVを選択することで「冷蔵庫に入っている材料を電子レンジで調理。そのレシピをTVに表示」といった指定もできる。

 まだ、あくまでコンセプトの展示ではあるものの、光ポインターを追跡するカメラとTVや操作メニューなどを表示するプロジェクタは実際に動作しているものを使用しており、あくまで実現できるという前提に立ったコンセプト展示である。

 ちなみにバックボーンとなっている技術には、ポインターの追跡などの画像処理技術のほかに、家電をコントロールするためのECHONET(電灯線ネット)、AV機器をコントロールするためのHAVi、短距離でのデータ通信に使用するBluetoothなど。これらの技術に斬新なヒューマンインターフェイスを組み合わせたのが光ポインター内蔵リモコンなのである。

光ポインターで照明を指すと電源がオン・オフする
メニューを表示。ここで各部屋の様子やTVの表示ボタンなどが表示される
ポインターを認識するカメラと映像を表示するプロジェクタ

 「何でもWebで見たい」から「何でもWebで動かしたい」への移行をコンセプトに掲げる「ユビキタスコントローラ」は、文字どおりWebで家電やPCなどさまざまな機器をコントロールできるリモコン。ネットワークにはHomePNAやイーサネット、ECHONET、機器のコントロールには赤外線やBluetoothを使用する。

 すでに展示会などで何度か出展されていたウェアラブルインターネットアプライアンスも紹介されていた。これは、腰に付けられるほどの小型な本体と、めがねのように顔に付ける小型の液晶ディスプレイがセットになったもの。本体には、CFカードスロットがあり、ここにPHSや無線LANカードなどを装着し、インターネットへアクセスする。

 顔に付けるディスプレイは、60cm離れたところに置かれた13型の液晶ディスプレイと同様に見えるもので、解像度はSVGA。実際に装着してみたが、画質もしっかりとしており見やすいものだった。ポインティングデバイスは、親指でなぞるようにして動かす小型のスティックのようなものを使用する。

 このほかにもPDAがビューアなど小型情報機器のさまざまなデザインモックアップや、独自のインターフェイスを採用した類似画像検索&ブラウジングシステムなど、斬新なアイディアにもとづいた品々が並んでいた。

ウェアラブルインターネットアプライアンス。手前に見えるのがマウスの代わりとなる操作用スティック
本体の上面にはCFスロットなどのインターフェイス類が並ぶ
顔に取り付ける液晶表示部。解像度はSVGAで、画質は鮮明

 なかでも極めつけは「Magicscape」と名付けられた水晶球。日立は以前、ボタンなどを一切なくしジェスチャだけで操作する情報端末「Waterscape」を発表しているが、これをアレンジしたようなものだ。

 展示会場のパネルに書かれた説明には、仮想世界への没入感や思いもよらないコンテンツと巡り合う偶然性を体験できる新感覚の情報端末と説明されている。使い方もかなり特殊で、まず水晶球の中に映る画面が見える位置に立って、緩やかに浮かんでくる泡を眺める。次に泡を動かしたい方向に手をかざし、泡を中央に導き寄せれば泡がはじけて中身(コンテンツ)が見られるという。さらに、コンテンツは「ふーっ」と息を吹きかければ消えてしまう。使い方は、占い師が水晶球で占いを行なっている動作(手つき)そっくりなのだ。

 もちろん製品化の予定や価格などは未定。開発意図も不明だが、ある意味で日立の余裕ともいえる部分を垣間見ることができるおもしろい製品(コンセプト)といえるだろう。

土台にはちゃんと「HITACHI」のロゴまで入っている謎の水晶球「Magicscape」
写真ではわかりにくいが水晶球の中には泡が浮かんでおり、泡の中に情報(文字)が表示される
Magicscapeの使い方。まさに占い師が水晶球で占いを行なっているような仕草

笠井 康伸
2001/11/22 20:05

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