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イー・アクセス、コロケーション問題の公開ヒアリングについて説明

代表取締役COO エリック・ガン氏

 イー・アクセスは報道機関向けに勉強会を開催した。これは、昨日、総務省で行なわれたNTT接続約款の変更に関する公開ヒアリングについての説明と、記者からの質問に答えるためにイー・アクセスが企画したもの。説明には代表取締役COOのエリック・ガン氏と企画部長の庄司勇木氏があたった。今日の勉強会では「ある特定事業者」として説明がされているが、これは、状況から見て「Yahoo! BB」であることは間違いない。

 ここで問題になっているコロケーション問題とは、NTT局舎内の機材の設置スペースをある特定事業者が大量に申し込みをした結果、他事業者の入るスペースがなくなったり、NTTが局舎の増床工事をすることを余儀なくされるといったこと。そしてその事業者は大量の申し込みをしたにもかかわらず、その場所を使用する様子がなく占有しているだけの状態が報告されたため、イー・アクセスを含めた他事業者やNTTの不満が増大している。

 大量申し込みをした結果の影響として、イー・アクセスなどの事業者がNTTに接続申し込みを行なっても提供されないことがあるという。イー・アクセスには現在、NTT側からNG回答が続出、NTT東日本エリアでは180局に申し込みをして124局からNG回答を得たという。NGの理由としては、スペースの問題、MDFの端子数の不足、電源容量の3つ別々の理由がある。コロケーション問題はスペースの問題だけと思いがちだが、スペースを申し込む際には、必要な端子数、設置機材を決めるために電源の確保も同時に行なわれるので、スペースの確保が、端子数、電源に影響をおよぼすという。これらのどれか1つでも欠ければ、ADSLサービスは提供できない。

 そして、スペースがいっぱいになったところで、NTTはスペースを増やすなどの措置をしなければならないが、電話のMDFから他事業者割り当てMDFまでは、電線を引き回すために、同じフロアでなくてはならないという制約がある。そのため、スペースは有限であるとしている。また、電源の増設に関しても、多額の費用がかかるため、NTTが容易に工事をすることはないとしている。

 実際の例として、イー・アクセスはNTTの4局舎に対して調査を行なった。昨日の公開ヒアリングで例を挙げた東京の大崎局の場合では、ある特定事業者は、フロアの大部分を保留分として確保していた実態があったという。イー・アクセスが現場で確認した様子では、全体で60ラック分が空きスペースとなっており、実際に設備が設置されたわずかなラックでも、半分しか電源が入っていない未稼働状態であるという。さらに、ラックあたりの収容回線数はイー・アクセスが現在960回線であるのに対し、ある特定事業者のそれは半分程度だという。それでも、大崎局で保留分を合わせたラックが70あるとすれば、6万7000回線を収容できることになる。大崎局の加入回線数は約5万回線なので、これを上回る回線数の確保は問題だとしている。

企画部長 庄司勇木氏

 また、イー・アクセス側も多めに確保しておけばよかったのではという意見には、こういった大規模な占有が発生するとは思えず、効率的な投資のために接続申し込みを最低限に絞っていたという。設置するDSLAMなどの機器の技術革新が早く、最新の機材を取り入れるためにも、使用機材が決まってから申し込みをするのが現実的であるという。そして非現実な申し込みはNTTとの信頼関係を損なうと説明した。

 現在の約款では、相互接続点設置申込から1年間の保留期間がある。そして工事期間を経て利用期間となるが、保留期間の1年間と工事期間は、利用しなくても無償で場所を確保しておくことができる。これを、改定案では、無償保留期間を6カ月経た後は有償とするようにしてある。この際、すでに確保されている(保留状態の)スペースの扱いについても論点になっている。すでに申し込んだものは、たとえ改定されても古い約款によるのが「法治国家として当然」というのが昨日の公開ヒアリングでの「Yahoo! BB」の孫氏の主張だ。これに対してイー・アクセスは、約款改定の既申込への適用は合理的な理由があれば合法という判例を出した。この改定約款の適用方法についても、合意が得られなければ約款を改定しても問題は解決されないのだという。

 今回のイー・アクセスの主張は、コロケーション問題は、単なるNTT局舎内だけの問題ではなく、ユーザーにも影響があることを主張している。今の状態のままでは、2002年2月か3月ごろに、ユーザーからの開通申込があっても、提供できない地域が出てくるという。つまり、一部地域では、ある特定事業者とNTT東日本かNTT西日本のフレッツ・ADSLしかADSLサービスを受けられない事態になる恐れがあるとしている。これについても、イー・アクセスは、事業者間の問題ではなく、ユーザーの利益やADSL事業全体の問題だとした。


□関連記事「総務省、コロケーション問題に関する公開ヒアリングを開催」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/12/19/soumu.htm
□イー・アクセス
http://www.eaccess.net/

正田拓也
2001/12/20 21:52

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