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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ユビキタス時代を迎えたパソコンの未来に関するパネルディスカッション

左からアップルコンピュータの原田氏、NECの片山氏、ソニーの石田氏、東芝の西田氏、日本IBMの橋本氏、富士通の伊東氏、マイクロソフトの藤井氏
 WPC EXPO 2002のフォーラムイベント「WPC FORUM 2002」では、「ユビキタス時代を迎えてさらに進化するパソコンの未来を占う」と題したパネルディスカッションが開催された。出席者は、アップルコンピュータ 代表取締役社長の原田永幸氏、NECソリューションズ 執行役員常務の片山徹氏、ソニー バイオデスクトップコンピュータカンパニー プレジデントの石田佳久氏、東芝 上席常務の西田厚聰氏、日本IBM 取締役の橋本孝之氏、富士通 執行役の伊東千秋氏、マイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッド プレジデントの藤井照穂氏の7名。司会進行は日経パソコン編集長の渡辺浩之氏が務めた。

パソコンは複数台を利用した家庭内ネットワークの時代へ

 まず、司会の渡辺氏から、パソコンが全世界で10億台を出荷、今後10年間でさらに10億のパソコンが出荷されるという予測を踏まえ、パソコンの今後について出席者に質問を投げかけた。出席した7社はいずれも「パソコンはこれからまだ伸びる」と認識、これからはハード性能を重視するのではなく、サービスも含めたソリューションとしてパソコンを展開していく必要があると語った。また、パソコンは1家に1台ではなく、複数台のパソコンを利用した家庭内ネットワークが重要であるという意見も各社共通して見られた。

 このような展望を踏まえた上での戦略としてNECの片山氏は「パソコンの世帯普及率が60%に達しているものの、実際に利用しているユーザーは3割程度である」という事例を説明。そのためパソコンのラインナップを一新、ファミリー向け、パーソナル向け、モバイル向けと利用用途を明確にすることで購入意欲を促進させる狙いだという。

 これに対しソニーの石田氏は、リビングのAV機器などと連動させる方向性を提示。IBMは企業向けパソコンの観点から「道具としての役割が高まる」と予測し、「いつでも、どこでも、だれでも」と「セキュリティ」という2つのキーワードが重要になると語った。

 富士通の伊東氏はパソコンの購入動機として「買い替え」が26%であるのに対し、「買い増し」が60%にも上るという調査結果を披露。家族で1台という時代から確実に個人が1台所有する「パーソナルコンピュータ」の時代へ移り変わっていると語った。そのため家庭内のネットワークをいかに簡単に構築できるかが鍵になってくるという。

ユビキタスによって何が変わるか

 次に渡辺氏は「ユビキタス」という言葉を「時間を問わず、いつでも、どこでも、高速のインターネットが利用できる」と定義。ユビキタスによってパソコンがいかに変化していくかと各社に質問した。アップルコンピュータの原田氏は「車が走らない高速道路を作るべきではない」と辛らつな比喩で説明。いかにネットワークという道路に車を走らせていくかが重要であるとし、そのためには現在構築したビジネスモデルを自ら変えていくほどの自覚が必要であると語った。

 NECの片山氏は、「誰もがネットワークに参加できることで、コミュニティが広がることが重要である」と語り、企業対消費者という1対複数の関係から、企業対個人という1対1の関係を構築することが重要だとコメント。また、ユビキタスを実現する具体的なポイントとして「300g以下」「Windows搭載」「位置情報」「最新の情報を常に取得」といった機能を搭載した端末が必要だとした。

 ソニーの石田氏は「パソコンはなくなる」がキーワードになるとし、パソコンの形態をとらない様々な端末が登場すると予測。これに対して東芝の西田氏は「21世紀も唯一の知的ツールはパソコンであり、なくなることはない」と反対の観点から意見を披露、いかにエンターテインメント性を取り込んでいくかが重要であるとした。

 日本IBMの橋本氏は今後の戦略として、IBMのブランドを利用した従来の方向性に加え、IBMのテクノロジーを異業種に埋め込むという事業展開を説明。すでに自動販売機に無線LAN機能を搭載してホットスポットを構築するというサービスを先日のWIRELESS JAPAN 2002でも出展している。また海外では学生寮の洗濯機9000台をネットワーク管理するというサービスを実施しており、IBMのテクロノジーをパソコンとは異なった方向で提供していくコンセプトを明示した。

 富士通の伊東氏は企業向け、個人向け両方のパソコンでシェアを持つという視点から、ユビキタスについては「起きてから寝るまで」という一日の生活を捉えることで、一日の生活の重点となる家と仕事での境界線が薄まっていくであろうという考えを示した。マイクロソフトの藤井氏もビジネスに注目し、企業が導入する場合に心配されるセキュリティを高め、安心できるネットワークを構築していく時代であると語った。


□アップルコンピュータ
http://www.apple.co.jp/
□NEC
http://www.nec.co.jp/
□ソニー
http://www.sony.co.jp/
□東芝
http://www.toshiba.co.jp/
□日本IBM
http://www.ibm.com/jp/
□富士通
http://jp.fujitsu.com/
□マイクロソフト
http://www.microsoft.com/japan/

甲斐祐樹
2002/10/16 22:48

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