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鷹山、IP電話やデータ通信などの新事業に関する事業説明会

鷹山の高取直社長
 鷹山は、自社が提供するIP電話サービスやデータ通信サービスなどを含めた新事業について説明会を行なった。ページャー(ポケットベル)、PHS、無線LANを組み合わせた複合的なサービスの展開を予定しており、今秋からモニター試験を順次実施していくという。

 鷹山では、ページャーの280MHz、PHSの1.9GHz、IEEE 802.11bに準拠した無線LANの2.4GHzといった複数の周波数帯を利用し、IP電話やデータ通信などのサービスを複合的に提供していくという。現行のPHS基地局のバックボーンを光ファイバ化し、通信手段を回線交換からパケットに切り替える。また、PHS基地局の出力を20mWから400mWに増強し、代わりに現在10万カ所あるPHS基地局の設置数を半分程度に減らすことでネットワークの増強とコスト削減を図るという。

サービスは音声通話とデータ通信の2種類

左がWebDistributor。右の端末は関西などで発売された「AX-W1」と同じデザインの「YOZANキャリングフォン」
 PHS網を利用したIP電話サービスとしては、定額音声通話サービス「ワンプライス・キャリングフォン・サービス」を今秋より導入する。PHSの電話番号「070」を利用し、IP電話用のアダプタ「WebDistributor」をユーザーが加入しているADSLやFTTHといったサービスに接続することでユーザー間での通話を定額で利用可能。また、定額で利用できるのはアステル東京のユーザーだけではなく、他地域のアステルについても適用される予定だという。

 ユーザー間以外の通話についてはPHSの通話料金が課金される。ワンプライス・キャリングフォン・サービスで提供されるPHS端末は、屋外では通常のPHSとして利用可能。また、2003年には鷹山のサービス対応エリアであれば屋外でもIP電話としても利用できる予定。10月にはスカイウェイブと提携し、国際IP電話サービスも提供する。なお、従来から提供しているPHSサービスがすべてワンプライス・キャリングフォン・サービスに置き換わるという訳ではなく、PHSサービス単体としても継続して提供していくという。

データ通信は2種類の試験サービスを実施

Bit Stand試験サービスのデモ。ページャーに送られたワンタイムパスワードを利用して認証を行なう
 データ通信サービスについては今秋に2種類のモニター実験が行なわれる。先日発表された「Bit Stand試験サービス」では、東京都の早稲田・高田馬場、池袋・新宿・渋谷・池袋の一部地域で2Mbpsの無線LANを提供する。ユーザー認証にはページャーを用いたシステム「Bit Key」を使用。ユーザーがサービス提供エリア内でIDとパスワードを入力すると、ユーザーの所有するページャーにワンタイムパスワードが送信され、認証を行なう仕組みになっている。無線LANの帯域とは異なるページャーを利用することで、セキュリティの高い認証が可能だという。

 また、10月からは東京都板橋区でPHSを利用した定額制の64kbpsデータ通信の試験サービスを行なう。10月下旬から3カ月間、300名のモニターを対象として板橋区徳丸でPHSを使用した64kbpsのデータ通信サービスを提供、検証を行なう。

 ページャーについては、通信総合研究所が小金井市で実施予定の地域情報配信システムに採用されている。この実験では災害時の緊急連絡や電子回覧板といったシステムについても検証を行なっていく。最終的にはこれらのサービスを統合し、「ワンユニットIPアクセスシステム」として提供していく予定だという。

 アステル東京のPHSサービスにおける加入者数については、2002年7月現在の約23万人から2005年3月までには約54万人になると鷹山では予想する。当期利益も2004年3月には36億の赤字となるが、加入者増やISDN網をIP網に置き換えたことによる経費削減に伴い、2005年末には14億の黒字となる見込みとしており、売上高も2003年3月末の112億が2005年3月末には257億に達するという。鷹山の子会社であるマジックメールについても、ページャーの加入者は減少するものの、インターネットでFAXを送信するサービス「D-FAX」の加入者が伸びることで、全体の加入者数は増加するとしている。

 鷹山の高取直社長は、無線LANサービスについて「無線LANだけでは事業として成り立たない」とし、あくまでIP電話サービスを補完する位置付けであり、アステル東京に加入することで利用できる付加サービスであると語った。料金については詳細は明らかにしないものの、「DDIポケットのつなぎ放題コースの料金4930円(年間契約割引含む)を強く意識している」とコメントした。

 また、無線LANのアクセスポイントについては駅周辺などを中心に構築していくものの、基本的には半歩遅れた「静観の構え」だという。自身がベンチャー企業であることを踏まえ、サービスについてもモニター試験で問題点などを洗い出し、慎重にビジネスを進めていくという点を強調した。


□関連記事:鷹山、IEEE 802.11b対応の無線LANサービスを9月28日から試験提供
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/08/23/yozan.htm
□鷹山
http://www.yozan.co.jp/

甲斐祐樹
2002/08/26 19:35

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