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槻ノ木隆のCOMPUTEX TAIPEI 2002レポート


 COMPUTEX TAIPEI 2002は、無事に5日間のスケジュールを終了したが、そもそもこのイベントは単に大メーカーの技術発表の場としてだけではなく、むしろ商談の場としての機能も大きい。そんなわけで、中小メーカーはOEMあるいはODMの商談をここで始めたり、契約締結まで行なってしまうことがある。必然的に、展示される製品は、既にOEMあるいはODM供給を行なっているものが多くなってくる。そういった製品の中で、今年後半のトレンドになりそうなものをいくつか紹介したい。

ギガビットイーサ・スイッチングハブ

 ギガビットイーサ(GbE)は相変わらずバックエンド向けというのが台湾ベンダーの主流であり、ラックマウントサイズの大型のスイッチに、GbEモジュールを追加するという形態になっているものがほとんどである。価格的には昨年よりやや安くなっているようだが、いずれにせよコンシューマ向けとは言いがたい。ところがそういう中でも、コンシューマ向けと思わしき製品を発見できたのでご紹介したい。

 RPTI International Co. Ltd.は、NETVINというブランドで日本でも販売が確認されている。なにせ筆者もこのメーカーの8ポート10BASE-T/100BASE-TXスイッチングハブを秋葉原で購入して持っているほどだ。そのNETVINは、1ポートGbE+8ポート10BASE-T/100BASE-TXの「NGSW801」という新製品を発表していた。全ポートがAUTO MDI/MDI-X対応している。

 少し有名なのがCAMEO。何で有名かというと、玄人志向に製品を供給しているから。例えば1ポートGbE+8ポート10BASE-T/100BASE-TXのスイッチングハブであるGSW0801-HUBのページには、「製造元:CAMEO メーカーサイト:http://www.cameo.com.tw/」と堂々と書いてあったりする。そのCAMEOだが、今回のCOMDEXには安価な4~8ポートGbEスイッチを展示していた。CAMEO自体はOEM/ODM専業メーカーで、自社で直接小売はしないので、価格を聞いても答えてはもらえないのも当然だが、「最終的な小売価格は競争力があると思うよ」という返事だった。説明員に「御社は玄人志向ブランドの供給元として日本では知られている」と言ったら、のけぞって驚いていた。「ウチはOEM/ODM専業だから、名前は出るはずはないんだが…」とは説明員の弁。

 次にGbE製品を展示したのはDNI(Delta Network Inc.)だ。さまざまなネットワーク関連部品を取り扱う台湾Delta Inc.のグループ会社として、ネットワーク機器のODM/OEM供給を主業務とするDNIだが、4ポートと8ポートの薄型GbEスイッチングハブを新製品として出展した。このスイッチングハブ、スペックは一切教えてくれず、あくまで「OEM先に聞いてくれ」との事だったが、そのOEM先はというと「日本のコレガというメーカーだ」そうである。展示されていたのは8ポートと4ポートの製品だが、コレガがどちらをOEM調達したのかは答えてもらえなかった。近々の発表を期待したい。

RPTI International Co. LtdのNGSW801。結構良さげなのだが、そう見えないチープさが魅力(?) CAMEO製スイッチングハブ。玄人志向のGSW0801-HUBとよく似たデザイン DNIのGbEスイッチングハブ。この8ポートの他に4ポートの製品も展示。説明員は「アイ・オー・データ機器」という名前も口に出していた

ルーター2種類

 Abocomは、安価なファイアウォールを展示していた。「FW-500」という製品はきちんとDMZ用のポートが分離され、VPNもサポート。説明員はステートフル・パケット・インスペクションをサポートすると豪語していた。すでにOEM供給が始まっており、例えばNuSoftではNUS-FW300という型番ですでに発売されているそうである。NUS-FW300、ストリートプライスは150ドル程度で購入できるとしている。

 E-Techは、「e5600」というロードバランサーを展示した。WAN側に2ポートを持ち、両方を同時に接続してロードバランシングを行なえるというもの。複数回線のADSLを用意して使うような場合に効果を発揮しそうだ。ちなみに内部はSAMSUNGのARM7TDMIベースのSoC(システム・オン・チップ)に、WAN側向けに2ポートのLANチップを搭載する構成で、光ファイバだとパフォーマンスが不足しそうだが、ADSL程度なら十分使えそうだ。ちなみに展示していたのはエンジニアリングサンプルで、量産には今月末に入るとのこと。すでに日本の2社ほどと商談が進んでいるとの話で、最終的なストリートプライスは200ドル以下に抑えられるはずという。

AbocomのFW-500。NUS-FW300とは形が違うのはNuSoftが別のパッケージを望んだからで、中身は同じだそうだ E-Techのe5600の説明が記された看板 この左にスケルトンケースに収まった製品があったが、「撮影はダメ」と断られた。ボードが丸見えなのがいやだったようだ。残念である

意外に難しい無線LAN

Global Sun Technology Inc.のGL5254RT ちなみに、同じケースながらアクセスポイントの機能のみのGL5254APという製品もあるそうだ

 無線LAN製品はそれこそ山のようにあったのだが、大半がIEEE 802.11b。Bluetoothを使ったルータもいくつか見かけたが、性能面を考えるとあまり魅力がない。狙い目は802.11a/bのデュアルチャネルということになるが、先日米Atheros Communicationsが発表したAR5001X Combo WLANチップを搭載した製品も、5~6社程度のメーカーが出展していた。一例が、Global Sun Technology Inc.のGL5254RTで、802.11a/b/g対応という欲張った製品。ちゃんとAtherosのTurbo Modeにも対応しており、スペックを見ると最高108Mbpsの文字が躍っている。おまけに、「Wi-Fi5互換」の文字まで出ていて、本当に大丈夫か? と聞きたくなるほど。

 ところが、「日本で販売する予定は?」と聞くと、芳しくない返事。周波数帯域の違いや、電波法にあわせた対策が馬鹿にならないほど手間がかかるため、なかなか代理店が見つからないのだという。安価な802.11a/b両対応製品が秋葉原に流れ、一気に普及する……というシナリオを実現するのは、あまり簡単なことではないらしい。「台湾だとOKなんだけど……」と困った顔をしていた。この問題についてはほとんどのメーカーで同じ状況で、802.11a製品のブレークにはもう少し時間がかかりそうだ。


□COMPUTEX TAIPEI 2002
http://www.computex.com.tw/computex2002/day5.asp

槻ノ木隆
2002/06/10 16:08

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