Broadband Watch logo
最新ニュース
【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
【Click Here!】
総務省、2003年度の「IT政策大綱」を発表


 総務省は、2003年度の「IT政策大綱」を発表。2005年に世界最先端のIT国家実現を目標とした、情報通信分野における2003年度の施策方針を示した。重点分野の第一の項目として「IP化・ブロードバンド化に対応した新たな競争政策の枠組み」が挙げられており、通信事業者の一種・二種の事業区分の廃止、参入の緩和などにより、競争による利益を利用者に最大限還元するとの方針を改めて確認している。

 インフラ整備においては、加入可能数は高速インターネットで3500万回線、超高速インターネットでは1400万世帯に達し、eJapan構想で掲げた目標の3000万世帯は達成されたと評価した。しかし実利用者は460万加入に止まり利用可能数とは大きく乖離。この原因としてコンテンツ流通の不足を指摘し、権利処理の円滑化を挙げているが、これは民間の契約慣行や権利処理ルールの形成で解決されるべき問題として、国としては実験実証の場を提供して権利処理システムの開発・実証を推進するなどの環境整備支援に留め、立法化による対応は行なわない考えを示した。

 電波の有効利用の促進においては、無線アクセスなど新規の電波需要に必要な電波の再配分の実施が不可欠とした上で、2002年秋にもマイクロ波帯の利用状況調査に着手し、2003年度には3.4GHz帯を超える全周波数帯に調査対象を拡大、電波の有効利用度合いを評価・公表するとしている。こうした調査結果を踏まえた電波再配分については、従来は既存免許人の負担を考慮して10年以上の準備期間を設定していたが、IT分野の急速な技術革新に対応するためにはより大規模かつ迅速な再配分が必要であると分析。2002年度中をめどに、給付金制度の導入を含む電波再配分ルールについて、電波法の改正を含む制度整備を検討するとともに、2003年度予算要求において、電波再配分を実施するための給付金制度のための予算要求を行なうとした。

 地上放送のデジタル化の推進については、関東・近畿・中京の3大広域圏で2003年まで、その他の地域で2006年末までに地上デジタル放送を開始するというスケジュールに基づき、3大広域圏ではすでえに放送事業者も2003年末の開始に向けて準備に入っている現状を報告。地上放送のデジタル化は、全世帯に普及しているテレビを家庭における簡便なIT端末とするものであり、電子自治体端末としての機能を発揮するほか、高品質・高機能なサービスを提供するなどのメリットを国民にもたらすと位置付けている。

 このほか、IPv6を利用した高度ネットワーク化の推進、電子商取引の推進、電子政府・電子自治体の推進などが重点分野として挙げられている。また、各分野にまたがる横断的な課題として、セキュリティおよびプライバシーの保護対策や、デジタル・ディバイドの克服が挙げられた。デジタル・ディバイドの問題については、ブロードバンドネットワークを全国普及させるために、学校・図書館・公民館を高速インターネットに接続する地域公共ネットワークを整備したり、過疎地域でFTTH整備を行なう地方公共団体への支援も行なうとしている。事業として採算が取れる見込みのない地域については、地域公共ネットワークの整備などでブロードバンド全国普及を行なう方針が再確認された形だ。


□IT政策大綱(PDF)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/pdf/020829_2.pdf
□総務省
http://www.soumu.go.jp/

工藤ひろえ
2002/08/30 14:48

Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.