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スピードネット 馬場副社長、無線アクセスサービスのメリットを強調

スピードネットの馬場博幸副社長

 WIRELESS JAPAN 2002のワイヤレスネットワークセミナーでは、スピードネットの馬場博幸副社長が「無線インターネットアクセスサービスの現状と5GHz開放議論の概要」と題した講演を行ない、同社がサービスを行なっている2.4GHz帯の無線アクセスサービスと5GHzでの無線アクセスの利用見通しなどについて説明した。

ケーブル敷設が不要なメリット

 同社が提供している無線インターネットアクセスサービスは、2.4GHz帯の電波を使い、回線速度は上下とも最大1.5Mbps。ユーザー宅には無線機を設置するだけで配線工事が不要のサービス。開通したユーザーは約1万7000件、主な年齢層は25~45歳。戸建住宅と集合住宅の比率は、利用者ベースでは集合住宅が6割ほどだという。申込者ベースではさらに集合住宅の比率が高まり、申し込みを受け付けても、電波が届きにくい1階や2階のユーザーはサービス提供ができない場合が多いと馬場氏は説明する。

 工事期間が短いのも特徴とした。ベランダなどに10センチ角のアンテナを設置するのみで最短4日で開通する。ただし、現在は申し込みから開通まで平均10日程度。これはアンテナ設置日程をユーザーの都合に合わせるためで、「申込時に、明日(設置に)来いと言われれば、行けないこともない」と馬場氏は早期提供が可能であることを強調した。

 無線ならではのメリットも挙げる。さいたま市のある団地は複数のマンションが連なり、一帯はすべて光収容のためADSLに対応しない。また、電柱がない街並みのためCATVの引き込みも難しい。そこでスピードネットでは、屋上に基地局と中継局を設置、周辺をエリアにして、エリア内の1/4の世帯が加入したという。

 こういった事例には、マンション全体で光ファイバを引き込む方法もあるが、配線の維持は誰がするのかといった問題も出てくるのだという。その点、スピードネットならば、基地局はスピードネットが維持・管理を行ない。加入者はスピードネットと契約するだけ。インターネットを使わない人の負担もないなど、メリットが多いとした。

 馬場氏は、最大伝送速度が1.5MbpsとADSLの8Mタイプよりも劣っている点についても触れ、「ADSLは下りは8Mbpsだが、上りは1Mbps。スピードネットでユーザーの利用法などを見ていると、ホームページを作っているユーザーがネット上にデータをアップロードする場面も多く、スピードネットは上り速度が1.5Mbpsもあるため問題が少ない」とした。

 無線方式については、IEEE 802.11bと異なる方式の周波数ホッピング方式を用いている。最大伝送速度がIEEE 802.11bの11Mbpsよりも劣る点については、外来ノイズに強い方式を採用したためと理由を説明した。たとえば2.4GHz帯には医療機関にある温熱治療器の輻射電力は200Wであり、1000倍以上も出力が違う機器の干渉を受ければ、IEEE 802.11bならば通信が途絶える。しかし、このような機器の周波数は一定のため、随時周波数が変化する周波数ホッピング方式では通信が途絶えることはないという。

周波数ホッピング(FH)方式とIEEE 802.11b(DS)が受けるISMノイズの影響 2.4GHzにおけるFH方式とDS方式の比較

今後5GHz無線アクセスシステムを事業化

 また、馬場氏は総務省が屋外向けに開放を予定する5GHz帯における無線アクセスシステムの現状について解説。その周波数帯の想定される利用法はホットスポット利用のNWAと住居などを想定したFWAが考えられるという。

 開放予定の周波数は4.9GHz~5.0GHzと5.031GHz~5.090GHzの2帯域あり、5.031~5.090GHzは国際的に飛行機の誘導をするMLSで使われているが、幸いに日本では使われていないため、無線LANなどに活用できるとした。

 しかし、もう一方の4.9~5.0GHzはNTTの固定電話の交換・基地局間の中継回線などで使われる固定マイクロ波システムとの干渉を防ぐため、使用地域や周波数が大幅に限られる。馬場氏は現在の状況では、4.9~5.0GHzはほとんど無線LANとして利用できない状況であることを示し、現在その周波数を使用している事業者に対し「ぜひ移行してもらいたい」と意見を述べた。

 最後に、スピードネットとしては、5GHz無線アクセスシステムを事業化していくことや、親会社となる東京電力が提供する「TEPCOひかりサービス」の活用による事業範囲の拡大など、今後の方針を挙げて講演を締めくくった。

5GHz帯のサービスの方向性 スピードネットの今後の事業展開


□スピードネット
http://www.speednet.co.jp/

正田拓也
2002/07/19 20:08

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