NTT東日本は、ADSLモデムとフレッツ・ADSLの接続性を検証するための環境をモデムメーカー向けに構築する。これにより、モデムメーカーは公式にフレッツ・ADSL対応と表示したADSLモデムをショップや量販店で販売できるようになる。

　フレッツ・ADSLでは、これまでモデムメーカーの市販品の検証作業などを公式には行なっておらず、モデムメーカーが独自に環境を構築、検証を行なっていた。このため、市販のADSLモデムを使用してトラブルが生じてもNTTのサポートは期待できなかった。

　今回、NTTがADSLモデムの接続性を検証することで、ユーザーはトラブルなどが生じた場合でも、NTTに対しサポートを依頼できるようになる。たとえばADSL回線の開通作業で正常につながらないといったトラブルが生じたとき、NTT東日本が回線の問題か、モデム側の問題なのかの切り分けを行なってくれるという。

　まだ具体的なデザインなどは決まっていないものの、フレッツ・ADSLでの検証作業に合格したADSLモデムにはパッケージに「フレッツ・ADSL対応」がわかるロゴなどを表示。ユーザーが製品を選択する際の補助的な指標にしていきたいという。

　接続性の検証環境構築では、まず12月19日にモデムメーカー向けの説明会を実施。ここで、どういった検証を行なうのかがかわる「利用の手引き」「試験実施要領」などの資料を配付する。翌12月20日から接続試験の受付を開始し、2002年2月上旬に合否判定を通知する。

　試験の申し込み受付から合否判定まで2カ月弱かかるのは、合否判定を一斉に通知するため。すでに多数のモデムメーカーから検証試験のリクエストがあり、先着順に試験を行ない結果を通知すると、少しでも早い時期に申し込んだメーカーが販売上優位になってしまう。これを避けるため、初回の12月20日申し込みに限り一斉通知することにした。2002年2月以降の試験では、順次試験を行なう。試験期間も1週間から2週間程度に短縮されるという。なお、試験に合格したモデムは、NTT東日本に対し販売時の製品名を届けなければならない。

　試験費用はモデム1機種あたり約140万円。ファームウェアの変更などを行なった場合にも再度試験を行なう必要があり、この場合は約15万円かかる。

　接続試験では、PPPoEなどを含むADSLの各レイヤーで確実に接続できることをチェックする。完成品だけでなくプロトコルなどの確認を目的とした試作品も受け付ける。また、ADSLモデムを内蔵したルーター製品についても、ADSLモデム部分に限られるものの接続試験を実施するという。

　フレッツ・ADSL対応と表示するためには、この接続試験に合格し、加えて日本語が通じるヘルプデスクがあること、マニュアルが日本語であることが条件となる。

　今回、接続試験を行なうのはG.lite AnnexC規格、つまり最大下り1.5Mbps、上り512kbpsのフレッツ・ADSLのみ。8Mタイプの試験は2002年初めから提供する計画だ。また、同じフレッツ・ADSLを提供しているNTT西日本についても調整を行なっており、最終的には試験に合格すればNTT東日本・西日本のどちらのフレッツ・ADSLでも利用できるようにしていきたいという。

　Broadband Watchでは、この発表についてADSLモデムやモデムを内蔵したルータなどを製品化しているNECにコメントをお願いした。その回答は次のとおり。

　今回、NTT東日本が試験環境をモデムメーカーに対して提供すると発表したことは、かねてよりNECが切望していたことであり大変歓迎できる。NECとしては、すでに発表している製品、今後発表する製品など全モデルを12月20日にエントリする計画だ。

　「機種」やファームウェアの「バージョンアップ」の定義が不明だが、たとえば製品としては別でも同じADSLモデムを内蔵している場合もある。また、ファームウェアのバージョンアップといっても、ADSLモデムに関連する部分か、まったく関係ない部分かによって接続試験の要否は変わってくるはずだ。このあたりは、12月19日のモデムメーカー向けの説明会などで明らかにしていきたい。

□ニュースリリース
http://www.ntt-east.co.jp/release/0111/011130a.html
□NTT東日本
http://www.ntt-east.co.jp/

（笠井 康伸）
2001/11/30 17:48