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SCEI、プレイステーション 2のブロードバンドへの対応計画

記者会見に出席したSCEI、NTT-BB、So-netの社長
PS専用のブロードバンドユニット
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は都内ホテルで記者会見を開き、プレイステーション 2(PS2)からブロードバンド回線を使用してゲームコンテンツなどを利用できるサービスを2002年4月をメドに開始すると発表した。専用のブロードバンドユニットをリーズナブルな料金でレンタルすることで普及を促進、家庭におけるブロードバンド端末として中心的な役割を確保する狙いだ。

 記者会見にはSCEIの久多良木健社長のほかに、NTTブロードバンドイニシアティブ(NTT-BB)の和才博美社長、ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)の山本泉二社長が同席。CDN(Contents Delivery Network)や課金・料金回収システムといったブロードバンドサービスをPS2向けに提供すると発表した。

 SCEIは、PS2からブロードバンド回線を利用できるようにするために専用のブロードバンドユニットを提供する。これは40GBのHDDとイーサネットインターフェイスを持つユニットで、前期型のPS2には外付け、後期型にはエクスパンションタイプを用意する。

 接続する回線はとくに限定はしていないものの、サービス開始当初のプランではADSLやFTTHを使用する。HDDはネットワークからダウンロードしたゲームなどのコンテンツを格納したり、DVD-ROMやCD-ROMからコピーしたデータを格納したりといった利用方法が中心となる。久多良木社長は具体例として、ユーザーがゲーム用のパッケージ(DVD-ROMなど)を購入しPS2にセットすると必要に応じてデータがHDDにコピーされる。加えてネットワークから付加情報やライブ情報がダウンロードされるといった使い方を挙げた。こういった使い方を可能にすることで、ゲームの幅を広げることが可能だという。

 ブロードバンドユニットは、基本的にレンタルでユーザーに提供する。料金は明らかにしていないものの、リーズナブルな料金を設定することで初期導入時の費用負担を軽減し、初年度から一気に普及を図るという。また、レンタルにすることで、たとえば内蔵HDDの容量を80GB、160GBと増やしていく場合にも、ユーザーへのスムーズな提供(切り替え)が行なえる。

 ゲーム以外にも、音楽CDやDVD-Videoとブロードバンドを融合させたサービスも検討している。たとえば、PS2で音楽CDを再生中に、ブロードバンド回線を使用してビデオクリップのストリーミングを再生するといった用途への応用だ。

 久多良木社長によれば、HDDが利用できるようになることでPS2の用途は広がっていくという。一例として、TV映像などをHDDに記録するHDDレコーダーとしてPS2が利用できると説明した。現在販売されているコンシューマ向けのHDDレコーダーは価格が10万円台だが、PS2ではファームウェアの変更だけで対応できる。

 さまざまなコンテンツを扱うためには著作権の管理が重要になるが、このためにSCEIではかねてより開発していた認証システム「DNAS(Dynamic Network Authentication System)」の本格運用を開始する。これは、PS2に組み込まれた機器IDとPS2ディスクに組み込まれた固有IDを使用して機器認証やコピーマネジメントなどを行なうシステム。

 DNASを利用することで、コンテンツをダウンロードした時点で認証を行なうといったリアルタイムな著作権管理や、一般家庭で利用する場合に子どもだけ視聴できないようにするといったコンテンツの視聴制限にも対応できるという。

 ブロードバンド回線を利用することで、PS2用のゲームを安価に提供できる仕組みも構築する。SCEIは、プレイステーションによって、それまでROMカートリッジで提供されていたゲームコンテンツをCD-ROMに変更することでゲーム(カートリッジ)の製造・流通コストを削減した。ブロードバンド対応ではこれをさらに進め、ホスティングや課金・回収代行といったシステムを提供。従来と比較して少ない費用でゲームが流通するようにするというのだ。

ブロードバンドを利用した新しいコンテンツ流通システム。DNASやCDNを組み合わせて構築する
ブロードバンドを利用することでコンテンツの価格を抑えることができる
ISPと回線、コンテンツ、サービス、そしてブロードバンドユニットをセットにした課金モデル

 もっともブロードバンド対応によって従来型のパッケージ(ディスク)がなくなるわけではない。久多良木氏によれば、今後も両者は共存していくという。PS2ではDVD-ROMが2枚組のタイトルなどもあり、こういったタイトルをすべてネットワークから利用するのは不可能だからだ。

 なお、ブロードバンドユニットに対応したゲームタイトルなどは明らかにされなかった。これは、2002年2月に開催するアンニュアルミーティングで公開されるという。

 共同で記者会見を行なったNTT-BBの役割は、NTTの地域IP網上に設置したCDNを利用して、全国のBフレッツおよびフレッツ・ADSLユーザーを対象に、コンテンツの配信や課金・料金回収代行などのサービスを提供する。

 So-netも基本的には同様のサービスを提供する。対象ユーザーは、So-net全会員214万人のなかでブロードバンドコースを利用している会員14万人強。PS2専用ブロードバンドユニットなどのレンタル料金も、So-netの月額料金とまとめて支払えるようにする計画だ。

 一般への普及がなかなか進まなかったDVDは、PS2の登場によって一気に広まった。久多良木氏によれば、DVDと同じようにPS2でブロードバンドでも大爆発を起こしたいという。韓国を超えるスピードで世界中にブロードバンドを一気に広げたいというのだ。PC用ディスプレイと比べてコンテンツが視聴しやすいTVに接続されたPS2。HDDを内蔵することでレコーダブルにもなり、ハードの初期導入コストも安い。世界数十カ国で2315万台(11月末時点)販売されているPS2は、はたして大爆発を起こすことができるのか。ブロードバンド対応サービスは2002年4月に開始される。


ブロードバンドに対応したPS2のスクリーンショット (開発中のもの。クリックで拡大する)

オープニング画面。「Broadband Navigator」というタイトルが付いていた
コンテンツの選択。「GAME」「MUSIC」などのほかに「OUTSIDE]といった項目が並ぶ
ゲームの選択。画面の左側ではHDDの状態を表示する
映画タイトルを表示
音楽CDではネットワーク上にあるビデオクリップを動画もあわせて再生できる
ブロードバンドを利用してビデオメールを交換


□ニュースリリース
http://www.scei.co.jp/corporate/release/pdf/011211a.pdf
□関連記事「PlayStation 2がインターネット端末に」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/11/09/ps2.htm
□ソニー・コンピュータエンタテインメント
http://www.scei.co.jp/

笠井 康伸
2001/12/11 22:18

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