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NTT東日本が取り組む、リッチコンテンツ配信の現状

NTT東日本 取締役 法人営業本部副本部長 ブロードバンドビジネス部部長の高島元氏
 「NTT-AT テクノフェア2002」2日目の会場で、NTT東日本 取締役 法人営業本部副本部長 ブロードバンドビジネス部部長の高島元氏による講演会が開催された。「ブロードバンドへのNTT東日本の最近の取り組みと将来展望」と題して、NTT東日本が取り組むブロードバンド戦略などを語った。

 まず日本におけるブロードバンド環境については、ADSLやFTTH、CATVの利用者は約500万人に到達、サービス利用料金の低廉化などにともない「アクセスラインの細さは解消されつつある」と述べた。今後1~2年でユーザー数が1000~2000万人に到達するのも現実的なもので、本格的なコンテンツ配信ビジネスの時代が来るとした。

 これまでブロードバンドが社会にもたらす効用について、とかく概念論に終始しがちであったが、これがより具体的になっているという。特にビジネス分野においてはそれが顕著で、企業間通信にコスト面で有利なVPNの採用が増えており、基幹系の回線でも専用線ではなくVPNが使われるケースもあるという。

 一方でコンシューマー向けのブロードバンドビジネスは盛んだ。NTTグループ内でもNTTブロードバンドイニシアティブやぷららなどがリッチコンテンツを有料配信しており、またYahoo! BBでもADSL接続サービスと有料配信を垂直統合した展開を図っており、大手ISPはほぼすべて、何らかの形でリッチコンテンツの有料配信事業を手がける現状に触れた。 しかしながら「大成功したという話を聞かない」とも語り、売上における重要度は各社とも低いようだ。NTT東日本自身が地域IP網を使って提供する「フレッツ・オンデマンド」においても利用者、ページビュー数などは「まだまだ」だという。

 ブロードバンドバンド回線の普及が進む中、コンテンツ配信をビジネスベースに乗せるための課題は、インフラ面の整備から配信を支える技術面に移っているという。そのなかで高橋氏は「著作権保護」を大きくとりあげた。

 著作権に関しては映像をはじめとしたリッチコンテンツでは権利関係が複雑という問題はあるものの、NTTを始めとして多くの企業がコピー防止技術などの取り組みを進めている。電子すかしや署名を利用したコンテンツ改ざん防止技術も一般的になりつつある。

 これらの技術の中で高島氏やNTT東日本がもっとも注目するのは「メタデータ」だ。メタデータとはコンテンツに付随する各種のデータで、タイトル・著作権者をはじめエンコードレート、はては視聴したユーザーの属性なども記録される。これを電子透かしなどと組み合わせることでセキュリティがより強固なものになるという。

 具体的にはXML形式などで記述されることが多く、書式の標準化をめぐる動きも盛ん。放送業界などでも取り組んでおり、脚本の段階からメタデータを作成し、自動的にコンテンツに付加されるような方法を模索中だという。

 またもう1つの鍵となる技術として挙げたのはIPv6ネットワークだ。IPアドレスの枯渇を解消する面からIPv6の普及を待つ声は大きいが、ユーザー認証を行なう上でも非常に重要だという。高島氏はコンテンツ流通の円滑化に「ピュアなIPv6ネットワークは必須ではないか」と語った。

 現在NTT東日本では、グループ外企業ともブロードバンドビジネスに取り組んでいる。「B-BAT」や「テレビ東京ブロードバンド」、「トレソーラ」といった民放テレビ局の関連会社への出資や、FM放送局・レコード会社と協力してコンテンツ配信実験を実施している。

 講演の最後で高橋氏が強調したのは「リッチコンテンツの配信はブロードバンドを使ったビジネスのあくまでも1つ」だということ。最終的に目指すのは、ブロードバンドを使ったユーザー間コミュニケーションの促進で、各種の事業展開についてもそれを念頭に行なっていると語った。


□NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)
http://www.ntt-at.co.jp/

森田 秀一
2002/06/19 20:32

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